ITスキルで経理業務を効率化する方法

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経理業務はIT技術の発展とともに便利になり、効率化が進んできました。

歴史をさかのぼると、手書きの伝票が当たり前だった時代が長く続き、この時代は各種帳簿も手計算で作成していました。当時から経理業務に関わっていた人に聞いたところ、借方と貸方の残高が一致しないこともあり、徹夜で再計算を行うことも珍しくなかったそうです。

1960年代から大型の汎用コンピュータが一般企業の業務に取り入れられるようになり、販売や製造、経理など、会社の基幹業務に関わるシステムが少しずつ使われるようになりました。

その後、1980年代に入ってから低価格のオフィスコンピュータが販売され、中小企業にもコンピュータの導入が進み、経理を含む事務にも広く使用されるようになりました。これにより、経理業務担当者は手書伝票や手計算から解放されました。

さらに、2010年代に入ってからはクラウド会計システムが出始めました。インターネットを前提とするシステムの出現により、銀行信販データやクレジットカードの使用データを受信し、自動で仕訳を作成することができるようになりました。

この段階で、経理業務担当者は当初に比べると、作業時間を大幅に短縮できるようになったといえます。

会社によって経理事務のやり方は大きく異なる

このように効率化した経理業務には、注意すべき点があります。

それは、会社によって経理事務のやり方は大きく異なるということです。便利なツールを使わず、伝統的な方法で経理作業を行っている会社もあります。

私がはじめて経理業務に触れたのは15年ほど前に転職したときでした。その会社は上場していたのでそれなりの規模でしたが、バックオフィスに多くの投資を行う方針はなく、どちらかといえば古いやり方を踏襲する方針でした。

現場で使用されていたのは、20年以上前に構築された会社オリジナルの会計システムであり、操作を覚えるのに苦労しました。また、一部の子会社では会計システムが導入されておらず、手書き伝票による会計処理を続けていました。

当時は「便利なツールがあるのにどうして使わないのだろう」と不満を感じていましたが、現在は理由がわかります。

それは、経理関連はルーティンになっている作業が多く、会社にとって重要な情報を扱うため、一度やり方が固まってしまうと、抜本的に方法を変えることは難しくなるからです。

税理士になり、開業した現在も、関与する会社によって経理作業の状況は様々です。

さすがに手書きの伝票を使っている会社は多くありませんが、クラウド会計を導入していない会社はまだまだあります。そのような会社にクラウド会計を導入し、業務がひととおり回るようになると、担当者の作業が軽減され、感謝されることが多いです。

会社の状況によって難しいケースもありますが、便利なツールは積極的に導入したほうがよいでしょう。

エクセルを活用した業務効率化

会計ソフトを導入していないケースは少ないと思いますが、ソフトによっては必要な機能が備わっておらず、必要なデータを作成できないことがあります。

具体例としては、売掛金買掛金の顧客別残高、顧客ごとの売上原価などのデータです。

このような場合は、エクセルなどの表計算ソフトを使用することで、必要なデータを作成できます。実務においても、会計ソフトに入力すると煩雑になってしまう売上の内訳を作ったり、数ヶ月先までの入出金予定表を作成し、資金繰り予測を行ったりすることは一般的で、多くの会社で行われています。

また、エクセルを活用すれば、請求書見積書、経費精算書など、各種の経理関連書類も作成することが可能です。現代においては、手書きで書類を作るメリットはないので、書類はなるべくパソコンで作成するほうがよいでしょう。

クラウドシステムの活用事例

クラウドではなくパソコンにインストールするタイプの会計ソフトを使っている会社もまだ多いと思います。

インストール型のソフトウェアが優れている点は、インターネットが使えない場所でも機能する、クラウド会計システムを提供する会社のサーバーに不具合が起きた場合でも影響されない、などいくつか考えられますが、比較するとクラウド会計システムを導入するメリットのほうが大きいといえます。

現代では、インターネット環境がない事業所は少ないので、クラウド会計システムを利用できる環境は常時確保されています。

また、クラウド会計システムのサーバーに不具合が起こるより、会社のパソコンが故障する可能性のほうが高いと考えられるので、利便性や安全性においても、クラウド会計システムに優位性があるでしょう。

クラウド会計システムを利用すると、先述のとおり取引データを自動で仕訳にできるため、大幅に入力時間が短縮し、入力漏れを防ぐこともできます。

まとめ

今回はITスキルで経理業務を効率化する方法について解説しました。本記事のまとめは以下のとおりです。

    • ・会社によって経理業務の方法は異なり、非効率なやり方を踏襲しているケースもある

 

    • ・手書きを減らし、エクセルを活用化することで作業が効率化する

 

    ・クラウド会計システムはインストールタイプよりメリットが多い

次回は「経理業務の効率化を実現するクラウドシステム」についてさらに掘り下げて開設いたします。

次回もぜひご覧ください。

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