バックオフィス業務をこなす人が減っている
2022年の出生数が80万人を割ったというニュースは、日本の人口が減少の一途をたどっていることを象徴しているニュースのひとつといえるでしょう。
少子化が進むと、当然のこととして労働力人口が減少していきます。労働力人口が減っていく中で人材を確保していくとなると、企業の採用競争は激しくなる一方ですね。
実際、大学生の就職内定率が90%を大きく上回っているなど売り手市場の状況が日本では続いています。
諸外国では若年者の失業率が高いことを考えると、日本の状況がやや特異に映る面もありますが、少子化が続くことを考えるとこの状況はそう簡単には変わらないのかもしれません。
このように人材確保が厳しい状況下で、採用した人材をどのように配置していくのかということは重要な人事戦略です。
一般的には、稼ぐ部門に人を配置するという考えの企業が多い傾向にあるように思います。
具体的には、営業部門、製造部門、研究開発部門といった、事業の売上を上げることに直接貢献する部門にまずは補充していくという傾向です。
その結果、なかなかバックオフィス部門に人が回ってこないという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
少ない陣容でバックオフィス部門の業務をこなしていくということは、今後想定しておかなければならないことかもしれません。
少ない人数で回していくためには効率化が必要
そのように考えると、考えるべきは、いかに効率的にバックオフィス業務を行っていくのかということです。
企業が成長をしなくてもよいのであれば、効率的に業務を行うことを考える必要はないでしょう。しかし、少子化を理由にして企業の成長がなくなれば、それは凋落ということになってしまいます。
国でいえば、GDPが下落し、企業でいえば売上が減少することとなり、結果として経済的な豊かさを享受することが難しくなってしまいます。
そこで、業務を効率的に行って生産性を向上させていくことが必要となるのです。
業務改善をどう進めていけばよいのか
では、バックオフィス業務で生産性をあげていくにはどうしたらよいでしょうか。
業務改善を進めるにあたって、オーソドックスな進め方は、経理業務全体を俯瞰的に分析することで、無駄な作業や重複している作業を抽出し、そのうえで対策を立てるという方法です。
この方法であれば、全体最適が実現される可能性は高いですが、業務分析を経理業務全体で実施しなければならないので、時間やコストが相当程度かかることになります。
ただでさえ忙しい中で、そのようなタスクを追加で実施するのは忙しさに拍車をかけてしまうことになりかねません。
そこで、忙しい中でも業務改善を進めるにあたって採られる方法の一つに、明らかに業務時間が多大にかかっているものや、重複作業が多い業務をピンポイントで絞って、その業務の改善をはかるという方法があります。
対象業務にあたりをつけて始めるので、前者の経理業務全体を俯瞰的に確認する方法と比較して、スピーディーに業務改善を開始できます。
また、明らかに時間がかかっている業務等が対象として選定されるので、仮に部分最適だったとしても業務改善の結果、生産性が上がることが期待できます。
経費精算から始めるのはうってつけ
このようなピンポイントに絞って業務改善を行うケースで選択される業務として多いものが、決算作業、固定資産計上業務、経費精算業務です。
この中でも経費精算業務に関しては、経理部門だけではなく従業員全員がかかわっている業務であること、使い勝手の良いクラウド型の経費精算システムが市場に多く提供されていること、といった理由でここ数年業務改善の対象として実施している会社が多いという印象です。
経費精算システムを導入することで
- ・経費申請者の作業時間が減る
- ・申請者の上席の承認のためにかかる時間が減る
- ・経理部門で改めて入力する必要がないので二重作業がなくなる
- ・申請・承認状況が可視化されるので督促等への対応スピードが上がる
などなど、業務効率が改善されることは多いです。
今後、インボイス制度が導入されて、適格請求書に該当するかどうかの判別を行う必要がある場合には、領収書等を読み取ることで、自動で判別してくれる経費精算システムも導入されるようなので、さらなる業務効率化が期待されます。
システム導入とBPOの組み合わせも増えている
さらに最近は
- ・経費精算業務自体に携わる経理のメンバーを確保することが難しい
- ・経理部門のメンバーに他のタスクを依頼したいので経費精算業務から外したい
といった要請もあり、経費精算システムを導入したうえで、経費精算業務を外部にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)する動きも出てきています。
どこまでBPOできるかどうかは、BPOベンダーによって異なります。申請内容のチェック、経理処理といった内容をBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)することができれば、かなりの時間を他の業務に充てることが可能となります。
少子化対策のため、政府も様々な施策を今後導入していく予定となっています。
少子化の影響でバックオフィス業務をする人が減ってきているなか、業務効率をあげるために経費精算システムを導入するというのも、企業ができる少子化対策の一つかもしれません。
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