電子保存義務がもたらす経費精算の変化と対応方法|本当に対応できている?電帳法対応の再点検②

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令和6年(2024年)1月1日から開始される電子保存義務への対応状況はいかがでしょうか。たとえば、あなたの会社では、従業員が立替えた経費の精算はどのようにされていますでしょうか?

ここでは例として、従業員のAさんが出張し、ホテル代と往復交通費を立替払いしたケースを取り上げてみます。

・Aさんは上司から出張の指示を受け、インターネット経由でホテルを予約し、新幹線の乗車券を購入しました。
・出張から帰任後、Aさんはホテル代金と新幹線の乗車券の領収書を、それぞれのインターネットのサイトからPDFファイルでダウンロードしました。

これまでの一般的な立替経費精算の方法

Aさんが勤務する会社では、出張代金などの立替金の精算は、紙面の「立替経費精算書」によって行うことになっています。精算書には、日付や金額などの必要事項を記入するほか、精算金額に相当する領収書を貼り付けます。作成後、所属部門の承認のうえ、経理部門に回付され、次回の給与支給時に精算されることになります。

このような方法は、一般的な企業において長い間採用されてきており、現在でも通常のプロセスとして採用している会社は多いと思います。

さてAさんは、会社の規則に従い、PDFファイルを印刷して精算書に貼り付け、所属部門に提出しました。経理部門では、回付されてきた精算書の内容に従って精算処理を行い、精算書を税務上の証憑書類として保存しています。

電子保存義務スタート後の立替経費精算の方法

上記のプロセスは、2023年12月31日までは全く問題ありません。しかしながら、電子保存義務が始まる2024年1月1日からは、こちらの方法はNGになります。

AさんがインターネットのサイトからPDF形式で入手した領収書は、電子取引(インターネット等による取引)による取引情報にあたります(電子取引についてはこちらの記事のをご参照ください)ので、電磁的記録により保存する必要があります。

したがって、印刷したものを紙面で保存することは認められず、PDFの領収書をそのまま電子的に保存しなければいけなくなるのです。

さてそれでは、具体的にどのように保存すればよいのでしょうか。

現状のプロセスの変更を最小限に留める場合には、次のような方法が考えられます。

    • ・Aさんが入手した領収書のPDFファイルを、経理部門にメールで送信する。

 

    ・経理部門はそれが立替経費精算書に貼付された領収書と同じものであることを確かめたうえで、電子保存の要件を満たすかたちで保存する。

クラウド型経費精算システムの活用を

このように、立替金の精算プロセスとは別に、電子取引情報の提出ルートを設けて電子保存することにより対応するのも、一つの方法ではあります。

しかしながら、この方法は従業員や経理部門に追加の業務を強いることになりますので、業務の効率化の観点から望ましくないともいえるでしょう。また、プロセスに組み込まれたルートではありませんので、網羅性を確保していくことが難しいかもしれません。

紙面による立替金精算プロセスを電子化することも一つの方法と考えられます。自社でワークフローを構築することも可能ですし、ベンダーからリリースされている「クラウド型経費精算システム」の利用を検討してもよいと思います。

クラウド型経費精算システムのメリットとしては次のような点が挙げられます。

    • ・インターネットを経由して利用するため、社内にサーバー等の設置が不要

 

    • ・データ入力や資料添付がPCおよびスマートフォン上で可能

 

    • ・申請や承認のための紙面回付や押印が不要になり、業務のリモート化が可能

 

 

    ・システムの機能(たとえば、交通費の自動計算)を利用することにより、経理部門の業務の効率化が可能

まとめ

電子保存義務への対応について、経理部門が通常入手している電子取引データについては早い段階から検討が行われますが、従業員が関係する経費精算の部分は盲点になりがちです。

いままで会社が採用してきた経費精算プロセスでは電子保存義務に対応できないことがありますので、早めに検討されることをお勧めします。

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