当社は電子保存義務にすでに対応しています!|本当に対応できている?電帳法対応の再点検①

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令和6年(2024年)1月1日から開始される電子保存義務への対応状況はいかがでしょうか。

「当社はすでに対応済みです」という事業者様もいらっしゃるかと思いますが、本当に適切に対応が行えているのか?いま一度、ご確認をされてはいかがでしょうか。

この記事では、よくある質問に回答する形式で対応方法をおまとめします。

どのようにすれば電子保存義務に適切に対応できるか?また、すでに対応している企業においては、対応内容が適切か?をチェックいただければと思います。

いつから対応を始めればよいか?(電子保存義務の開始時期)

Q 電子保存義務が始まるのは令和6年(2024年)1月1日といわれていますが、法人の場合はその後に開始する年度に合わせて始めればよいですよね? 当社は3月決算なので、新年度の令和6年4月1日から対応を始める予定です。

A 電子保存義務の開始時期は、法人の場合であっても、決算期に関わらず、令和6年1月1日からになります。通常、会計基準法人税関連の規定は個々の法人の年度をベースにして適用が開始されますが、電子帳簿保存法の適用についてはそのようなかたちになっていません。年度の途中であってもその時点から対応を始めなければなりませんので、注意が必要です。

自分・自社は対象か?(電子保存義務者)

Q 私は、小規模な事業を家族で営んでいる個人事業者です。知り合いの会社経営者から、電子メールで受け取った請求書は電子のまま保存しなければならなくなるので大変だ、といった話を聞きました。いままで電子メールで受け取った請求書は印刷して紙で保存していましたが、うちのような小規模な事業者も対象になるのでしょうか?

A 個人事業者も対象になります。電子で受領した取引情報は、原則として電子保存する必要があります。ただし小規模事業者については令和5年度税制改正により保存要件が若干緩和される予定ですので、今後の情報にご留意ください。

どんな帳票・書類・形式が対象か?(電子保存義務の対象)

Q 当社は、経理部門が電子メールで受領したPDFの請求書はきちんと電子保存しています。一方で経理以外の部門が電子メールで受領したPDFの請求書は、当社の稟議プロセスが紙面ベースのため、印刷したものを稟議に回して、決裁後に経理が紙面で保存しています。これはやむを得ないですよね?

A 稟議プロセスが紙面ベースの場合でも、取引情報を電子で入手している場合には、当該情報は電子的に保存する必要があります。稟議プロセスとは別に、それらを電子保存する方法をご検討ください。もしくは、稟議プロセスを電子化して、取引情報を電子(PDF)のまま回付できるようにすることを早めに検討されたほうがよいかもしれません。

Q 当社の取引先のうちの1社は、電子メールに注文書のPDFを貼付する代わりに、電子メールの中に文章で注文内容を記載してきます。PDFではないので取り出して保管するのも大変なので、当社のシステムに注文内容を直接入力しており、電子メールは特に保存していません。このような方法で問題ないでしょうか?

A 電子保存義務の対象となる取引情報は、次のように定義されています。
「取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。」

取引情報は、注文書などの書類に「通常記載される事項」であり、注文書などの書類そのものではありません。この点は誤解しないよう、十分な注意が必要です。

したがって、PDFのような纏まったデータでなくとも、メールに記載された注文情報のテキストを電子のまま保存する必要があります。

Q 当社の取引先のうちの1社は、当社への請求内容をクラウドサービスに掲載しています。掲載時に受領する電子メールには具体的な内容は記載されていません。当社は必要に応じてクラウドサービスにアクセスして請求書をダウンロードしていますので、電子取引には該当しないと考え、当該請求書は当社にて印刷し、紙面で保存しています。このような方法で問題ないでしょうか?

A 本ケースでは、電子メールやインターネット等を通じて直接のやり取りがないものの、取引情報をクラウドサービスを通じて共有していることから、取引情報の授受に該当し、電子取引に該当することになります。したがって、ダウンロードした請求書のデータは電子保存する必要があります。

まとめ

今回は、電子保存義務の対象について、誤認しやすい点を中心にQ&Aのかたちでまとめてみました。

次回は、電子保存の要件についてみていきます。

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