走る経理社員!承認印をもらうための戦い

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私は、社員数50名ほどの事業所で経理を担当していました。

「経理」というと、自分のペースでコツコツ進めていく業務というイメージがあるかもしれませんが、実際は営業に資料を催促したり、上長から支払承認を得たりと自分だけでは進められない業務も多いものです。

今回は、私が経理社員時代に特に苦労した「支払承認」のエピソードを紹介します。

そんな理由で?!あまりに意味のない休日出勤…

私の部署は、経理担当者が2人と部長というメンバーで構成され、私たち担当者が実務を、部長が全体の取りまとめを行っていました。

接客業に近い会社だったため土日も勤務があり、部長を含む全員がシフト制で動いていました。そのため、部長と私も出勤日が合わないことがよくありました。

そこで問題になるのが、支払承認。

もちろん請求書への支払いには部長の承認が必要ですが、私の部署では「手渡しで承認印をもらわなければならない」という厳しいルールがあったのです。(出勤日が合わない場合、部長の机上に置いておけば承認が下りた状態で戻してくれることも以前はあったのですが、重要な稟議書を紛失する事件があって以来、必ず対面で直接承認をもらうというルールになりました。)

月末には、支払承認をもらわなければならない請求書の処理が立て込みますが、出勤日が合わないと当然直接承認をもらうことはできません。私は、承認をもらうためだけに休日出勤する羽目になりました。

何件かの書類に目を通してもらい、印鑑を押してもらうだけ…。時間にしてわずか30分ほどの業務です。それだけのために休日出勤を申請するわけにもいかず、私はこっそり印だけもらって帰るという月末の休日を過ごしていました。

若手社員だった私は特に声を上げることもせず、無駄な休日出勤に納得いかないまま悶々としていたのを覚えています。

承認獲得のための全力疾走

また、ある時はこんな経験もしました。

その月は、運悪く月末に部長が出張することになってしまいました。しかし、部長のスケジュールに関係なく、経理では月末の指定日までに承認を得て支払いをしなければなりません。

事前に部長と打ち合わせて、出張から帰ってくる日に承認をもらうことになっていたのですが、当日になって、なんと別のアポが入ったから事務所に寄らずに向かうという連絡が…。

「そんなのないよ…」と思いながら、部長の乗った新幹線の到着時間を調べる私。次の目的地に向かう乗り換えの時間がチャンスだと気づき、駅に向かって走ります。新幹線から降りてくる部長を出待ちし、乗り換え時間のわずか10分ほどで無事に承認を得ることができました。

事務職なのに、まさかこんな風に走る仕事があるとは、入社前には思ってもいませんでした。この話はとっておきの武勇伝ですが、他にも苦労した思い出が多く、今でも支払承認には苦い記憶が付きまといます…。

びっくりするほどアナログだった当時の経理

私の会社では、「作成した書類を直接上長に見せて説明し、判を押して承認してもらう」という承認スタイルがルール化されていました。

書類の紛失を防ぐためだけでなく、「会社のお金を動かす大切な事柄なのできちんと顔をみてコミュニケーションを取るべきだ」といった幹部の考え方も背景にあったようです。

経費精算も同様で、30人ほどいる営業社員が部長の元に紙の申請書を持ってやって来て、手渡しで小口現金を受け取るというアナログなスタイルでした。月末になると、会議や来客の合間を縫って部長のデスクに長蛇の列ができるという光景も頻繁に見かけました。

お金を動かす以上、きちんとコミュニケーションを取って確認しながら手続きをすることも大切ですが、あまりにアナログすぎる経理では弊害も発生します。直接承認をもらえるタイミングがなければ、私が経験したように休日出勤など労務の問題にも発展してしまうでしょう。

上長の承認が遅れると、その後の処理にも遅れが生じ、影響は広範囲におよびます。経理の現場にとって、「スムーズに承認ができない」ことは大きな課題だといえるのではないでしょうか。

システム導入で一気に解決!

アナログ承認の問題を解決するためには、やはりシステムの導入が効果的です。

例えば、申請から承認まで一貫してオンラインで完結できるシステムがあれば便利でしょう。スマートフォンアプリなどによる支払承認が可能になれば、申請者、承認者ともに自宅や外出先などからいつでも自由に操作できるので、スムーズに処理を進められます。

承認側は移動の隙間時間で承認を行うなど業務を効率的に進められることに加えて、「承認待ちで処理を進められない」という担当者サイドの問題を解決できるというメリットにもつながります。

さらに、一定金額を超える支払いには役員の承認を組み込む、特定の科目は人事の承認を通すなど、ワークフローを自由に設定できれば理想的です。さまざまな支払いにより柔軟に対応でき、円滑に業務を進められるでしょう。

まとめ

当時はアナログな経理で苦労していた社員も多かったのですが、コロナ禍を経てリモートワークが普及し、現在はシステムも導入されているようです。

働き方改革の流れもあり、当時私が感じていたような問題はかなり改善されているようですが、当時もし画期的なシステムが導入されていれば、もっと楽しく働けたのに…と思います。

アナログ経理に課題を感じている会社の方は、私のような思いをする若手社員を減らすためにも、ぜひシステム導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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