BPOで始めるDX

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BPOとDXも親和性があるのです

新聞等でDX(デジタル・トランスフォーメーション)の文字を見ない日がないくらい、DXという言葉がビジネスの世界であふれています。

DXを推進して、売上アップの成果を出すことは難しい面があるという話は見聞きすることはありますが、管理部門において、DXを推進して業務効率が上がったという話は、企業規模の大小を問わず増えていると感じます。

今回は、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を活用する過程でどのようにDXが推進されているのかについてご紹介致します。

BPOでどうしてDXが進むのか

DX自体は、BPOを実施しなくとも自社で独自に進めることが可能です。

ただ、BPOを導入しようとする場面で、以前であれば現在の業務フローのまま進めようとしていた企業が、昨今は同時にDXを進めるケースが増えているのです。

BPOを導入する場合に、誰でもできる仕組みが作られることが副次的な効果としてあげられます。そのためには、社内の人が実施している方法を外部の人であるBPOベンダーができる仕組みに変える必要があります。

社内の人が対応していると業務自体が属人化されやすいですが、外部に委託するとなると業務の流れを標準化することが重要となります。逆に標準化がされない状態でBPOを実施しても、思った以上にBPOの効果が出てこないことになってしまいます。

クラウドシステムの導入で業務範囲が広がる

以前はBPOで外部委託をするというと、発注側の認識として、現地に人を送り込んでもらうことを前提と考え、その上で相談を受けるケースが多かったです。

会社に常駐していないと経理システム等にアクセスすることができないので、会社に来てもらうことを前提に依頼がされていたというのが要因の一つでした。

ただ、現地に人を派遣する形式の場合、BPOベンダーも必ずしも人を送り込むことができず、結果として業務を受けることが難しいということでお断りしてしまうということもあります。

そこで、BPOの委託を検討する際に、あわせて経理システムをクラウド型のものに切り替えて、現地訪問を前提としないBPOの導入をするケースも増えてきています。

昨今はクラウド型の会計システム等がリーズナブルな値段で提供されていることや、データの移行がスムーズに行われたり、スイッチングコストが低くなっていることも導入が増加している要因の一つとして挙げられます。

ストレージサービスやワークフローも活用

BPOを実施するに際して、経理関係の資料の共有が必要になりますが、そのためのツールとしてストレージサービスが利用されるケースも増えてきています。

郵送で資料を送っていたものを、ストレージサービスを利用するとインターネット上でファイルを共有することになるので、郵送にかかっていた時間が無くなる分、情報の共有速度があがりますし、紛失リスクも低下します。

ただ、共有するメンバーを適切に管理しておかないと、本来見せてはいけない人に情報を共有してしまうといった事故も起こりがちです。この点については細心の注意が必要になります。便利になった分、リスクも増えているという視点も必要です。

また、資料の共有にあたって、クラウド型のワークフローシステムを導入して、システム上に経理資料を共有することでBPOベンダーに資料を提供するという方法を実践しているケースもあります。

これらの方法を実施することで、今まで紙で保管していた書類をクラウド上で保管するといった流れに切り替えることも可能で、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度を活用する企業も増えてきています。

タスク管理の共有もクラウド上で実施

業務がスケジュール通りに進捗しているかを管理することは重要です。特に経理業務では、期限管理が重要で、期日までに業務が完了していないと信頼関係を失うことにもなりかねません。

例えば、期日までに支払処理を完了させる、期日までに子会社の決算を完了させて、親会社の連結決算のスケジュールに支障が出ないようにする、納税を期限に完了させるといったように1日でも遅れるとペナルティ含めて影響が出るタスクが多いです。

そのため、タスク管理をどのようにしていくのかということも課題の一つになります。

以前はExcelでタスクリストを作って、押印しながら進捗管理をしていた企業も多いと思いますが、この領域でも最近はインターネット上でタスク管理ができるシステムがリリースされています。このようなシステムを使えば、リモートワークをしているメンバーがいてもオンライン上で業務の進捗確認ができます。

タスクが可視化されることで業務の漏れがなくなるので、経理部門の課題の一つである業務の進捗管理に貢献しているといえます。

DXが叫ばれている昨今ですが、経理業務周りのDX推進を検討している企業も多いと思います。今回は、BPO導入を機会にDXを推進しているケースについてお話しました。BPOとDXという2つの視点を併せて考えるきっかけになればと思います。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:中尾 篤史(公認会計士/税理士)

CSアカウンティング株式会社 /代表取締役社長 著書に『DX時代の経理部門の働き方改革のススメ』、『瞬殺!法人税申告書の見方』(税務研究会出版局)、 『正確な決算を早くラクに実現する経理の技30』、 『BPOの導入で会社の経理は軽くて強くなる』(共著)、 『対話式で気がついたら決算書が作れるようになる本』(共著)、 『経理・財務お仕事マニュアル入門編』(以上、税務経理協会)、 『たった3つの公式で「決算書」がスッキリわかる』(宝島社)、 『経理・財務スキル検定[FASS]テキスト&問題集』(日本能率協会マネジメントセンター)、 『明快図解 節約法人税のしくみ』(共著、千舷社)など多数。

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