コロナ禍で変わる経理、3つのトレンドとBPO

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コロナ禍が経理を変える

今回は、「2021年の経理部門におけるトレンド」というテーマについて考えたいと思います。
2020年の当初から猛威をふるっている新型コロナウイルスが、経理業務にも大いに影響しているということは間違いないでしょう。

新型コロナウイルス対策の一つとして、在宅勤務が奨励されています。経理部門も例外ではなく、在宅勤務の導入を進めていることと思いますが、そのための手段をどうするか? が経理のトレンドになっています。

代表的なものを3つ挙げるとすると、

  1. クラウド化
  2. 自動化
  3. ペーパーレス

ではないでしょうか。

それぞれについて見ていきましょう。

クラウド化すれば在宅勤務は実現できる

「会社に来なければシステムにアクセスできない」といった理由で、出社を余儀なくされている経理のメンバーもいることと思います。このような悩みを解決する方法の一つが、クラウド化です。

ここ数年経理システムをクラウド化している会社が増えてきていますが、中小企業含めて導入が進んでいるのが、会計システムや経費精算システムのクラウドサービスの導入です。

クラウドのシステムでは、インターネットを通じてサービスを利用できますので、会社に出社せずに自宅やサテライトオフィスといった場所でも仕事をすることができるようになるのです。担当者であればデータの入力、上司であればできあがった数字の確認といった業務が在宅で実施可能となります。

中でも経費精算システムは、経理部門の社員に限らず全社員に関わるものなので、クラウド化によるメリットをより実感できると思います。

経費申請をする社員はスマホで領収書の写真を撮って、経費精算システムにアップロードすることで申請が可能となりますし、申請者の上司は経費精算システムにログインして写真と入力データを確認することで承認が可能です。従業員の口座に送金を行う経理部門の社員も、経費精算システム上でデータの作成・承認や銀行への送金手続きまで実施が可能です。これら一連の手続きは、クラウドシステム上で実施するのであれば、在宅で完了させることができるのです。

また、令和2年度の税制改正で、キャッシュレス決済した電子的な明細があれば紙の領収書を受領しなくても良い、という電子帳簿保存法の改正が入りましたので、電子帳簿保存法を適用している会社で上記のような明細を取得できるシステムを使っている会社であれば、スマホで領収書の写真を撮るという必要もなくなりました。これは、後ほどお話しするペーパーレス化の流れの一つでもあります。

なお、少し余談になりますが、クラウド化が進んで在宅勤務が恒常化すると、実は出張等の外出や接待等もなくなり、経費精算の申請数が大幅に減ってきているというのは現場の実感です。そのため、経理部門の経費精算にかかる労力がクラウド化とともに減ってきている印象ですが、これもトレンドの一つかもしれません。

自動化すれば経理はもっと楽になる

2つ目のトレンドは、経理処理の自動化でしょう。

書類を見てデータ入力をして決算書を作る、というのが一般的な経理の流れではありましたが、このデータ入力というのが会社の規模によっては相当大量、かつ人力に頼る面が多く、経理部門の社員が疲弊する要因のひとつと言えます。

データ入力に関して、最近では「いかに人の手で入力せずに経理を完結できるようにするか(データ入力の自動化)」という視点がフォーカスされてきています。自動化の一つに、API連携があります。具体的には、銀行の入出金データを自動的に取り込めるような会計システムが提供されています。

今までであれば通帳を見ながら手で入力をしたり、あるいは手入力をしないまでも、銀行の入出金データをダウンロードしてきて、CSVデータを会計システムに流し込むというフローが多かったと思いますが、API連携することでこのような作業から解放されるようになるのです。

また、自動化の流れの一つにAI-OCR機能を使った手入力の省略ということもあります。

具体的には、領収書や請求書のスキャンデータをAI-OCR機能を使うことで、仕訳データが自動生成されるのです。認識率の向上や複数行の仕訳の生成といった課題もありますが、まだまだ紙の書類が多い経理部門にとっては、紙の書類をスキャンすることで一定のデータが生成されるのであれば、手作業の時間を大幅に減らすことは可能なので、今後の機能向上に期待をしたいですね。

自動化については、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を活用している経理部門も増えてきています。必要な帳票類の打ち出しや定型的な会計レポートの作成をRPAに実施させている、といった例が見られます。

ペーパーレスが出来ればフル在宅も可能になる

トレンドの3つ目はペーパーレスです。

とにかく今までの経理部門は紙が多いです。領収書、請求書、契約書といった経理データのもととなるものはほとんど紙ではないでしょうか。既にペーパーレス化に舵を切っている大企業は別として、中小企業はまだまだ紙が主流です。在宅勤務を推進しようという流れが醸成されている中で、一番のボトルネックは“紙”の存在です。

情報管理の観点から、紙の持出を禁止している企業は多いですし、仮に持ち出せたとしても、紙を持ち帰るために出社するという本末転倒な流れとなってしまいます。そこで考えなければならないのが、ペーパーレス化なのです。

自社で発行する請求書であれば、システムを利用することで紙の発行をなくすことは可能です。昨今のコロナ禍の影響で、請求書を受け取る側もペーパーレスを望んでいるケースが増えていますので、発行する請求書については、自社さえその気になれば導入は一気に進められます。

これに対して、受け取る方の請求書はやや難しさがあります。先ほど記載した通り大企業であればこの機会にペーパーレス化を進めて、請求書を電子化しているケースは増えましたが、中小企業ではまだまだ導入が進んでいないため、紙で受け取らざるを得ないケースが多いというのが実感です。

それでも自社内でペーパーレスを進めるというのであれば、電子帳簿保存法を適用して、受け取った請求書を電子化して保存するという流れもあります。電子化と併せてAI-OCRの機能を活用出れば、手入力をなくすということも可能です。

また、電子帳簿保存法については令和3年度の税制改正でスキャン保存等に関して緩和され、導入のハードルはかなり下がりましたので、ペーパーレス化を進めたい企業にとっては朗報です。ただ、不正防止の観点からペナルティについても強化がされていますので、導入する場合は内部管理の体制を整えて実施すべきということは言うまでもありません。

BCPの観点からBPOを検討する企業も増加

新型コロナウイルスの蔓延に伴って、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を検討している企業は増加傾向にあるという実感がありますが、その理由の一つは

「経理部門は止められない」
「でも、社内のリソースだけに頼るべきではないのではないか」

というBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)としての観点からです。

つまり、事業を継続するにあたって、経理業務は機能として止めてはならない一つであり、在宅勤務がままならない経理部門では一部の業務を外部に委託して、機能を止めない保全をするという視点からBPOを検討しているのです。

今回は、新型コロナウイルスを奇貨として進化している経理の最新トレンドとBPOへの期待というテーマでお話をいたしました。コロナ禍で変化を余儀なくされている経理部門にとって、事業継続のためのヒントになれば幸いです。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

本ブログは、経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」を提供しているマネーフォワードが運営しています。

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執筆:中尾 篤史(公認会計士/税理士)

CSアカウンティング株式会社 /代表取締役社長
日本公認会計士協会 租税調査会 租税政策検討専門部会・専門委員
著書に『経理部門の働き方改革のススメ』、『瞬殺!法人税申告書の見方』(税務研究会出版局)、
『正確な決算を早くラクに実現する経理の技30』、
『BPOの導入で会社の経理は軽くて強くなる』(共著)、
『対話式で気がついたら決算書が作れるようになる本』(共著)、
『経理・財務お仕事マニュアル入門編』(以上、税務経理協会)、
『たった3つの公式で「決算書」がスッキリわかる』(宝島社)、
『経理・財務スキル検定[FASS]テキスト&問題集』(日本能率協会マネジメントセンター)、
『明快図解 節約法人税のしくみ』(共著、千舷社)など多数。

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