【後編】『経理高速化のための7つのITツール活用戦略』著者・古旗淳一先生が語る!ルーティンワークの創意工夫がキャリアを切り拓く

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正確かつ迅速にマルチタスクをこなすことが求められる経理の仕事。しかし、ルーティンの業務に忙殺されてしまい、疲弊している人も多いかもしれません。仕事のやりがいを見失わずに経理を楽しむためには、どのような心構えが必要なのでしょうか。公認会計士の古旗淳一先生へのインタビュー後編では、経理の仕事をより楽しむ方法について教えていただきました。

経理部門に所属していたころの創意工夫をまとめた著書『経理高速化のための7つのITツール活用戦略』では、効果的かつ効率的な仕事を目指すうえで欠かせない考え方を余すところなく伝えています。そんな古旗先生が若手経理に伝えたいこととは?
聞き手は前編に引き続き、マネーフォワードで経理の経験を積んできた杉浦が務めます。

取材ご協力:公認会計士 古旗淳一氏。
長野県長野市出身。金沢大学卒。公認会計士試験合格後、コンサルティング会社、会計事務所を経験したのち、東証一部上場企業にて社内経理に携わる。現在は株式会社STRコンサルティングを立ち上げ、M&A・連結会計・組織再編税制の分野で活躍中。

1.自分なりの創意工夫を施し芸術作品を創りあげていく

――杉浦:古旗先生は、経理という仕事の面白さはどのようなところにあると思われていますか?

古旗先生(以下、古旗):やはり、数字を通して会社組織を理解できるところでしょうか。ただし、若手のうちはルーティンワークを任されることが多いと思うので、その楽しさを理解するのは難しいかもしれません。となると、どのステージでも共通して感じられる楽しさは「効率化のために創意工夫できるところ」だと思います。そこには、芸術作品を創作するような面白さがあると思いますね。

――杉浦:芸術作品ですか!言われてみると確かにそうかもしれません。

古旗:経理の仕事ほど自分の思い通りになる仕事って、あまりないと思うんですよね。たとえば営業であれば、お客さまの考えに合わせなければいけない部分が多くありますから。経理の場合は、稀に変わり種の仕事が飛んでくることもありますが、基本的には毎月同じようなタスクが与えられます。それを反復するだけではなく、自分なりに工夫できるのは、経理ならではの面白さではないかなと。

――杉浦:なるほど。

古旗:お恥ずかしい話ではありますが、私は自分が昔作ったExcelシートを見るとうっとりしてしまいますからね(笑)。たとえば、元資料のデータが記載されたシートを全部コピーして、自分が作ったExcelシートに貼り付けるだけで仕訳が出てくる、みたいな。

――杉浦:それは確かに気持ちいいですね。

古旗:ただ、私の場合は一発で完璧なものは作れませんでしたね。翌月になって同じ作業をしてみて「もうちょっとここを直しておけばよかった」と気づき、さらに直していく。一年ほどで本当に納得できるExcelシートが完成しました。時間はかかりますが、試行錯誤している時間も楽しいです。

2.これからの経理に必要な能力とは?


――杉浦:一方で、経理の仕事に使命感を抱けず、仕事を楽しめていない若手も多い気がしています。

古旗:それは、言われたことだけをやっているからかもしれないですね。自分なりに効率化のための工夫をしないと、年に一回、紙帳簿を全部ひっくり返して請求書を探すような非効率な作業をし続けることになりますので。これでは経理の楽しさを感じられませんし、いつまで経っても仕事はつまらないままではないでしょうか。

――杉浦:おっしゃる通りだと思います。私も、何の意味があるのか分からないルーティンワークが本当に嫌いで、少しでも楽になるようにExcelを作り変え続けていました。経営層の意思決定に役立つ数字を報告することに使命感を抱いていたので、他のことに時間が取られる状況を改善したかったんですよね。その意味では、ツールを使いこなす腕が上がったから、頭を使う時間が増えたのかなと思います。

古旗:素晴らしいですね!

――杉浦:結局、帳簿の数字を分析するうえで、経理が使える武器はExcelやスプレッドシートですもんね。これらの武器は、作業効率を上げつつミスを抑えられるよう自分なりに工夫して作りこんでおくことが大切です。そのうえで、人間にしかできない分析能力を鍛えるべきだと思うんです。

古旗:今後はおそらく、経理の仕事はどんどんAIや機械に置き換えられて、全体の人数は減っていくはずです。一方で、経理業務のひとつである「会社の数字を読み解いて説明する」という作業は、AIや機械には難しいと思うんです。会社の数字が読めなければ経営は成り立ちませんから。だからこそ、経理として付加価値を高めるためには分析能力を身につけた方がいいと思います。

――杉浦:数字をどう判断するかは、簿記を学んだだけでは得られませんよね。

古旗:そうだと思います。もちろん簿記二級くらいの知識はベースになりますが、それ以上に実務の経験が必要です。難しい会計処理を理解できるにこしたことはありませんが、それよりも現場で手を動かしたことがあるかどうかが重要だと思います。

――杉浦:頭を使いながら手を動かすことが大切ですよね。

古旗:そうですね。やはり言われたことだけを淡々とこなすのではなく、どうすればもっとよくなるかを考えることしかないと思いますね。若手のうちは、チャンスもなかなか与えられないでしょうから。自分が与えられた範囲の仕事を、いかに正確かつスピーディーにこなすか。そのための仕組みを一生懸命考えることが大切です。

3.自ら変わることで経理としての価値を高める

――杉浦:ただ残念なことに、頑張っても会社から評価されないケースもありますよね。

古旗:経理は売上を出す部門ではありませんからね。どれほどに正確な仕事をしても、効率化を実現させて生産性を上げても、人事評価につながらないケースは多々あると思います。とはいえ、本当に腕のある経理だったらいつでも他社へ転職できる、というのもまた事実です。

――杉浦:私の場合、前職で経理業務の効率化に向けて積極的に取り組んでいたものの、なかなか評価されませんでした。その後、三年目になって自分から賃金交渉をしたのですが、残念ながら待遇は変わらず。こうして転職するにいたりました。

古旗:努力していたからこそキャリアアップができたのですね。「経費精算しかしていませんでした」では転職先も限られてきますが「月次決算は単独でばっちり締められます」とアピールできれば経験値を高く評価されるので、チャンスはかなり広がるはずです。

――杉浦:経理は責任の割に待遇や評価が悪くて、不満を抱えてしまうこともありますよね。それでも、会社が無理解だからといって最低限のことしかしなければ何も身につかないし、キャリアアップもできないと思うんです。会社は無理解かもしれないけど、いろいろな本を読んで勉強して業務改善に活かしてみるとか。きっとそんなことをしていたら、いつの間にか引く手あまたのスキルが身につくのかなと。

古旗:その考え方は重要ですね。腐りそうになる気持ちはよく分かりますが、会社が無理解だから成長できない、なんてことは絶対にないですから。与えてもらうのではなく、自分から変えていくことで市場価値のあるスキルが手に入るはずです。

――杉浦:本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

<前編はこちら:【前編】『経理高速化のための7つのITツール活用戦略』著者・古旗淳一先生が語る!無駄を省きスキルを上げる経理の仕事術

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:末吉 陽子 (すえよし ようこ)

1985年生まれ。日本大学藝術学部卒業後、広告制作会社に就職。営業・制作ディレクターを経て、2012年にフリーランスの編集者・ライターとして独立。インタビューをメインにビジネスからカルチャーまで幅広いジャンルの媒体に寄稿している。



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