新卒の頃、貯金してた? 人生の先輩が語る「社会人1年目のお金のススメ」

読了まで約 10

新年度がやってきました。この春、社会人デビューを果たした方は初任給を心待ちにしているかもしれません。一方、安定的に収入があることで、毎月いくら貯金すればいいか、どんな方法で貯金すればいいかなど、お金の管理に悩んでいる方もいることでしょう。

そこで、家計改善サービスを手掛けるmirai talkの社員のみなさんに、社会人1年目の貯金の向き合い方について語ってもらいました。20代、30代、40代の人生の先輩からどんなアドバイスが聞けるのでしょうか。

秋山 芳生(あきやま よしお)※写真左から
mirai talk取締役・事業責任者
大学卒業後、2001年に博報堂入社。2014年にマネーフォワードに入社。PFM(Personal Financial Management)本部長、Fintech事業推進本部長を経て2018年1月にmirai talkをオープン。現在は事業責任者のみならず、FPとして毎日お客さまの悩みに寄り添っている。
福田 順一(ふくだ じゅんいち)
mirai talk CFP
大学卒業後、保険会社に就職し代理店営業に従事。保険だけでなく幅広い金融商品の知識も持ち合わせ、CFPを取得。2018年2月からmirai talkのFPとして家計や保険の見直しを行っている。
星 絵里子(ほし えりこ)
mirai talk アシスタント
大学卒業後、証券会社でリテール営業に従事。2018年3月にmirai talkにジョイン。証券営業の経験を活かし、FPアシスタントをしている他、お客さまからのお問い合わせや社内のスケジュール管理などの対応をしている。

新卒の頃、ちゃんと貯金してたっけ?

――みなさんは社会人1年目のとき、計画的に貯金をしていましたか?

秋山:もう20年以上も前のことなので参考にならない気がしますが(笑)、貯金は全然していなかったですね。広告代理店の博報堂に勤めていて、当時はめちゃくちゃ残業していたので新卒でも年収500~600万円はもらっていたと思います。

夜中にタクシーで家に帰って、朝9時には出社する毎日。お金の使い時はないかと思いきやそんなことはなくて、飲み会と服とクルマにつぎ込んでいましたね。

――時代が違うみたいですね(笑)。

秋山:そう、時代が違う。会社の先輩もみんなクルマを持っていましたね。私は国産自動車メーカーのクライアントを担当していたんですが、国産はそのメーカーのクルマしか買っちゃいけないんですよ。でもなぜか外車だけは許されていたので(笑)、外車を買って1年目からローンを払っていましたね。

飲み会も合コンの誘いが多くて……。当時は見栄を張る時代で、男性がお会計を払うのは当たり前だったのでとにかくお金がかかりましたね。

――福田さん、星さんはいかがでしたか?

福田:就職するときに地方から東京に出てきて一人暮らしをすることになったんですが、「家賃、高っ!」と驚いたのを覚えています。保険会社に就職し、新卒のわりにはお給料もよかったのですが、新卒1年目でなるべく奨学金を返そうとしていたので貯金する余裕はありませんでした。

毎月の赤字をボーナスで埋める、先にクレジットカードで払って再来月に繰り越すといった自転車操業のような生活をしていましたね。

星:私は新卒で証券会社に入社しました。当時は実家に住んでいましたが、実家にお金を入れたり、奨学金を返済したり、また歯科矯正も始めたので毎月の出費が一気に増えましたね。

毎月お給料が入ってくるから、まぁ大丈夫だろうという油断で貯金は全くしていませんでした。住む場所には困らないので、使いたいように使っていましたね。


星さん「毎月計10万円ぐらいは自動的になくなっていくような……(笑)」

――みなさんが貯金を考え始めたのは社会人何年目ぐらいからでしたか?

星:社会人3年目ぐらいからですね。 ちょっとずつ周りの人とお金の話をするようになったり、先輩たちが結婚や出産を経験したり、ライフステージが変わりつつあるときにお金の向き合い方が変わり始めましたね。

その後は実家を出て、会社の借り上げマンションに引っ越しました。一人暮らしの家計を“体感して学ぶ”ことから始めました。

福田: 私も3年目ぐらいですかね。当時、マネーセミナーを行っている取引先を担当していたんですが、そこで「これからは人生100年時代。老後の資金は大丈夫ですか?」といった内容があるじゃないですか。それを自分に照らし合わせたときに「これはまずいな」と思い始めて(笑)。

投資信託や貯金を始めようと資産形成に意識が向き始めましたね。金融業界だったので、知識豊富な先輩や同僚から情報を得て、徐々に始めました。

秋山:リアルな話をすると、30代中盤くらいまでは貯金について全く考えてなかったですね。どうやって自分の価値を上げて、収入を上げるかということには興味がありましたが。

守りは後でいいや、どうにかなるさと思っていたんですが、結婚するとなって「まずい」となりましたね。 結婚して子供ができて、家族を守る責任が生じるじゃないですか。

これまでは自己投資に興味があっていかにできることを増やすかとか、人脈を増やすかとか、そういうことを考えてお金を使ってきましたが、守るものが増えて初めて資産形成が重要だなと考えるようになりましたね。

毎月いくら、どうやって貯金すればいいの?

――みなさん社会人1~2年目は貯金をしなかったようですが、今1年目に戻ったら計画的に貯金しようと思いますか? また思う場合、どんな方法で月額いくら貯金しますか?

秋山:今戻っても貯金しようとは思わないですね(笑)。何か目的があってお金を貯めなきゃいけない人は貯金すればいいんです。だから、いくら貯金すべきかじゃなくて、その目的のためにいくら貯金が必要かを逆算して貯めていけばいいんです。

ただ個人的には、新卒から計画的に貯金するのはナンセンスだと思っています。社会人1~2年目の成長期に栄養を与えるべきです。経験を積んだり視野を広げたり、その後の収入アップにつながるための自己投資にお金を使った方がいいです。なので、社会人1年目は「お金の貯め方」よりも、有益な「お金の使い方」を意識すべきですね。

ただ、借金だけはしないこと。自分の収入の中でやりくりすることは大事ですね。貯金ができなくても借金さえしなければいいと思います。


秋山さん「貯金ができなくても借金さえしなければいい」

星:残ったら貯めるじゃなくて「先に貯めておく」ことは、少額でも数年経てばまとまった金額になるのでやっておくと安心かもしれませんね。

私は新卒で入った会社を退職するタイミングで、「財形貯蓄(勤労者財産形成貯蓄制度)」で貯まっていたお金が戻ってきました。引っ越しの初期費用分ぐらいの額はありましたね。

入社当初から財形貯蓄をしていたみたいなんですが、毎月給与から天引きされていても給与明細を見ていなかったので知らなくて(笑)。財形貯蓄制度がなくても、自分で積立預金口座を作って給与から天引きされるようにすると、手をつけずに貯めることができますよね。

福田:私も1年目に戻ったら現金を月々貯めますね。1年目からやるかどうかはわかりませんが、余力があれば積立投資をやります。これは早くからやっておけばよかったなぁと思いますね。

あと、勤務先には「確定拠出年金制度」があったのですが、運用銘柄を変えておけばよかったなぁと思います。

基本的には企業型の確定拠出年金は、事業主負担で毎月数千円が積立されます。私は最初の設定で、元本保証100%の商品が置かれていたんですね。会社から何も説明を受けていなかったので、何も知らないまま元本保証型の銘柄のまま3年ぐらい回していたんですよ。でも元本保証型は低金利のため資産を大きく増やすことはなかなか難しいですよね。

途中から元本変動型の銘柄に変えて積極的な運用に変えましたが、もう少し早く見直していたらなぁと後悔しています。新卒に戻るなら、確定拠出年金の銘柄はちゃんとチェックしたいですね。

人生の先輩が語る「このお金の使い方はNG!」

――秋山さんは、新卒の頃は「お金の使い方」に着目すべきだと仰っていましたが、お金を使う際に注意すべきポイントはありますか?

秋山:自己投資になっているかどうかがポイントですね。

例えば、人生100年時代の生き方について書かれたベストセラー『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』の著者であるリンダ・グラットンは、人生においては有形資産だけでなく無形資産にもっと目を向けるべきだと言及しています。

まず有形資産とは、貯蓄をしたり金融商品を購入したりすることですね。

一方、無形資産とは大きく「生産性資産(知識やスキル)」「活力資産(健康や友人や家族)」「変身資産(常に自分を変えていく能力)」の3つに分けられます。

この無形資産は経験や価値としてストックされていくんですよね。新しい仲間を作ったり、いろんなスキルを身に着けたりすることで、人生における選択肢や可能性が広がります。この資産を作るためのお金の使い方は自己投資と言えます。

私は、若いうちは無形資産を作る時期だと思っています。それがいずれ有形資産に変わっていきますから。

――逆に、無駄だったと思うお金の使い方はありますか?

福田:僕はギャンブルですかね(笑)。2年目以降は何も考えずにお金を使っても余剰資金があったので、主に資格の勉強やセミナー受講の費用に充てていました。これは後悔してないです。

でも余剰資金をギャンブルにも使っていたので、浪費したお金は後悔しています。将来に繋がらない浪費だったと思うので、その比率が高くなりすぎてないかバランスをコントロールしていればよかったと思います。


福田さん「娯楽は限度を超えないように」

星:私はお客さんとご飯に行ったりイベントに行ったり、視野が広がる自己投資でもその頻度が多すぎたかなと思っています。「誘われたら全部行く!」とノリがよすぎたので(笑)。もう少し身の丈にあった、あるいは頻度を落とした交際を心がければよかったです。

秋山:飲み会や服など、価値としてストックされない出費の比率が高すぎるのはよくないなと思いますよね。どうでもいい飲み会でおごったりしていたのは、今思うといくらになってるんだろうなぁ、無駄だったなぁと思いますね。

――最後に、新卒社員にこれだけは意識してほしいという「お金のススメ」を教えてください。

秋山:自己投資をして借金するな、ですね。

福田:高い固定費や借金があると、それに縛られてしまって、貯めたいときに貯められなかったりお金を使いたいときに使えなかったりします。

最低いくらの生活資金が必要で、余剰がいくらあって、その余剰資金を貯金するのか投資するのか。収支を把握してコントロールするのが一番大事かなと思います。お金をコントロールして、振り回されないようにしたいですね。

星:引っ越しや転職、結婚式などイレギュラーな出費に困らないよう、月収の1.5~2カ月分を貯めておけば安心なのではないでしょうか。何かにチャレンジしたいときも資金があればもっとチャンスが増えますよ!

mirai talkはマネーフォワードから生まれた公平で安心できるお金の相談窓口です。新宿駅から徒歩約5分。本気で家計を変えたい人のための「新・貯まる家計養成プログラム」を提供しています。
※2019年11月30日をもってmirai talk新宿店を閉店いたしました

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。