「家賃8万円の1K」 歌舞伎町ホストが語る“質素すぎるお金の話”

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新宿・歌舞伎町のホスト街。数百店舗のホストクラブがひしめくこの街で「神様ホスト」と呼ばれる人物がいます。ホストクラブ「CANDY」の代表をつとめる心之♂友也(こころのともや)さんです。

友也さんは大学卒業後、内定先を蹴って夜の世界へ飛び込みました。タワマンに高級外車……さぞ派手な金満生活を送っているのかと思いきや、実際の生活はとても質素だそう。ちょっと謎めいている友也さんの経歴やお金の話を、税理士の安藤由紀さんが聞きました。

「神様ホスト」と呼ばれる男

【プロフィール(左)】心之♂友也(こころのともや)
ホストクラブ「CANDY」代表
1989年、大分県生まれ。ホストジャーナリスト。アイドル研究家。大学卒業後、ホストとしてCANDYで働き始める。特技は人に寄り添うこと。愛するみんなと過ごす毎日がホリデー。2018年度年間組数No.1、年間組数1450本超、月間売上3000万超。
Twitter:@cocorono_t

【プロフィール】安藤 由紀(あんどう ゆき)
税理士/安藤由紀税理士事務所
大学卒業後、銀行勤務を経て2008年に税理士登録。大学講師やセミナー講師を務めるかたわら、執筆業にも従事している。税金や経理について、わかりやすい解説に定評あり。
Twitter:@andoyuki_ ブログ:https://ameblo.jp/ando-tax/

安藤由紀さん(以下、安藤):税理士の安藤です。今日はよろしくお願いします。

心之♂友也さん(以下、友也):これってハニートラップじゃないですよね? ぼく、仕事以外で女性と会わないようにしてるんで。あと、最初に言っときますけど、めっちゃ納税してますからね!

安藤:そんなに警戒しないでください(笑)。友也さんのお金の話もそうですが、経歴も気になります。いつからCANDYの代表取締役をされているんですか?

友也:CANDYの代表取締役になったのはちょうど2年ほど前で、今は3年目ですね。“代表取締役”といってもCANDYは株式会社ではないので、本当はそんな役職ないんですけどね。勲章みたいなものです。お店の代表ということ。ぼくを含めてCANDYのホストはみんな個人事業主です。

安藤:友也さんはいろんな肩書きがありますよね。

友也:歌舞伎町のホスト事情に詳しいので「ホストジャーナリスト」を名乗っていたり、無償の愛を心がけているので「神様ホスト」と呼ばれたりしています。迷走してますよね

公務員の父親にも「ホストを認めてもらえた」

安藤:友也さんは大卒なんですよね? いつホストになったんですか?

友也:大学在学中からバイトでホストをやってました。今は29歳なんで10年弱ですね。

地元は九州で大学進学で上京したんです。父親は公務員で、学校の校長先生をしてたんですよ。父親には「水商売以外だったら好きなことやりな」って言われていました。そんな家庭で育ったんで、ホストの世界ではぼくが誰よりもちゃんとしてますよ。

ぼくのインタビューは「親が公務員です、以上」でいいですよ。

安藤:もう少し聞かせてくださいね(笑)。あえて水商売に進んだきっかけは?

友也:両親のことはとても尊敬していますが、「その両親が唯一否定する職業ってどんな悪いことなんだろう」っていう興味から飛び込んだ部分がありますね。

安藤:大学生の頃に就活はしなかったんですか?

友也:ちゃんと就活してていくつか内定ももらってたんですけど、そもそも就活っていうシステムにすごく疑問があったんですよね。みんな同じ髪型にスーツに自己PRに……。何十分かの面接で優秀な学生を演じた者が勝ち抜けしていく変なレースだなぁと思ってました。おとなしく没個性した方が“選ばれる”って違和感ありません?

それなら熱意や野望を持った仲間と一緒に事業をやる方がいいなと思ったんですね。そのための資金やコネクションを作るために、内定を全部蹴って、バイトから本業ホストに乗り出しました。卒業式の翌日からCANDYで働き始め、売上を積んで、代表を任せてもらうようになりました。

安藤:代表になるまでに相当な努力や苦労もあったのでしょうね。ご両親には今の職業を伝えているんですか?

友也:1~2年前にホストをやっていると明かしました。代表まで上り詰めたことで、意外にも認めてもらえましたよ。こないだ給与明細を写メって「頑張ってるよ」と連絡したら、めっちゃ態度を変えてきたんで、とりあえず1泊2日で帰省しときました

1年前まで「家賃8万円の1Kの5畳半」


安藤:お金の話もうかがいますね。単刀直入に聞きますが、これまでで一番売上を上げた年って、いくらぐらいの売上になったんですか?

友也:売上は毎年ランボルギーニを余裕で買えるぐらいですね。そのうち半分ぐらいが自分の報酬じゃないかな。

といっても、ホストクラブには売掛システムがあるんですよね。いわゆるツケですね。ツケを支払わずに“飛ぶ”お客さんがいたら、その分は自分で補てんしなきゃいけないこともあるんですよね。

それ以外にもメンバーのモチベーションアップのためにご馳走したり、ねぎらうために飲み会を開いたりと出費も多いです。超お金持ちって感じではないですよ。

<売掛金>
主たる営業取引から発生する未収入金のこと。一定の期間で回収される。いわゆる未回収の「ツケ」のこと。

安藤:十分お金持ちですよ。ホストといえば私生活も派手なイメージですが、何にお金を使っていますか?

友也:なんだろう。モノに執着ないんですよ。ブランド品とか買わないし、健康にお金をかけるぐらいですかね。寝具とか。

唯一買った高価なものといえばシモンズのベッドとマットレスです。睡眠の質をあげたくて買いましたが、マットレスだけで25万円。でもそれぐらいですね。かっこつけるより人間として勝ちたいんで。

安藤:(笑)

友也:そろそろ車も買おうかなって思っています。でも、ホストって毎日のようにお酒飲まなきゃいけないんで、あんまり車も乗れないんですよね。こんな風貌で車乗ってるヤツはだいたい飲酒運転ですよ。

安藤:そんなことないと思いますよ。おうちはどんなところにお住まいですか?

友也:1年前に2LDKの物件に引っ越しましたけど、50平米で家賃14万円の超優良物件ですよ。築40年ぐらいでドア開けて部屋の中に入るまではアジトみたいな雰囲気ですけど、中はフルリノベーションで最高の物件ですよ!

正直、いいところに住むことにも興味なくて、引っ越すまでは家賃8万円の1Kの5畳半に住んでいたんです。後輩のホストにいらない服をあげようと思って家に取りに来てもらったら、「友也さん、ここに住んでるんですか……?」「連れ込み部屋じゃないんですか……?」って言われちゃって、上に立つ人間なら、ちゃんとしたところに住まないとほかのメンバーからしたら夢ないよなぁ……と思って引っ越しました。

でも、ぼくにとって今の部屋は広すぎて寂しいんで、ゴマちゃんのぬいぐるみを50体ぐらい置いてます。

「お客さんに貢ぐ」歌舞伎町ホスト事情

安藤:友也さんは個人事業主なんですよね。確定申告はご自身で?

友也:そうですね。したくてしたくて。税理士先生に協力してもらいながらやっています。CANDYは株式会社ジーディーという歌舞伎町のホストクラブを多数抱える企業が運営しているんですが、ホストにちゃんと確定申告するよう指導していますよ。だから、みんなも確定申告のやり方を知っています。

安藤:友也さんは確定申告のときにどういったものを経費にしていますか?

友也:お店に来てくれた方にプレゼントを渡すときは経費にしていますね。お店の外でお客さんと会うときにかかる費用も、基本的には経費にしています。

安藤:そうですね。売上に貢献するものであれば基本的に経費とみなしていいと思います。もしプライベートでプレゼントを渡した場合はもちろん経費になりません。

友也:ぼくはプライベートで女性と一切関わらないんで。

安藤:お客さんにはどういったプレゼントを渡しているんですか?

友也:ぼくはモノに執着がないんで、何をあげればいいかよく分からないんですよ。お客さんの誕生日プレゼントに、自分の写真を拡大して渡したときもあります。「ベッドの横に貼って添い寝毎日してる感じにしなよ~」って。泣いて喜んでくれましたよ。

ほかのホストは、ハイブランドのバッグだったりアクセサリーだったり、何十万円もするプレゼントを渡していますね。

安藤:ホストの方って、お客さんにプレゼントをもらうことの方が多いんですか?

友也:あげる方が多いです。ぼくがホストを始めたとき、歌舞伎町のホストクラブは180店舗だったのが今では250店舗もありますから。いまはお客さんの取り合いなんで、お店で会うこと以外にも、外で会ったりプレゼントをあげたりすることで指名を勝ち取っているんです。

だから、ぼくみたいな“特殊な人間”以外は苦労しています。ぼくは魅力っていうか、時空を超えてるんで

安藤:どういうことですか?(笑)

友也:中にはお客さんと半同棲するホストもいたりするんですけど、ぼく、みんなの心の中に住み着くタイプなんで、同棲のもう一個上なんですよ。同棲って一人としかできないじゃないですか。ぼくは全員と同棲以上してるんで。

あとは、お客さんをお見送りするのにかかったタクシー代も申告していますね。

安藤:それはバッチリ経費ですね。

友也:プライベートで女性とデートに行くとかそういうのは、もう絶対関係ない。ホストの仕事以外で、女性と関わったことないんで

安藤:そうなんですね。潔癖ですね(笑)。

<ホストの経費として認められるもの>
基本的には、売上に貢献するとみなされるもの。

(例)
・お客さんにあげるプレゼントの費用
・お客さんをお見送りする際のタクシー代
・衣装代や美容院代

税務署はホストのSNSもチェックする!?

安藤:逆にお客さんからプレゼントをもらうことはありますか?

友也:お客さんには「プレゼントいらないよ」って言ってるんで、そんなにないですね。ぼくはお客さんに会えた方が嬉しいから、店に来てくれるだけで十分なんですよ。

聞きたいのはあれですよね? 例えば、車をもらったり高級なアクセサリーをもらった場合、贈与税とかどうなるのかっていうことですよね。

ホストの中にはそういったものをもらう人もいますし、家を借りてもらったという話も聞きます。グレーな部分もあると思うんですけれど、どうなるんですかね?

安藤:いま出てきた例は、全て「贈与」ですね。部屋を借りるのも、やっぱり基本は贈与になります。年間110万円超の財産をもらったら税金がかかってきます

友也:そういった脱税を指摘される人って、どういう経緯で発覚しているんですか?

安藤:仮に不動産は登記が動くのですぐ分かりますね。マンションを買ってもらって自分の名義になったとき、税務署から「あなたはこのお金をどこから作ったんですか?」と問い合わせが来ます。

また、お店の運営企業は支払調書を税務署に提出するので、「この人にこれだけ払いました」というのは伝わっているんですね。あと、メディアやSNSでの発言もチェックしていると思いますよ。

友也:ぼくはSNSで上げないんですよ。天才なんで。「現金でいくら上がりました」とか「〇〇入れてもらいました」とかSNSに投稿している人もいますけど、大丈夫なのかと思いますよね。

<ホストがお客さんにプレゼントをもらった際の税金>
年間110万円超の財産をもらったら、贈与税が課税される。

<申告漏れを疑われるきっかけ>
・売上や所得の急増
・不動産の登記
・メディアやSNSでの投稿内容など

「R-1ぐらんぷり」に出場し、初戦敗退

安藤:ところで、友也さんは1人のお客さんに一晩で最高いくら使ってもらったことがあるんですか?

友也:500万円ですね。500万円分のシャンパンをオーダーしていただいて、シャンパンタワーをしました。

ちなみにぼくの営業スタイルは「組数重視」なんですよ。ホストには組数を稼ぐ「組数重視」と、1組の単価を上げる「売上重視」の2パターンがあります。ぼくはお金をいっぱい使ってもらうよりも、多くのお客さんにお店に来てほしいと思ってますね。プライベートで女性と関わらないくらい女性がそんなに得意ではないので

安藤:そんなに何度も言わなくても(笑)。最後にお聞きしますが、今後の目標などはありますか?

友也:そろそろCANDYからもう1店舗出店して、そこでまたアタマをはって経営を手掛けていきたいですね。ホスト業界の同志を募って、より上に行きたいです。

今年は外国語を勉強して、東京オリンピックとかで流れ込んでくる外資の受け皿になろうかなって思っています。

あと、最近お笑いに目をつけたんですよ。芸人さんってみんなに愛されるじゃないですか。だから、こないだ「R-1ぐらんぷり」に出場したんですよ。ネタには自信があったんですけれど、初戦敗退でしたね。

安藤:今後の活躍が楽しみです。ありがとうございました。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

BIZ KARTE編集部

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