頭がいっぱいになるときは1枚の紙を使え!仕事に追われる経理担当を助けるライフハック

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こんにちは。いきなりですが、こんなお悩みはないでしょうか。

毎日いろいろな仕事がやってきて頭がいっぱいになってしまう…。一つのしごとをしていたら急に電話がなって新しい仕事が入ってしまい、それまでやっていたことも手につかなくなってしまう…。
経理の仕事はとても細かいものが多いために、小さな作業を大量にこなさないといけないという悩みに直面することがあります。一つ一つの仕事は見通しが立てられて難しくないのに、それが何十もやってくると混乱してしまい、ストレスが高まってきてしまう…。
そんな経理担当のみなさんに役に立つライフハックを、いくつかご紹介しましょう。

お悩みケース1 作業がふってくる!

目の前の仕事に集中したいですが、いろいろな作業がふってくるので集中できません。なにかいい方法はないでしょうか?

→ 「割り込みカード」を使って記憶のセーブポイントをつくることで、割り込みについての記憶を頭の外に追い出そう。

割り込みは生産性を低下させる大きな要因です。たまに仕事を二つ同時に進められるという人がいますが、たいていは幻想です。ある仕事から別の仕事に切り替えるときの手間と集中力の低下によるロスに、本人が気づいていない場合が多いのです。
今やっている仕事に対して新しい割り込みや電話が入ってくることが多い人は「割り込みカード」をつかって、集中力をセーブするようにしてみましょう。1枚のカードや付箋を使って、覚えておかないといけないことを頭の外に追い出すのです。
たとえば、急な来客や電話があったときには、対応する前の一瞬を使って「いまやっている作業」を付箋に走り書きしておきます。やってきた人に、「10秒お待ちください」と告げて書きつけるのも、自分のペースを見失わないために使えるテクニックです。
こうした書きつけが、いわばゲームにおける「セーブポイント」のようになって、割り込みから戻ってきたときの復帰する場所として記憶を呼び起こしてくれます。こうすることで、最小のロスでさきほどの作業に復帰できるのです。
割り込んできた仕事や電話も、カードや付箋に書き込んでセーブしておきましょう。
どんな内容だったのか、期限は、注意点は?といったように記憶を復活させるのに必要な情報を書いておき、カードならば机のはしに並べておきます。付箋の場合には大きな紙の上に貼り付けて順序を決めておくのでもよいでしょう。
こうすることで、割り込んできた仕事についての記憶を頭のなかで追加してややこしくするのではなく、カードや付箋に外部化するわけです。

お悩みケース2 気になることが多すぎる!

気にすることが多すぎて精神的にいっぱいいっぱいになってしまいます。忙しくなる日は分かりやすいのですが、そこにむけて計画的に仕事をする方法を教えてください

→ 私たちは未来の時間については甘く見積もってしまう傾向があることを意識して、計画しよう。

心理学で「プランニングの誤謬」とよばれる現象があります。たとえば学生に「何日で論文がかけるか」と問いかけをし、それを実際の時間と比較した場合に、必ず実際にかかる時間に比べて甘い見積もりをしてしまうというものです。
これは学生たちが怠惰だから起こるのではなく、人間は未来にかかる時間を必ず甘く見てしまうという認知の歪みが存在することを意味しています。
この落とし穴を避けるためには、そもそも仕事を引き受ける段階で「1時間でできそうだ」と思ったものには2時間がかかってしまうことを、3日でできるだろうか?と思うものは6日かかってしまうことを念頭にして期限を交渉するか、あるいは仕事そのものを簡単化する想定をすることが必要です。
仕事の進め方自体も、締め切り前に帳尻が合わない分を集中して行うのではなく、前半に重心がかかっている「トップ・ヘビー」な計画をたてることが重要です。たとえば、もし月曜日の段階で金曜日までにできそうな仕事があるなら、それを水曜日までには8割完成させてしまうことで、残りの2日は調整にあてるといったようにです。
繰り返し行う業務ならば、その手順をひとつのテンプレートにしておいて、何日前までにどのステップを通過していないと締め切り前に辛くなるのかを繰り返し記録してみるのもよいでしょう。
たとえば「あれ、今月は意外に楽だったな?」と思うようなときがあるならばチャンスです。マラソンランナーが練習のときに通過点の記録を気にするように、作業の進め方をさかのぼってみて、最も効率的なペースを探してみましょう。

お悩みケース3 いくつも重なっている!

同時進行で進める仕事が多すぎて、注意力がいろいろな場所に散漫になってしまいます。もっと広い視野で効率的に仕事を進める方法はないでしょうか?

→ 1枚の紙を用意して「マインド・ダンプ」をおこなって、頭のなかにあることをすべて書き出してみよう。

仕事術の分野で古典となっているデビッド・アレン氏の「ストレスフリーの仕事術」は、まさにこうして頭がいっぱいになっている人にむけて書かれた本です。この本で氏は「マインド・ダンプ」というテクニックを勧めています。
頭の中でかかえている仕事をいったん外に書き出してしまうことで、仕事の詳細を忘れないように覚えておこうとするストレスから自分を開放してしまうのです。
これを実行するには、たった5-10分でかまいませんので1枚の大きな紙を用意して、気になっていることをすべて書きだすということをします。このとき、心配ごとや不安があるなら、同時にそれを書いてみましょう。
すると、直近に手をつけなければいけない仕事が10件、まだ締め切りは先だけれども不安要素が多い仕事が5件といったように、仕事の数と、それらが生み出しているストレスが俯瞰できるようになります。
これができたら、あとはそれぞれの仕事に対して「次のアクション」つまり次に手を付けなければいけない作業を書き込んでいきます。
不安要素が多い仕事は、たいていは「うまくいくか分からない」という未知の要素が多い傾向がありますので、それを明確化するためのアクションを書き込むようにしましょう。
1枚の紙に向き合う時間をもつことで、混乱した頭の中をすっきりとさせて、何を一番先にやればいいのかについて糸口を見つけることができるのです。

お悩みケース4 書類がたまる!

紙の書類がたまりがちで、うまく整理できません。経理計算の領収書や申請書がいつも机のうえにたまっているのですが、なにかよい対策はありますか?

→ 使用中の書類は整理せずに「押し出しファイリング」方式で管理しよう。

前回、「書類を整理するなら三つの山に分ける」というハックを紹介しましたが、この質問はそのなかでも「使用中」の書類があまりに多い場合だと思います。
たくさんの書類を扱っていると、それを整理したいという衝動に駆られますが、多くの場合うまくはいきません。整理すると楽になるのはたまにしか使わないアーカイブされた書類であって、いま利用している書類については整理自体に時間がかかりすぎたり、探す手間が増えたりして思ったような結果が得られないのです。
そうしたときには、そもそも整理をしない整理法を使ってみましょう。野口悠紀雄氏が「超・整理法」で提唱した押し出しファイリングという手法がそれです。
たとえば、経理で利用する領収書や申請書を入れるのでしたら、100-200個のクリアフォルダーを買ってきます。そして領収書を一カ所にまとめるのではなく、仕事ごとに一つのクリアフォルダーに書類を入れていきます。クリアフォルダーには一つずつ、なんの仕事なのか表題をつけますが、これは内側にはりつけた付箋を利用すればクリアフォルダーを何回でも使いまわすことが可能になります。
さて、こうして書類が全部収まったら、あとは書類を利用するたびに、そのクリアフォルダーをいちばん端に戻すようにします。分類はいっさいしません。
こうすると、利用してゆくうちに、もっとも最近使ったクリアフォルダーから、古いものまで自然にならんでゆくようになります。人間は整理した場所を思い出すのは苦手ですが、「3日前に使った」「一週間前だった」といった時系列の新旧の記憶はとても強く持っていますので、探すのもそれほど難しくありません。
「押し出しファイリング」の手法は、コンピューター科学の世界では「最長未使用時間法」というメモリーの使い方のアルゴリズムとしても知られている方法で、限られた記憶でコンピューターの処理を高速にするための手段としても利用されています。
ときおり、古くなって使わなくなったクリアフォルダーを反対側の端から追い出し、クリアフォルダーは再利用するだけで常に利用可能な書類の時系列順のアーカイブができるのが、この手法を使う最も大きなメリットです。

いかがだったでしょうか? 次回はもう少し広い視点で業務を見る立場にある人のためのライフハックについてまとめていきたいと思います。

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