仕事のマンネリを避けよう!いつも新鮮な気分で仕事に向き合うためライフハック

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前回はこまかい業務に追われる経理担当のために、頭がスッキリとする仕事の進め方のライフハックについてご紹介しました。
今回はもう少し引いた視点から、仕事全体を効率化したいマネージャーの視点や、仕事を任せる立場でイライラを避けて、業務を効率化するためのハックをご紹介していきます。

お悩みケース1 人のミスにイライラ

人のミスにイライラしてしまいます。申請の不備や、提出期限忘れなど、他の人のミスを防ぐにはどうすればいいでしょうか

→ 「ミスがあるか、ないか」という二元論におちいらなくてよいように、確認のステップと、プランBを設定してみよう。

自分には見えていることが他の人には見えていなかったり、約束していた期日を越えてしまったりすると、自分の仕事も足を引っ張られるようで気になりますよね。
ただし、単なる書類作成でも、仕事の段取りにしても、「ミスがあるか・ないか」という二元論で考えてしまうと圧倒的に「ミスがある」方が多くなってしまいます。人は完全ではなく、それに向かって近づくことしかできないからです。
そこで、たとえ簡単な仕事でも仕事の不備を防ぐために後述する「チェックリスト」を取りいれてみるのも一つの方法ですし、完璧な状態にまで近づいていけるようなステップを踏むのも一つの方法です。

たとえば一週間後に締め切りとなっている重要な仕事を依頼した場合には

  • 依頼した次の日にとりかかるにあたって問題が発生していないかを確認する
  • 中間地点である3日目に順調かどうかを確認する
  • 締め切りの前日に「明日締め切りだが最低限期待している内容」を確認する

といったように、通過点におけるチェックを必要に応じて使い分けます。これは、口うるさくせっつくよりも、作業をするにあたっての障害が発生していないかを早めに確認する目的で行います。
障害があるなら、当初の目標を修正して「10ページの書類を作成する」を「5ページの中間地点までの報告をまとめる」といった具合に柔軟に変更できるように次善の「プランB」を用意しておくのもよいでしょう。
書類ならば、仮提出と本提出に分けるなどといったように、完璧な仕事でなくても仕事が遅滞なく進む仕組みを作るといったこともできます。
こうした手間は最初は面倒に思えますが、実際にはその手間の分、失敗後にイライラしながらリカバリーをおこなう時間を節約していると考えることもできるのです。

お悩みケース2 業務ルールを分かってくれない

新しい業務ルールを徹底するのが難しい。ワークフローのルール変更などがあった場合に、どのように社内に伝えればよいのか

→ 誰にでも手順を追えるように、仕事をチェックリストに落とし込み、それを改定することで明確化しよう。

外科医のアトゥール・ガワンデ氏は、著書「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」で、医療関係者から飛行機のパイロットに至るまで、ミスが許されない高度な専門性が求められる職場で仕事を正確に行なうための簡単な方法として、チェックリストの利用を勧めています。
たとえば飛行機のパイロットは、たった1回の離陸であっても膨大な知識を活用して機体の状態をチェックしてから飛ばなくてはいけません。しかしこれを記憶と経験と精神論に頼っているのでは、飛行機の機種が違うだけで、小さな、しかし重大な項目が見落とされることになります。
そこで、機体ごとに用意されたチェックリストを活用します。電気系統、エンジン、無線の状態といったように、離陸に必要な項目がすべてチェックされない限り、機体は1cmたりとも動かすことができないと決めておくのです。
こうした小さなチェックリストのおかげで、重大な事故を避け、深刻な医療事故を防ぐことが可能になるのです。
仕事でも、新しいルールをただ周知するだけではなく、あたらしいチェックリストにまとめてみましょう。書類の必要項目はどこか、提出にあたって必要な回覧の手順はどうなっているか、間違えやすいポイントはどこかといったものをすべてリストにすることで、それに従っていれば形式的な間違いがゼロになるようにするわけです。
チェックリストで重要なのは、それを柔軟に変更することです。現場のフローにおいてより効率的な進め方があったり、チェックリストを使っているにもかかわらず繰り返しミスが発生する場所があるなら、それを取り込んで新しいチェックリストをつくるようにしましょう。

お悩みケース3 マンネリに襲われる

業務がマンネリ化してきたときの解消方法はありますか?

→ パレートの法則を利用して、業務において大きなブレーキとなっている小さな部分を探してみよう。

経理のマネージャーのように、業務を作り、業務を監督する側にとっては、マンネリ化は良い場合と悪い場合があります。
良い場合というのは、チェックリストの導入や、ミスを防ぐための監督作業がうまくいっていて、特にアクションを起こさなくても部署の仕事がうまく回っているような場合です。そうした場合のマンネリは、むしろ喜ばしいといってもよいかもしれません。
悪い場合のマンネリとは、非効率的な状態が慢性化して、全員が苦労を負っているにもかかわらず、どこから手を付けて改善すればいいのか見当がつかない場合です。
こうしたとき、パレートの法則、俗に「80:20の法則」と呼ばれるものの見方が助けになってくれます。

イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートが見いだしたこの法則は、たとえば「仕事の成果の8割は全体の労働の2割が生み出している」「クレームの8割は2割の顧客からきている」などといったように、成果やトラブルの理由が偏りがちであることを示しています。
ここで、それならば成果につながる2割だけをとっておいて、あとはすべて捨ててしまおうと考えるのは早計です。無駄を捨てたつもりでも、結局は同じ8対2の割合に落ち着いてしまうほど、この法則は強固に繰り返し現れるからです。また、2割の仕事が生み出す成果が、その他の8割の単純作業によって支えられていることもあるからです。
むしろパレートの法則は「問題の8割を軽減することを可能にする2割の部分はどこだろうか?」といった具合に、小さな変化で大きな成果をもたらしてくれる場所を探すために使います。
たとえば、先程の仕事のチェックリストに10項目のチェックや決済が必要だったとして、そこに無駄が入り込んでいないかに注意してみましょう。そして、全体の働き方に変化を及ぼす小さなポイントを探していきます。
たとえば「書類の提出期限を午後ではなく、午前中にしたらどうだろうか」といった仮説を立てて、チェックリストをそれにあわせて変更してみます。すると、提出時間を朝にすることで前日に完了するケースが多くなったといったように、仮説に対する効果を検証することができるようになります。
ポイントは、仕事を増やさず、ストレスを増やすことなく、成果を出せるかです。いわば乗り物をチューニングするような感覚で小さな改善を検証するわけです。
業務はゆるやかに変化するものでもあります。こうしてその時にあわせたチューニングを意識することがマンネリを防ぎ、「仕事のための仕事」を増やさない視点につながるのです。

今回は、業務を広い見地で見る必要のある人に役に立つライフハックを紹介していきました。大事なのは、ライフハックは無理をして作業をつめこむために行うものではないという点です。
楽して成果が向上するならば、それをつかわない手はない。それがライフハック的な考え方なのです。

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