- 作成日 : 2026年2月26日
Azure OpenAI Serviceとは?本家との違いやメリット、料金を解説
Azure OpenAI Serviceは、企業レベルのセキュリティ環境でChatGPTを利用できるマイクロソフトのクラウドサービスです。
- データ保護:入力情報はAIの学習に一切利用されず、データは顧客に帰属するため情報漏えいを防げます。
- 主な機能:本家と同じGPT-4oなどの最新モデルを、インターネットを経由しない閉域網で安全に利用できます。
- 独自の強み:AIモデルのバージョンを固定できるため、勝手な更新によるシステム不具合のリスクを回避できます。
Azure版は機密情報を保護する機能が標準装備されており、本家ChatGPTよりも社内データと連携した業務システムの構築に適しています。
Azure OpenAI Serviceは、エンタープライズレベルのセキュリティでChatGPTを利用できるクラウドサービスです。本家のChatGPTは便利ですが、ビジネスで利用する際には情報漏えいを懸念する企業も少なくありません。
この記事では、Azure版と本家の違い、導入するメリット、料金体系、そして具体的な利用手順までをわかりやすく解説します。
※(免責)掲載情報は記事作成日時点のものです。最新の情報は各AIサービスなどの公式サイトを併せてご確認ください。
目次
Azure OpenAI Serviceとは?
Azure OpenAI Serviceは、OpenAI社の強力なAIモデルをMicrosoft Azureというクラウド基盤上で利用できる企業向けサービスです。2026年現在、本サービスは「Microsoft Foundry」という、あらゆる開発・運用を一本化する最新プラットフォームへと統合されています。 ユーザーはこの統合された環境を通じて、よりセキュアに最新のAIモデルを業務に導入できるようになりました。
一般消費者向けのChatGPTとは異なり、ビジネス利用を前提とした高いセキュリティと信頼性を備えています。
ここでは、企業が安心してAI活用を進めるために知っておくべき、具体的な特徴について解説します。
Microsoft提供の企業向け生成AIサービス
Azure OpenAI Serviceは、高度なセキュリティと管理機能を備えた、ビジネス利用に特化したAIプラットフォームです。
世界的なクラウド基盤であるAzure上で構築されており、企業はセキュリティやコンプライアンスを確保した状態でAIを利用できます。一般向けのサービスとは違い、企業活動に必要な管理機能やアクセス制御が標準で備わっているのが特徴です。そのため、機密情報を扱う国内外の大手企業での導入が進んでいます。
参考:Azure OpenAI Service|日本マイクロソフト株式会社
OpenAI社と提携し最新モデルを利用可能
ユーザーは、MicrosoftとOpenAIの提携により、「Microsoft Foundry」として統合・進化した最新のAIプラットフォーム上で、その時々の最高性能を誇るフラッグシップモデルを即座に業務へ導入できます。
提供される最新のGPTシリーズは、アップデートも迅速に反映されるため、企業は常に最先端のAI技術を業務に取り入れられます。これにより、技術的な遅れをとることなく、競合他社に対する優位性を保てるようになります。
テキストやコード生成、画像生成が可能
Azure OpenAI Serviceでは、文章作成や要約だけでなく、プログラムコードの記述や画像生成まで幅広いタスクを実行可能です。
テキストに特化したGPTシリーズだけでなく、画像生成モデルであるDALL-Eなども提供されています。これらを組み合わせることで、コンテンツ制作からシステム開発まで、さまざまな業務を効率化できます。クリエイティブな作業から技術的なサポートまで、幅広いニーズに対応できる点が強みです。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
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※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
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人事労務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ14選
人事労務業務に特化!人事労務・採用担当者がChat GPTをどのように活用できるのか、主なアイデアを14選まとめたガイドです。
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経理担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ12選
経理業務に特化!経理担当者がChat GPTをどのように活用できるか、主なアイデアを12選まとめたガイドです。
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法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ12選
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Azure版と本家ChatGPTの違いは?
Azure OpenAI Serviceと本家のOpenAI ChatGPTにおける決定的な違いは、入力データの学習利用の有無と、企業利用を想定したセキュリティ環境の提供形態にあります。
使用するAIモデル自体は同じですが、それを取り巻く環境はまったく異なります。
ここでは、企業が導入を検討する際に決定的な判断材料となる、4つの主要な違いについて解説します。
【データ】入力情報はAIの学習に利用されない
Azure版では、ユーザーが入力したデータや生成された結果が、AIモデルの再学習に使われることはありません。
本家の無料版などでは、入力内容が学習に使われる可能性があり、情報漏えいのリスクが懸念されます。しかし、Azureでは利用規約で「顧客データは顧客に帰属する」と明記されています。金融機関や官公庁も利用する厳しいセキュリティ基準をクリアしているため、社外秘の企画書や顧客情報の分析といった機密性の高いデータも安全に扱うことが可能です。社内の機密情報や個人情報が外部に漏れたり、他社のAIのために利用されたりすることがないため、安心して業務に導入できます。
参考:Azure OpenAI Service のデータ、プライバシー、セキュリティ|Microsoft Learn
【セキュリティ】閉域網で安全に接続できる
企業は、インターネットを経由しない閉域網接続を利用することで、外部からの攻撃リスクを遮断して安全にアクセスできます。
Azure Private Linkなどの機能を活用すれば、アクセスを社内ネットワークからのみに制限可能です。金融や医療など、厳しいセキュリティ基準が求められる業界では、このような仕組みが欠かせません。外部からの不正アクセスを遮断できる堅牢な環境は、Azure版ならではの大きな利点といえます。
【SLA】稼働率保証と手厚いサポートがある
Azure OpenAI Serviceには、稼働率を保証するサービス品質保証が適用されており、万が一の際も企業向けサポートが受けられます。
稼働率が一定の基準を下回った場合には返金保証があるため、安定性が求められる業務システムへの組み込みに適しています。また、マイクロソフトによる企業向けサポートも受けられるため、トラブル発生時にも迅速な対応が期待できます。この信頼性の高さが、企業導入の決め手となります。
【Microsoft 365 Copilot】構築型かSaaSかの違い
Microsoft 365 Copilotが完成されたSaaS製品であるのに対し、Azure OpenAI Serviceは自社専用のシステムを自由に開発できるPaaS型の基盤です。
Microsoft 365 Copilotは契約してすぐに使えますが、カスタマイズには限界があります。一方でAzure版は、自社独自のAIアプリを一から構築したり、細かな調整を行ったりできます。手軽さをとるか、高い拡張性をとるかによって、企業はどちらを導入すべきかを選択します。
Azure OpenAI Service導入のメリットは?
Azure OpenAI Serviceを導入すると、情報保護やシステム連携の面で大きな恩恵を受けられ、「自社のデータを使いたいが、セキュリティが不安」という企業の課題を解決できます。
単なるチャットツールとして使うだけでなく、ビジネス基盤として活用できるからです。
ここでは、実際に導入した際に得られる具体的なメリットについて解説します。
機密情報を保護し安全にAIを利用できる
企業は、顧客データや技術的な秘密などの機密性が高い情報を守りながら、AIをフル活用できるようになります。
データの暗号化や厳格なアクセス制御といったエンタープライズレベルのセキュリティ機能が標準装備されているため、コンプライアンスリスクを最小限に抑えられます。これまでセキュリティポリシーの関係でAI利用をためらっていた場面でも、Azure版であれば安全に導入でき、業務効率化の幅が広がります。
社内データと連携したRAG構築ができる
Azure版を利用すれば、社内データに基づいて回答を生成するRAG(検索拡張生成)という仕組みを容易に構築できます。 RAG(ラグ)とは、AIに社内独自の最新資料を「読み込ませて」から回答させる技術です。AIが「知らないこと」を無理に答えようとして嘘をつく(ハルシネーション)のを防ぐ効果があります。
Azure AI Searchなどの機能とストレージを連携させることで、AIが企業独自の規定やマニュアルをふまえて回答するようになります。これにより、一般的なChatGPTでは答えられないような、専門性の高い社内ヘルプデスクや技術文書検索が可能になります。業務に直結した精度の高い回答が得られる点がメリットです。
モデル更新を管理し廃止リスクを回避できる
運用担当者は、AIモデルのバージョンを管理し、自社のタイミングで更新を行うことでシステムの安定稼働を維持できます。
本家では自動的にモデルがアップデートされ、出力の傾向が急に変わってしまうことがあります。Azureでは、特定のバージョンを一定期間固定して利用できるため、システム挙動の予期せぬ変化を防げます。AIのアップデートによって業務アプリが突然動かなくなるといったリスクを回避し、計画的な運用が可能になります。
既存のAzureシステムとスムーズに連携できる
Microsoft TeamsやPower Automateなどの既存サービスとの連携が容易で、業務フロー全体を自動化しやすい点も魅力です。
たとえば、問い合わせメールを自動で要約したり、チャットツールに通知したりするなど、業務フローの中にAIを組み込むことが容易になります。ユーザー管理もMicrosoft Entra ID (旧Azure AD)で一元化できるため、管理部門の負担を増やすことなく、組織全体での活用を進められます。
Azure OpenAI Serviceの料金体系は?
利用料金は、使用したAIモデルと処理量によって決まる「従量課金制」が基本であり、初期費用はかかりません。
まずは小規模に始めて、利用拡大に合わせてスケールアップできます。ただし、モデルの種類によって単価が異なり、為替の影響も受けるため、予算計画のためにはコスト構造を正しく理解しておく必要があります。
ここでは、料金が発生する仕組みについて解説します。
モデル・使用量に応じた従量課金制
料金計算のベースとなるのは、選択したモデルの種類と、実際に処理したデータ量です。
最新のフラッグシップモデルのような高性能なモデルは単価が高く、処理の速い軽量モデルは安価に設定されています。複雑な分析には高性能モデル、簡単なチャットには軽量モデルを使うなど、目的に応じて適切なモデルを使い分けることで、コストパフォーマンスを最適化できます。
参考:Azure OpenAI Service の価格|日本マイクロソフト株式会社
1,000トークン単位で費用が発生
課金は「1,000トークン」単位で行われ、入力と出力のそれぞれにコストがかかります。
トークンとはAIがテキストを処理する単位で、およそ1,000トークンで英単語750語程度、日本語ならA4用紙1枚(700〜800文字)に相当します。最新モデルでもA4用紙1枚あたり数円〜数十円というコスト感のため、小規模な検証であれば月額数千円程度からでも開始可能です。日本語はトークン数が多くなる傾向があるため、本格運用前には試算を行い、月々のランニングコストを見積もっておくことをおすすめします。
AI以外にストレージ等の費用も発生
システム全体では、AIモデル自体の利用料とは別に、関連するクラウドリソースの料金がかかる場合がある点に注意が必要です。
たとえば、ログデータを保存するためのストレージ費用や、RAG構築のために利用するAzure AI Searchの利用料などが別途必要です。トータルコストを見積もる際には、APIの利用料だけでなく、システム全体のインフラ費用も含めて計算する必要があります。
Azure OpenAI Serviceの導入手順は?
導入には、クラウド上での申請とセットアップという手順を踏みますが、手続き自体はシンプルで専門知識がなくても進められます。
アカウントの作成から申請、そして実際の画面で動作確認を行うまでの流れを把握しておけば、スムーズに利用を開始できます。
ここでは、導入から利用開始までの具体的な4つのステップについて解説します。
Azureサブスクリプション作成と利用申請を行う
最初のステップは、Microsoft Azureのアカウント作成と、専用フォームからの利用申請です。
申請には、企業名や利用目的などの情報が必要です。承認には通常、数日から1週間程度かかるため、利用開始予定日よりも余裕を持って申請を行っておくほうがよいでしょう。以前は申請が必須でしたが、現在は一部条件で緩和されている場合もあるため、最新情報を確認しつつ手続きを進めます。
Azure Portalでリソースを作成する
承認完了後は、管理画面であるAzure Portalにログインし、Azure OpenAIのリソースを作成します。
リージョン(データセンターの場所)、サブスクリプション、リソースグループなどを選択して作成します。通信速度やデータの保管場所の観点から、基本的には日本に近いリージョン(東日本など)を選択するのが有利です。この作業により、Azure上でOpenAIを利用するための「箱」が用意されます。
Azure OpenAI Studioでモデルをデプロイする
次は、専用の管理ツール「Azure OpenAI Studio」を開き、利用したいモデルを展開する作業です。
リストから最新のGPTシリーズなど必要なモデルを選択し、デプロイ(「配置・展開」を意味し、ここではクラウド上にモデルを配備して使える状態にすること)を実行します。このとき、デプロイしたモデルに任意の名前を付けることができます。この工程を経ることで、プログラムからAIモデルを呼び出して利用できる状態になります。
プレイグラウンドで動作確認を行う
最後は、スタジオ内にある「チャットプレイグラウンド」を使って、AIが正しく動作するかを確認します。
画面上でテキストを入力し、実際にAIと対話を行えます。この段階で、AIの役割や回答の精度を指示する「システムメッセージ」などのパラメータ調整も可能です。動作確認ができれば、いよいよ自社システムへの組み込みや、アプリ開発へと進みます。
Azure OpenAI Serviceの活用事例は?
すでに多くの企業が、業務効率化や新たな価値創造のためにAzure OpenAI Serviceを活用しており、さまざまな成功事例が生まれています。
具体的な使い道を知ることで、自社にどのように応用できるかがイメージしやすくなります。
ここでは、特に効果が出やすく導入のハードルも低い、3つの代表的なユースケースについて解説します。
マニュアル等の社内ドキュメント検索に使う
代表的な活用法は、膨大な社内資料から必要な情報を即座に探し出す検索システムとしての利用です。
製品マニュアルや就業規則、技術資料などをAIに参照させることで、社員はチャットで質問するだけで答えを得られるようになります。資料を探す時間や、担当者への問い合わせ時間が大幅に削減され、組織全体の生産性向上につながっています。
コールセンターのログ要約・分析に使う
多くの企業では、カスタマーサポートにおいて、通話内容の要約や顧客の声の分析にAIを活用しています。
AIが長い通話ログを自動で要約することで、通話後の業務報告書を作成する負担を軽減します。さらに、テキストから顧客の不満や要望の傾向を分析することで、製品品質の改善に役立てるといった活用も進んでいます。業務効率化と顧客満足度向上の両方に貢献します。
プログラミングコードの生成・修正補助に使う
開発部門では、コーディングの補助やバグの発見に活用し、開発スピードを飛躍的に向上させています。
AIがサンプルコードを生成したり、エラーの修正案を提示したりすることで、開発時間を短縮します。また、古いコードを現代的な言語に書き換える「リファクタリング」にも効果を発揮します。これにより、エンジニアはより創造的な設計や企画業務に集中できるようになります。
安全なAzure環境でAI活用を始めましょう
Azure OpenAI Serviceは、ChatGPTの利便性と企業に求められる安全性を兼ね備えた、ビジネスに最適なソリューションです。
Azure OpenAI Serviceを活用すれば、情報漏えいを心配することなく、AIによる業務効率化を実現できます。柔軟な料金体系や社内データとのスムーズな連携など、本家にはない多くのメリットがあります。ビジネスでの生成AI導入を検討しているなら、まずはAzureのアカウント作成から始めてみてはいかがでしょうか。安全な環境で踏み出す一歩は、ビジネスを加速させる大きな力になります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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