• 作成日 : 2026年2月6日

Copilot APIとは?連携・導入の手順や失敗しない運用のポイントを解説

Copilot APIを使うと、Microsoft 365 Copilotの会話・検索・社内データ取得などを自社アプリに組み込んだり、GitHub Copilotの利用状況や席(seat)割り当てをAPIで管理・可視化したりできます。しかし、Chat API、Retrieval API、Connectorsなど複数のAPIが存在し、さらにCopilot Studioやプラグインといった多様な連携方式があるため、どれを選ぶべきか判断に迷うケースも少なくありません。

当記事では、主要なAPIの役割と使い分け、4つの連携方式の選択基準、導入ステップから運用設計のポイントなどを解説します。

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Copilot APIとは?

Copilot APIは、Copilot系サービスの機能を外部アプリから呼び出すためのAPI群です。ただし「Copilot」と呼ばれる製品は複数あり、提供されるAPIの中身と目的も異なります。

代表例が、Microsoft 365の業務データに基づくAI機能を扱うMicrosoft 365 Copilot APIと、GitHub Copilotの利用状況や席割り当てを管理するGitHubのCopilot向けREST APIです。

Microsoft 365 Copilot APIの対象範囲

Microsoft 365 Copilot APIは、Microsoft Graphの/copilot名前空間として提供され、Microsoft 365のコンテンツに基づくAI機能へ安全にアクセスできます。取得APIでMicrosoft 365コンテンツから関連情報を取得し、検索APIでOneDrive全体を自然言語でハイブリッド検索できます。ほかに、対話エクスポート、変更通知、Teams会議のMeeting Insights、チャットAPI、使用状況レポート、パッケージ管理などが対象です。

Graphと同じ認証・承認で呼び出せ、アクセス許可や秘密度ラベル、監査などの統制を既定で尊重します。独自アプリやエージェントから利用できます。利用には各ユーザーのMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要です。

GitHub Copilot APIの対象範囲

GitHub Copilot APIは、GitHubのREST APIに用意されたCopilot向けエンドポイント群で、対象は運用管理と可視化です。たとえば、組織・チーム単位のCopilotメトリクス取得、エンタープライズのユーザー別利用状況レポート(直近28日分など)のダウンロードリンク取得ができます。管理面では、組織のCopilot席(seat)情報と設定の取得、席割り当て一覧の取得、ユーザーやチームをサブスクリプションに追加・削除、特定ユーザーの割り当て詳細確認が可能です。

導入後の利用定着、コスト管理、ガバナンスの確認に使うAPIとして位置づけると分かりやすいでしょう。定期レポート収集や席管理の自動化にも活用でき、社内運用に向きます。利用にはGitHubの認証と管理権限が前提で、生成AI機能そのものを直接呼び出すAPIではありません。

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Microsoft 365 Copilot APIの主要なAPIには何がある?

Microsoft 365 Copilot APIには、会話、社内データ取得、検索、外部データ接続のための主要APIがあります。導入前に役割を整理すると選定が楽になります。ここでは、各APIの特徴と使い分けを解説します。

Chat API:会話型インターフェースの構築

Chat APIは、Microsoft 365 Copilotとアプリから複数ターンの会話を行うためのAPIです。会話の作成・継続ができ、組織内のアクセス制御(権限)を尊重した範囲で応答を生成します。回答は、エンタープライズ検索による社内データの根拠付けに加え、Web検索による根拠付けも利用できます。用途は、社内ポータルや業務アプリに「質問→回答」の画面を組み込むことです。/beta配下のため仕様変更があり得ます。生成内容は不正確な場合があるので、利用前に検証します。

また、回答の根拠となった情報がユーザーに閲覧権限のある範囲に限定される点が前提です。設計時は、誰の権限で実行するか、監査ログや保存データの扱いを決めてから実装します。

Retrieval API:社内データの取得と活用

Retrieval APIは、Microsoft 365 Copilotを支えるハイブリッドインデックスから、質問に関連するテキストの「チャンク」を取得するAPIです。取得元はSharePoint、OneDrive、Copilot connectorsで、権限を尊重した範囲の結果が返ります。返ってきたチャンクを根拠としてLLMに渡し、回答の品質を上げるRAG用途に向きます。ファイル全体を返す仕組みではなく、必要部分を絞って返す点が特徴です。

/beta配下のため仕様変更に注意します。たとえば社内規程や提案書から該当箇所を引き、回答に引用する設計ができます。Copilot connectorsで取り込んだ外部システムの知識も対象になります。

Search API:Microsoft 365コンテンツの検索

Search APIは、自然言語のクエリでOneDrive(職場または学校)のコンテンツをハイブリッド検索(セマンティック+キーワード)できるAPIです。文脈や意図を解釈して関連ドキュメントやファイルを返し、組織のアクセス制御を守ったまま検索できます。Microsoft Learnでは、データを外部へ持ち出さずに検索でき、セキュリティとコンプライアンスを損なわない点が利点とされています。

現時点ではSharePointやCopilot connectorsはSearch APIの対象外で、/beta配下のため仕様変更に注意します。用途は、社内アプリに「関連ファイル検索」を組み込むことです。結果をChatと組み合わせ、回答生成につなげる設計もできます。

Connectors:外部データソースとの接続

Connectors(Copilot connectors)は、外部の業務システムなどのデータをMicrosoft Graphに取り込み、Microsoft 365 Copilotが参照できるようにする仕組みです。コネクタAPIで、外部接続の作成・管理、データ型のスキーマ定義と登録、外部アイテムの取り込み、外部グループの同期などを行います。取り込んだコンテンツはCopilotだけでなくMicrosoft Searchなどのインテリジェント機能でも利用されます。

ChatやRetrieval、Searchが「問い合わせるAPI」だとすると、Connectorsは「参照できる知識を増やす準備」と考えると整理しやすいです。

連携方式はどのように選べばよい?

Copilot連携は、作りたい体験と運用体制で最適解が変わります。開発で直接つなぐか、エージェントでまとめるか、外部APIをどう呼ぶかを先に決めると迷いません。ここでは、連携方式の選び方を解説します。

アプリからAPIを直接呼び出す方式

自社アプリがMicrosoft GraphのCopilot APIを直接呼び出す方式です。既存システムの画面に組み込みやすく、会話UIや処理フローを細かく制御できます。独自のRAGや承認フロー、業務ロジックも同じアプリ側で統合できます。一方で、認証(Microsoft Entra ID)や権限設計、監査ログ、プロンプトや回答の保存方針まで実装側で決めます。

継続運用ではAPI変更追従、負荷試験、コスト管理も必要です。UIや応答速度を最優先し、開発リソースを確保できる場合に向きます。Copilot APIは/beta提供のものがあり、仕様変更や本番利用制限を前提に検証します。運用ポリシーの合意も早期に行います。責任分界点も明確にします。

Copilot Studioでエージェント化する方式

Copilot Studioでエージェントとして作る方式です。会話の流れをGUIで設計でき、Power Platformのコネクタで社内外サービスのAPIを呼び出せます。接続や権限を環境単位で管理しやすく、運用部門が改善を回せる点が強みです。さらにREST APIのアクション追加で、標準コネクタがないシステムにも接続できます。

一方で、画面の自由度や高度な制御はアプリ直実装より制約が出ます。監視やガードレール、リリース管理も欠かせません。外部ツール連携はMCP接続も選択肢です。短期間で試して改善したい、部門の業務担当が主体で作りたい場合に向きます。導入前に、利用可能なコネクタやデータアクセス範囲、ライセンスを確認します。

APIプラグインでREST連携する方式

APIプラグインでREST連携する方式は、OpenAPIで記述したREST APIを「アクション」としてエージェントから呼べる形にします。既存の社内APIを再利用しやすく、入力項目やレスポンス形式を仕様として固定できるため、運用ルールを作りやすい点が利点です。

注意点として、MicrosoftのドキュメントではAPIプラグインは宣言型エージェントのアクションとしてサポートされ、Microsoft 365 Copilot本体では有効化されない旨が明記されています。採用可否は、利用するCopilotの種類と拡張ポイントで判断します。また、認証方式、許可する操作、レート制限、変更管理を事前に設計し、悪用防止を行います。監査も整えます。

MCPサーバーでツール連携する方式

MCPサーバーでツール連携する方式は、Model Context Protocol(MCP)で公開された「ツール」をエージェントに追加して使います。Copilot StudioではMCPサーバーを接続すると、サーバーが提供するツールやリソースをまとめて呼び出せます。自社でMCPサーバーを運用すれば、社内APIや検索基盤、セキュリティ操作などを1つの窓口に集約でき、複数エージェントで再利用しやすくなります。

一方で、サーバーの可用性、認証、監査、レート制限など運用設計が必須です。ツールが多い場合や、複数エージェントで共通機能を使いたい場合に向きます。導入は重要な1機能から段階的に広げます。障害時の代替手段も決めます。

Microsoft 365 Copilot APIはどのように導入する?

Microsoft 365 Copilot APIの導入は、目的を定め、参照させるデータ範囲と権限を整理し、検証してから本番運用へ移す流れが基本です。社内合意を得つつ進めます。ここでは、導入手順を解説します。

目的とユースケースの定義

最初に、業務課題とユースケースを具体化します。例として「社内規程の検索を短縮する」「問い合わせ返信の下書きを作る」など、対象業務と成果指標(削減時間、一次回答率など)を決めます。次に、利用者(誰が使うか)と利用場面(Teams、業務アプリなど)を定め、入力に含めてよい情報も整理します。その上で、会話体験(Chat)を組み込むのか、社内文書の検索・取得(Search/Retrieval)を強化するのかを選び、必要な権限や管理者設定の有無を確認しましょう。

既存の業務手順のどこで使うか、最終判断者は誰かも決めると、検証が進めやすくなります。費用や運用負荷も見積もり、対象範囲は小さく始めます。要件や制限は公式の前提条件に沿って確認してください。

データソースと参照範囲の決定

次に、参照させるデータソースと範囲を決めます。Copilot Search APIは自然言語でOneDrive(職場・学校)のコンテンツをハイブリッド検索できます。権限を保ったまま検索でき、データを外部へ持ち出さずに使える設計です。Retrieval APIはSharePoint、OneDrive、Copilotコネクタなどから関連テキスト抜粋を取得し、回答の根拠として使えます。外部データを扱う場合は、Microsoft Graph connectorsで検索対象に拡張する方法もあります。

対象サイト、共有設定、機密情報を含む領域の除外など、情報統制ルールを文書化し、部門ごとの参照範囲も整理しましょう。運用開始後の追加変更も想定します。

検証計画の策定

検証計画では、小さく試して安全性と効果を確認します。まずパイロット部門と利用シナリオを絞り、誤回答の許容範囲、回答に含めてよい情報、出力禁止事項を決めます。次に、権限どおりに検索・取得できるか(アクセスできない文書が返らないか)をテストし、監査ログや操作ログで追跡できる状態も確認しましょう。併せて、回答の根拠として返る文書が適切か、引用の抜粋が過不足ないかも評価します。

また、想定同時利用数での応答時間、障害時のフェイルセーフ、最終確認を人が行う運用も決めましょう。セキュリティ部門のレビューも通し、検証期間と判断日を設定します。結果はKPIと利用者のフィードバックで測り、改善点(データ範囲、プロンプト、UI導線など)を整理してから本番へ進みます。

本番移行の準備

本番移行では、運用とガバナンスを先に固めます。まずアプリ登録、必要な権限付与、管理者同意などの手順を整備し、環境ごと(開発・検証・本番)の設定差分も管理します。次に、利用部門向けの利用ルール(入力してよい情報、出力の扱い、禁止事項)と問い合わせ窓口を決めましょう。加えて、障害時の連絡網、機能停止時の代替手段、APIやモデル更新時の影響確認、監視指標(失敗率、遅延など)も準備します。

展開は部門単位で段階的に行い、教育と簡易マニュアルを配布します。インシデント対応手順も訓練しておくと安心です。利用状況を見て、不要な権限は外し、運用費用も更新します。定着まで支援します。最後に、定期レビューの場を設け、データ範囲と権限、対策の優先順位を継続的に見直します。

運用設計で押さえるべき4つのポイントとは?

運用で失敗しないためには、監査に耐えるログ設計、429対策、プレビュー変更への備え、そしてデータ境界と権限の確認が要点です。導入後の混乱を減らせます。ここでは運用設計で押さえるべき4点を解説します。

ログと監査の要件

誰が、いつ、どのアプリから、どのデータにアクセスしたかを後から追えるように、API呼び出しログと監査ログの要件を先に決めましょう。Microsoft 365側の監査はMicrosoft Purviewの監査機能で確認でき、Copilotの利用状況や対話データを監査・分析目的で扱うためのAPI(Interactions Export APIなど)も案内されています。エラーやスロットリング解析のために、要求ID、呼び出し先、応答コード、処理時間、429発生回数も記録すると実務で役立ちます。

ログは個人情報・機密情報を含み得るため、保存期間、閲覧権限、マスキング方針を定め、問い合わせ対応や不正調査に使える粒度で残しましょう。

エラー対応とレート制限対策

APIは一時的な障害やスロットリング(利用集中による制限)が起きることがあります。Microsoft Graphでは、制限時にHTTP 429が返り、応答にRetry-Afterが含まれる場合はその秒数を待って再試行するのが推奨されています。再試行は指数バックオフ+ジッターを基本にし、同時実行数を絞る、キューで平準化する、キャッシュやバッチで呼び出し回数を減らすと安定します。

失敗時は「再試行してよい処理/即時に人へエスカレーションすべき処理」を分け、タイムアウト、サーキットブレーカー、冪等性の確保も運用設計に組み込みます。また、4xxは入力や権限、5xxはサービス側の問題として切り分け、要求IDを記録してサポートへ提示できるようにしましょう。

プレビュー機能の変更管理

Copilot関連APIはプレビューやbetaで提供されるものがあり、仕様が変わったり廃止されたりする可能性があります。Microsoft Graphのbetaは本番用途に使わないこと、予告なく変更され得ることが明記されています。運用では、利用中のAPIの安定版/プレビューの区別を台帳化し、Microsoft Learnの更新情報や変更履歴を定期確認しましょう。

実装側は機能フラグで切替できるようにし、契約テストと回帰テストをCIに組み込み、変更検知時に影響範囲を素早く特定できる体制を整えます。SDKや依存ライブラリはバージョン固定を基本にし、段階的ロールアウト(検証→一部展開→全体)で安全に更新します。停止手順や代替手段も用意します。

セキュリティとデータ境界の確認

セキュリティ設計では「どのデータをCopilotに見せるか」を最初に絞ります。CopilotはMicrosoft 365の既存の権限モデルを前提に動作し、ユーザーがアクセス権を持つ範囲のコンテンツが回答に利用されます。まず最小権限(Least Privilege)でAPI権限・アプリ権限を設計し、機密度ラベル、DLP、共有設定、外部共有の有無を点検して「見せたくない情報が検索可能になっていないか」を確認しましょう。

外部データをつなぐConnectorsはデータ境界と保存場所、同期範囲、監査可能性を確認し、ポリシーに合うものだけを採用します。運用前に想定プロンプトで検証し、過剰共有が起きた場合の権限見直しや検索範囲の調整手順も用意します。

Copilot APIで業務効率を向上させよう

Copilot APIには、Microsoft 365 Copilot APIとGitHub Copilot APIがあり、用途が異なります。Microsoft 365 Copilot APIは、Chat、Retrieval、Search、Connectorsなどの主要APIで構成され、社内データを活用した会話や検索が可能です。

導入時は、目的とユースケースを定義し、データソースと参照範囲を決定し、検証計画を策定してから本番移行します。運用では、ログと監査、エラー対応、プレビュー機能の変更管理、セキュリティとデータ境界の確認が重要です。適切に設計・運用することで、業務効率を大幅に向上できます。


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