- 作成日 : 2025年12月10日
ゴーストレストランは「儲からない」のか?平均売上、失敗する理由、成功の秘訣まで解説
ゴーストレストランは、初期投資を抑えてデリバリー市場に参入できるビジネスモデルですが、「儲からない」「やばい」といった声も多く聞かれます。成功の鍵は、高いプラットフォーム手数料と激しい競争という特性を理解し、利益を確保できる仕組みを構築することです。
この記事では、飲食店経営の専門家として、ゴーストレストランがなぜ「儲からない」と言われがちなのか、そのビジネスモデルの実態、そして「汚い」「やばい」といったイメージの背景や、失敗を避けて利益を出すためのポイントまで、分かりやすく解説します。
目次
そもそもゴーストレストランとは何か?
客席を持たず、デリバリー(宅配)とテイクアウトのみで営業する形態の飲食店を指します。クラウドキッチンやシェアキッチン、あるいは既存の飲食店の厨房を間借りして運営されることが多く、オンライン上の注文プラットフォーム(Uber Eatsなど)でのみ存在する店舗です。
ゴーストレストランは、デリバリー市場の急成長とともに拡大しました。初期投資を抑えて複数のブランド(例:唐揚げ専門店、サラダ専門店など)を一つのキッチンで運営できる効率性が注目される一方で、そのビジネスモデルには特有の難しさも存在します。
なぜ「ゴーストレストランは儲からない・やばい」といわれるのか?
主な理由は、売上に対して非常に高いプラットフォーム手数料、過当競争による埋没、そして実店舗がないことによる衛生面への不安感が挙げられます。
「儲からない」という声の多くは、売上が立っても利益が残らない収益構造に起因しています。
高すぎるデリバリープラットフォーム手数料
ゴーストレストランの売上の多くは、Uber Eatsや出前館といったデリバリープラットフォームを経由します。これらのプラットフォームの手数料は、売上の30%〜40%程度に設定されていることが多く、これが利益を強力に圧迫します。売上が100万円あっても、30万〜40万円が手数料で消えてしまう計算です。
激しいオンライン上の競争
低コストで参入できる反面、プラットフォーム上には無数の競合店がひしめき合っています。消費者の目に留まるためには、プラットフォーム内での広告費が別途必要になることも多く、結果として価格競争やさらなるコスト増に陥りやすい構造があります。
「汚い」「やばい」というイメージと衛生管理の問題
ゴーストレストランは実店舗を持たないため、消費者は「どこで」「誰が」「どのような環境で」調理しているのかを知ることができません。この不透明性が、「本当に清潔なのか?」「衛生環境が悪い環境で作っているのでは?」といった不安につながります。
過去に、ずさんな衛生管理のゴーストレストランが問題となったケースもあり、消費者が「見分け方」を気にするのも、この不透明性が原因です。もちろん、多くの事業者は保健所の許可を得て適切に運営していますが、一部の不適切な事例が業界全体のイメージダウンにつながっている側面があります。
ゴーストレストランの売上や利益はどれくらいか?
平均売上は、立地、業態、ブランド力、出店するプラットフォームによって大きく異なるため一概にはいえません。重要なのは、売上高以上に「利益率」を管理することです。
成功例では、複数のブランドを効率的に運営し、月商数百万円を達成するケースもあります。しかし、その裏側では、高い手数料(30〜40%)を支払った上で、さらに食材費(原価率30%前後)、人件費、家賃(キッチン使用料)を差し引いて、最終的な利益(数%〜10%程度)を確保するという、非常にシビアなコスト管理が行われています。売上がそのまま利益になるわけでは決してありません。
ゴーストレストランの開業形態は?自宅での営業は可能か?
開業形態は主に3種類あり、自宅のキッチンを使ってゴーストレストランを開業することは、原則としてできません。
飲食店として営業するには、保健所の営業許可が必須であり、自宅のキッチンは多くの場合、その施設基準(例:住居スペースとの完全な区画、専用の手洗い設備、シンクの数など)を満たしていないためです。
① 間借り型(既存飲食店の活用)
既存の飲食店のアイドルタイム(例:夜のみ営業の居酒屋の昼時間)のキッチンを借りて営業する形態です。初期投資を最小限に抑えられますが、営業時間や設備に制約があります。
② クラウドキッチン(シェアキッチン)型
デリバリー専用に設計された厨房設備を、複数の事業者でシェアする形態です。低コストで最適な設備を利用できますが、月額の利用料や手数料が発生します。
③ 単独キッチン型
デリバリー専用の独立したキッチン(客席なし)を借りる形態です。最も自由度が高いですが、物件取得費や設備投資のコストは上がります。
儲かるゴーストレストランにするための成功のポイントは?
プラットフォーム手数料に依存しない収益構造の構築、徹底したデータ分析によるメニュー開発、そして消費者の不安を払拭するブランド力が鍵となります。
自社デリバリーやテイクアウトの強化
最も効果的な利益改善策は、手数料のかからない自社チャネル(自社サイト、電話注文、店頭テイクアウト)の比率を高めることです。プラットフォームは新規顧客との出会いの場と割り切り、リピーターには自社チャネルを利用してもらうよう誘導する施策(例:店頭でのチラシ配布、自社注文限定の割引)が重要です。
データに基づいたメニュー開発と価格設定
デリバリープラットフォームから得られる「どのメニューが」「どの時間帯に」「どの地域で」売れているかというデータを徹底的に分析します。売れ筋商品や利益率の高い商品にメニューを絞り込み、原価と手数料を正確に計算した上で、戦略的な価格設定を行う必要があります。
魅力的なブランド作り(見分け方)
オンライン上では、写真とネーミングがお店の顔です。消費者が「ここで頼みたい」と思うような、魅力的なブランドコンセプトと高品質な写真を用意することが不可欠です。「かさねや」のような大手デリバリーチェーンは、ブランドイメージと信頼感の構築に成功している例といえます。
徹底した衛生管理のアピール
「汚い」「やばい」といったネガティブなイメージを払拭するため、衛生管理への取り組みを積極的にアピールすることが信頼につながります。例えば、プラットフォームの店舗情報欄に保健所の許可証の写真を掲載したり、調理環境の清潔さが伝わる写真を載せたりするだけでも、消費者の安心感は変わります。
ゴーストレストラン経営で利益を出すために
本記事では、「ゴーストレストランは儲からない」と言われる理由から、その状況を打破し、利益を出すための具体的な対策までを解説しました。
ゴーストレストランが「儲からない」と言われる最大の要因は、売上の多くを手数料に依存する収益構造にあります。安易な参入は失敗のもとです。デリバリービジネスの特性を深く理解し、プラットフォーム依存から脱却する戦略と、消費者の信頼を得るための地道な努力を両立させることが、成功への唯一の道といえるでしょう。
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