なぜ社員は辞めるのか？よくある理由と“本当の理由”を知る方法
作成日：2024年9月4日
昨今のビジネス環境は急速に変化しており、人材の確保と維持がますます重要になっています。退職者の増加や採用難が続く中で、経営陣から離職防止策の推進が求められている方も多いのではないでしょうか。
しかし、具体的に何をすればいいのか分からないという悩みを抱えている方も少なくありません。この記事では、社員が辞める本当の理由を探るためのファーストステップとして、よくある離職理由と自社の離職原因を特定する方法について解説します。
よくある退職理由
給与や待遇の不満
給与や待遇に対する不満は、離職理由の中でも最も一般的なものの一つです。社員が自分の努力や成果に見合った報酬を得られていないと感じると、他の企業に転職する動機となります。特に、同業他社と比較して給与が低い場合や、昇給やボーナスが期待に応えられない場合、社員の不満は高まると言われています。
また、福利厚生や労働条件も重要な要素です。例えば、特別手当や休暇制度が充実していないと、社員は他の企業でより良い条件を求めるようになります。
給与や待遇の不満は、短期的には見過ごされがちですが、長期的には社員のモチベーションやエンゲージメントに大きな影響を与えます。
参考記事：いま福利厚生が注目されている理由とは？
職場環境や人間関係の問題
職場環境や人間関係の問題も、離職の大きな要因です。上司や同僚との関係が悪化すると、仕事のモチベーションが低下し、最終的には退職を考えるようになります。例えば、上司からの過度なプレッシャーや不適切な指導、同僚との競争や対立が続くと、社員はストレスを感じ、職場に対する不満が募ります。また、職場の物理的な環境も重要です。例えば、オフィスの設備が古く、快適に働けない場合や、騒音や照明の問題がある場合、社員の生産性や満足度が低下します。職場環境や人間関係の問題は、社員の心理的な健康にも影響を与えるため、早期に対策を講じることが重要です。
参考資料：パワハラの判断基準と実務対応
キャリアパスの不透明さ
社員が自分の将来のキャリアパスを見通せない場合も、離職の原因となります。明確な昇進やスキルアップの機会が提供されていないと、他の企業でのキャリアを模索するようになります。例えば、長期間同じ役職に留まり、昇進の見込みがない場合や、スキルアップのための研修や教育プログラムが不足している場合、社員は自分の成長を感じられず、モチベーションが低下します。また、キャリアパスが不透明な場合、社員は自分の将来に対する不安を感じ、他の企業でのキャリアを模索するようになります。キャリアパスの明確化は、社員のモチベーションやエンゲージメントを高めるために重要です。
ワークライフバランスがとれない
ワークライフバランスがとれていないと、社員はストレスを感じ、健康を害することもあります。長時間労働や休日出勤が常態化している職場では、離職率が高くなる傾向があります。例えば、過度な残業や休日出勤が続くと、社員は家庭やプライベートの時間を犠牲にし、ストレスや疲労が蓄積します。また、育児や介護などの家庭の事情に対応できない場合、社員は職場に対する不満を感じ、離職を考えるようになります。ワークライフバランスの欠如は、社員の健康や幸福感に大きな影響を与えるため、企業としては柔軟な働き方や休暇制度の整備が求められます。
参考資料：メンタルヘルス不調者への実務ガイドブック
退職の原因を特定する方法
社員が辞める理由を正確に把握することは、離職率を下げて、組織の健全な成長を促進するために不可欠です。離職の原因を特定するためには、複数のアプローチを組み合わせて行うことが効果的です。以下に紹介する方法は、さまざまな視点から情報を収集して理解を深めるための手段です。ぜひ参考にしてください。
アンケート調査
社員に対してアンケート調査を実施することで、離職の原因を特定する手がかりを得ることができます。匿名でのアンケートを行うことで、社員が率直な意見を述べやすくなります。アンケートの内容は、給与や待遇、職場環境、人間関係、キャリアパス、ワークライフバランスなど、離職の原因となり得る要素を網羅することが重要です。また、自由記述欄を設けることで、社員が具体的な意見や提案を述べる機会を提供します。
アンケート結果を分析することで、共通の問題点や改善点を特定し、具体的な対策を講じることができます。アンケート調査は、定期的に実施することで、社員の意識や満足度の変化を把握し、継続的な改善を図ることができます。
退職面談の実施
職を決意した社員に対して退職面談を行うことで、具体的な離職理由を直接聞くことができます。これにより、今後の対策を講じるための貴重な情報を得ることができます。退職面談では、社員が退職を決意した理由や、職場に対する不満、改善点などを率直に話してもらうことが重要です。また、退職面談を通じて、社員が感じている問題点や課題を把握し、他の社員にも共通する問題がないかを確認することができます。退職面談の結果をもとに、具体的な改善策を講じることで、今後の離職を防ぐための対策を立てることができます。
データ分析
社員の離職データを分析することで、共通のパターンや傾向を見つけることができます。例えば、特定の部署や役職で離職率が高い場合、その原因を深掘りすることで対策を講じることができます。データ分析では、離職者の属性や職歴、離職理由などを詳細に分析し、共通の問題点や課題を特定します。また、離職率の推移や、離職者の傾向を把握することで、早期に対策を講じることができます。データ分析は、定量的な情報を基にした客観的な判断を行うために重要です。データ分析の結果をもとに、具体的な改善策を講じることで、離職率の低減や社員の満足度向上を図ることができます。
離職防止策に取り組むためには「通常業務の効率化」から
これらの方法を実施するには時間が足りないと感じるかもしれません。まずは通常業務を効率化するところから始めましょう。業務の効率化により、離職原因を特定するための時間をつくりだし、社員が辞めない職場環境を作るための第一歩を踏み出すことができます。効率化のためには、業務プロセスの見直しや、ITツールの活用などが考えられます。
効率化によって生まれた時間を活用し、離職原因の特定や改善策の実施に取り組むことで、社員の満足度やモチベーションを向上させ、離職率の低減を図ることができます。
