5分でわかる!労務担当者のための「令和6年度 所得税・個人住民税の定額減税」解説
更新日:2024年5月16日
令和6年度の税制改正で「所得税と個人住民税の定額減税」が決定しました。この改正により、給与計算業務に影響が及ぶことが予測されます。そこで、労務担当者の方が改正に備え、円滑に業務を行うために押さえておくべきポイントや対応策について解説します。
※本記事は令和5年12月14日発表の「令和6年度税制改正大網」に基づき、情報提供を目的として概要をまとめたものです。そのため、実際に制定される改正内容は本記事と異なる場合がありますのでご了承ください。
定額減税の業務対応について、より詳細を知りたい方に
押さえておきたいポイント
この改正では、所得税と住民税に関する定額減税が注目を集めています。納税者と配偶者を含む扶養家族1名につき、所得税3万円、住民税1万円の減税が令和6年度に実施される予定です。
対象者は、合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合は2,000万円以下※)の個人です。減税の方法は、所得税と住民税で異なります。
※子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下
所得税
給与所得者の所得税については、2024年6月給与で源泉徴収する所得税額から減税分を控除します。所得税額より減税分が多い場合は、翌月以降の所得税から順次減税分を控除します。
具体的には、6月と7月の所得税額が各6万円で減税額が9万円(本人と配偶者、子ども1人など)の場合、6月の源泉徴収額は0円(=6万円-6万円)、7月は3万円(=6万円-3万円)です。
住民税
住民税(※)については、2024年6月給与からは住民税を控除せず、7月から翌年5月の11か月分の給与から減税分を反映した住民税を均等に差し引きます。
※住民税は2023年度の所得を基に2024年6月から2025年5月の給与から控除します。2024年度の住民税が14万円で減税額が3万円の場合、6月給与の住民税は0円、7月から翌年5月までの住民税が1万円です。
従業員ごとに減税額を算出し源泉徴収する税額を個々に計算する必要があるため、給与計算担当者の実務上の負担が増大する見込みです。さらに、年末調整や法定調書提出における業務負荷が増すことが予想されます。
また、制度が1年限定(※)であることから、企業は税制改正に対応してシステムを改修するかどうかの判断が求められます。システム改修にはコストがかかるため、費用対効果や翌年以降の対応を考慮して慎重に検討しましょう。
※今後の物価の上昇次第で追加的措置(延長など)が行われる可能性もあります。
給与計算業務への影響
- 定額減税によって2025年5月支給の給与まで対応が必要です
- 中途入社の社員については、減税額の総額と既に税金から控除された減税額の確認が必要です
- 年末調整や法定調書提出時の負担が増加します
チェックリスト
これらの税制改正に伴う変更は、実務面での負担を軽減するために、事前の準備が重要です。
- 減税対象となる従業員と扶養家族の情報をシステムに正確に入力しているか確認
- 所得制限に該当する従業員がいないか確認
- 定額減税の適用を正確に行うための給与計算システム設定が完了しているか確認
- 定額減税の内容や影響について従業員に説明する
- 業務の効率化策の検討
- 所得制限が課題となる場合の対応策を検討し、従業員への適切なサポートを検討
- 定額減税を反映した所得税と住民税の源泉徴収額の管理方法を検討
システム改修を含め効率的に減税対応するための手法を検討
マネーフォワード クラウド給与で対策!支給額計算のミスを防ぐ機能の紹介
支給・控除項目の先月との差分がひとめで分かる「前月比較機能」
前月の実績と比較可能なため、先月と給与にズレが生じている従業員を一目で確認することが可能です。
計算式のカスタマイズを自由に行えるため、細かい計算もラクラク
足し引き等の四則演算のほか、式途中での四捨五入等の端数処理やIF関数を利用した計算式の設定も可能。計算式の変更を行う場合も難しいマクロ等を組み直す必要なく、システム上でメンテナンスしていただくことが可能です。計算式の案を文章で入力すると実際の計算式をCharGPTが回答してくれる機能付き