-小売業界向け-債務管理システムの選び方・よくある課題・導入事例
更新日:2024年2月13日
債務管理とは?小売業界で債務管理のDXを進める重要性
債務管理とは、買掛金や未払金などの債務を管理し、会社の資金繰りやキャッシュフローを最適化するための管理業務を言います。企業として、期日までに未払いとなることを防ぎ、確実に支払うための管理は不可欠です。
資金繰りの悪化は経営危機に直結する重要な問題であり、債権管理とともに会社の資金を扱う債務管理は、会社の信用力や信頼性にかかわる業務です。逆に、債務管理に信用があれば、債権者との良好な関係を築くことができ、将来における取引交渉がスムーズに行えることも考えられます。
経理における債務関連の作業量の多いものとして、次のものがあります。
- 申請書・請求書の受領、照会
- 仕入・経費データ作成、帳簿の確認
- 支払締め作業、支払決裁(経理承認)
- 振り込み手続き、決済データ作成
- 請求書などの証憑保管
特に小売業においては取引先や取引件数が多く、人件費の支払いを含めて多くの債務を抱える業界だと言えるでしょう。従来の債務管理の多くは紙ベースやエクセルなどで行われてきましたが、正確性や効率性などを維持することが難しくなります。
これらのリスクを取り去り、管理の精度や信頼性を高めて「債務の透明性」を確保するにはDX化が不可欠です。
小売業界における債務管理のよくある課題
①請求書受領が多く明細入力にも時間がかかっている

小売業においては、取引先から紙やPDFなど、さまざまな形式の請求書を受領します。そして、社内で承認を受けた請求書情報はできるだけタイムリーな入力が求められます。
月末締め処理時は作業量が多くなりますが、消費税のインボイス制度がスタートしたことで、新たにインボイス判定や請求書区分の判定など手順や入力、確認作業が増えることが予想されます。作業には熟練しているとはいえ、入力作業者の力量のみに頼るには限界があるでしょう。
②入力作業にばかり時間をとられて、確認作業に十分な時間がとれていない

少数の経理担当者ですべての会計業務をこなしている場合、入力した内容を同じ人が確認するケースもよくあります。同じ担当者が債権管理も債務管理もこなしていることも多いのが現状です。
このような中では、思い違いや単純ミスによるヒューマンエラーを解決することが難しく、事後に間違いが発覚することも考えられます。本来、入力されたデータが正しいことを確認するステップが重要なのに、入力作業に時間を取られるあまり確認作業が手薄になるということが見かけられます。
③個社・拠点・現場による請求書の紛失等でイレギュラー処理が発生する

仕入先からの請求書はいつも事務所に送られてくるとは限りません。拠点ごとに請求書を受領する場合や、営業部員が現場から受領する請求書もあります。しかし、紙の請求書を現場で紛失してしまうと、未払いが発覚するまで気づかない可能性もあるのです。
支払締前に確認ができないものは、後々に個別対応などのイレギュラー処理をせざるを得ないという状況に陥ります。これには時間も手間もかかる上、取引先からの信用を失くしてしまいます。
小売業界の債務管理・請求書関連の課題解決に向けたDX例
①請求書の受領~会計処理を効率化したい場合
仕入先などから受領する請求書については、社内での承認作業や振込手続き、会計システムへの入力、請求書の保存などの業務フローを踏まえ、業務効率化のための最適な方法を実践しましょう。
「マネーフォワード クラウド債務支払」では、メールで受領した請求書データを自動で取り込み、AI OCR処理を行うことで、支払条件などの情報を読み取ることが可能です。
受領した請求書については、あらかじめ設定した社内のワークフローに基づいて承認作業を行ったあと、ワンクリックで振込指示ができます。APIを用いたシステム間連携もできるため、「マネーフォワード クラウド債務支払」の情報を会計システムやマスタ管理にも活用し、バックオフィス業務全体の効率化を追求することが可能です。
②請求書受領業務や保管業務をなくしたい場合・明細入力を委託したい場合
受領請求書には、依然として紙の請求書も多く、相手先のことを考えるとすべて請求データで受領することは現実的ではありません。そこでBPOサービスが付帯しているシステムを選択すると、導入したシステムに合わせて、業務プロセスの一部分を委託できます。
「マネーフォワード クラウド債務支払のBPOサービス」では、紙の請求書のデータ化・システムへのアップデート代行・請求書明細の下書き入力代行・証憑のファイリングと保管業務の代行などが可能です。支払申請の下書き入力をアウトソースすることにより、会社では内容を確認し、支払業務のみに業務を減らすことができます。
例えば、インボイス制度の開始によって、免税事業者からの仕入について仕入税額控除の経過措置を受けるためには、新たに帳簿記載事項が増えます。さらに、消費税の税額計算では今までの割り戻し計算に加えて、積み上げ計算が可能になりますので、BPOによるオペレーターの集中的な入力は頼もしい味方になるでしょう。
小売業界の企業様に参考となる債務管理・請求書受領業務の改善事例
債務管理・請求書受領業務の改善例①
製菓・製パンメーカー向けに食品香料や原材料の製造販売、輸入販売を行う株式会社ナリヅカコーポレーション様では、紙やエクセルを中心に行う経理業務に課題を抱えていました。
各拠点から、紙媒体で経費精算の申請書や請求書を本社へ郵送・一括処理しており、経理業務にタイムラグが発生していました。
債務管理・請求書受領業務の改善例②
老舗百貨店である株式会社藤井大丸様では、バックオフィスの自社開発システムではテレワークができないことや、財務諸表の作成に労力や時間がかかっている点が課題の1つでした。
請求書・経費関連では「マネーフォワード クラウド債務支払」「マネーフォワード クラウド経費」を導入しています。
債務管理・請求書受領業務の改善例③
クラシコ株式会社様は、会社の成長とともに仕入先からの請求書が増え、業務負担が集中する中、銀行振込の自動化・ペーパレス化などの問題の解決を考えていました。
また、大量に届く請求書の開封や保管だけでも相当の事務量であり、紛失リスクも抱えていました。
債務管理・請求書受領業務の改善に役立つお役立ち資料
小売業界の企業様が債務管理システムを導入する際のチェックポイント
請求書データの保存・入力の自動化ができるかどうか
債務管理システムでまず求められるのは「請求データの自動入力」です。PDFデータなどで取得した請求書がシステムで自動認識されると、請求情報を手動で入力する手間が軽減され、かつ、入力ミスは減少するため人為的なエラー回避ができます。
つまり、自動化によりデータの正確性を高めつつ、作業時間の節約を実現できるのです。さらに、請求データの検索や閲覧も迅速に行えるため、必要な情報にアクセスする効率が向上するうえ、管理会計への転用もスムーズになります。
電子帳簿保存法対応かどうか
令和6年1月より、法人・個人事業主に関係なく「電子取引」で注文書・契約書・領収書・請求書などをやり取りした場合、「電子取引データの保存」が必要となります。
このように電子帳簿保存法に対応することも、会社のシステム選定にとって重要な要件であり、債務管理システムを導入するにあたって対応可否は確認すべき点と言えるでしょう。
また、紙で受領した請求書についても企業の任意で「スキャナ保存」を選択することにより請求情報をすべてデータ化し、一元化管理を検討することもできます。ソフトウェアの選択により社内ペーパーレス化の速度も変わってきます。
請求書の受取・開封 / 保管をBPOできるサービスはあるかどうか
一般にBPO(Business Process Outsourcing)とは、会社の業務の一部を外部の専門業者に委託することであり、単なるアウトソーシングとは異なって業務プロセスの設計や改善も含めて委託することです。
債務管理におけるBPOサービスとは、例えば、紙の請求書の開封、データ化、保管などについて、紙の請求書の受け取りからデータ化や保管までを効率化を含めた業務を委託することであり、一連の業務をシームレスに変えることが可能です。
システムだけでは対応できない物理的な取り扱いが必要となる場合には、委託する部分をカスタマイズできるBPOサービスがあるとバックオフィスの強い味方になります。