ニューコ・ワン株式会社

大企業のクラウド導入!成功の秘訣は「独自ルールの撤廃」にあり

ニューコ・ワン株式会社 人事部
部長 村上 美穂様
   小幡 啓子様
  • 課題

    ・先行導入したクラウドシステムがシフト制に対応しておらず、深夜に打刻できないなどの不都合が生じていた。
    ・先行システムの仕様上、各店舗で勤怠情報を確認・修正できず、店長らが取りまとめた紙の書類をもとに人事部が手作業で修正を行っていた。
    ・先行システムでは従業員規模1,000人を超えると年末調整の電子申請に対応できず、複数の自治体に紙で書類を提出していた。

  • 結果

    ・シフト制への対応のほか、各店舗で勤怠情報の修正や年次有給取得状況の確認ができるようになり、人事部に集中していた業務負荷を社内で分散できた。
    ・年末調整で従業員の書類提出がスムーズになり、各自治体への書類提出も電子申請に移行できた。
    ・「マネーフォワード クラウド勤怠」の標準機能を活用して、新たにフレックスタイム制を導入できた。

熊本県をはじめとする九州地方で、TSUTAYAフランチャイズによる複合書店事業を中心に展開するニューコ・ワン株式会社様。他社のクラウドシステムからリプレイスする形で、2021年4月より「マネーフォワード クラウド勤怠」「マネーフォワード クラウド給与」「マネーフォワード クラウド社会保険」「マネーフォワード クラウドマイナンバー」を導入しています。大企業でありながらスピーディーな導入と大幅な業務効率化を実現できたという同社に、マネーフォワード クラウド導入までの道のりと活用方法について伺いました。

電子化したのに紙に逆戻り クラウド導入失敗の過去

──現在の人事労務の体制について教えてください。

村上様:給与計算を始めとする労務を担当しているのは、本社の人事部4名(正社員3名、パート1名)です。従業員が九州各地、約30店舗に散在しているため、勤怠情報などは各店舗の店長や社員らが一旦取りまとめたのち、本社の人事部に集約する形になっています。

──マネーフォワード クラウド導入前、人事部ではどのような課題を抱えていたのでしょうか。

小幡様:先行導入したクラウドシステム(給与計算、勤怠管理、社会保険)の仕様や機能が自社に合わず、むしろ業務負荷が増加してしまったため、システムの移行を検討していました。

特に課題感が強かったのが勤怠管理です。当社では全従業員の85%以上がシフト制で働くパート・アルバイトスタッフですが、先行システムはシフト制を想定した仕様になっておらず「24時間営業の店舗で深夜に打刻できない」などの不都合が生じていました。

また、管理者権限が全スタッフの情報を管理できる「全権管理者」と自分の情報しか閲覧できない「一般ユーザー」の2択しかなく、各店舗の店長や社員にスタッフの打刻状況を確認、修正できる権限を付与できなかった点も非常に不便でした。

修正する場合は、紙によるスタッフからの自己申告を店長が取りまとめ、FAXやメールで提出して人事部が手修正。月末の締日前には、1日約300人分の紙の書類が人事部に届いていたんです。クラウド化の失敗で、むしろアナログに逆戻りしてしまっていました。

村上様:さらに年末調整の電子申請も、当時1,000人を超えていた当社の従業員規模では先行システムの仕様上、対応できないことが明らかに。結局、すべて紙ベースで行わざるをえませんでした。

2年ほどはなんとかごまかしてきましたが、料金改定もありコストが倍増し、継続は不可能だと判断して移行の検討を始めました。

マネーフォワードなら、人事労務の仕事を網羅的にクラウド化できる

──システム移行の検討はどのように進めたのですか。

村上様:主な選定の基準は、先行システムの導入で課題となっていた「シフト制への対応」「柔軟な管理者権限設定」の2点でした。加えて、管理のシンプルさ、システム間の連携のしやすさなどの観点もふまえて、自社に合うシステムを探しました。マネーフォワード クラウドは、シリーズで活用すれば人事労務の全領域を網羅的にクラウド化できることが加点要因となりましたね。

──さまざまなクラウドサービスの中で、マネーフォワード クラウドを選んだ理由は何だったのでしょうか。

村上様:選定基準を満たしているシステムであることに加えて、担当営業の方への信頼感も大きな決め手となりました。当時の私たちは、着手すべき問題の優先順位や導入のゴールも定まっていない状況でしたが、マネーフォワードの担当営業の方がコミュニケーションを通じて課題や目標を整理したり、運用の改善案を提案したりしてくれたおかげで、解決への道筋が見えるようになったと感じます。

導入スケジュールについても「できるだけ早く問題を解決しましょう」と言っていただき、勤怠システムは約1か月、給与システムは約2か月で導入を完了させることができました。

──実際に導入はスムーズに進みましたか。

小幡様:はい。導入支援担当の方がサービスについてはもちろん、労務の知識も豊富で、疑問点をすぐに解消してくれました。またマネーフォワード クラウド自体が操作しやすいシステムなので、私たちがクラウドに慣れていたことも相まって、初期設定はほとんど自分でできてしまいましたね。

異例の強行スケジュールでの導入になりましたが、マネーフォワードの担当者と二人三脚で頑張れたからこそ乗り切れたと思っています。

成功要因は「脱・独自ルール」 本社と店舗、両方の負荷を大幅軽減

──マネーフォワード クラウドを運用してみての感想や成果を詳しくお聞かせください。

村上様:先行システム利用時の課題はすべて解消し、ようやく自社の規模や勤務体系に合ったクラウド化を実現できたと感じます。中でも、店舗で勤怠管理がしやすくなり、人事部に集中していた業務負荷を社内に分散できたのは大きいですね。

また、個人的には有給休暇の管理がラクになって助かっています。マネーフォワード クラウド導入前は、人事部が表計算ソフトの年次有給休暇管理簿を手作業で作り、スタッフ一人ひとりの取得状況を目視でチェックして、スタッフに消化を促さなければなりませんでした。

現在では、普段使っている「マネーフォワード クラウド勤怠」の機能として年次有給休暇管理簿が備わっているため、店長らが各店舗での取得状況をチェックし、シフトに反映する形で対応できるようになりました。人事部からはほとんどの作業が手離れし、有給休暇管理業務だけで月1時間以上は作業時間を削減できています。

ちなみに、スタッフ自身も有給取得状況の自己管理がしやすくなったことから、法定基準以上の有給取得を率先して行ってくれるようになりました。

小幡様:年末調整の電子申請にも無事対応できてホッとしています。e-Tax、eLTAX、e-Govなどとマネーフォワード クラウドの連携で、年末調整手続きもびっくりするほど簡単に完了しました。当社のような業態だと、店舗の所在地によって所轄の自治体が変わるため、それぞれ紙で提出するのは結構な手間でした。電子申請にすることで一括提出できるようになったので、とても助かりましたね。

──導入後の社内の反応はいかがですか?

村上様:予想以上にポジティブな印象で、不満の声はほとんど上がっていません。先行システムの導入がうまくいかず短期スパンで勤怠システムを入れ替えることになり、従業員にとっては少なからず負担になっていたと思います。それでも協力的になってもらえたのは、マネーフォワード クラウドの使いやすさが大いに関係していると感じます。

「マネーフォワード クラウド勤怠」は打刻の押し間違いが起きにくい画面になっていますし、「マネーフォワード クラウド年末調整」は質問回答形式で記入が進むので、使い方がわからないことによるストレスが生じにくいのだと思います。また、万が一間違えても店舗側でチェック、修正できる仕様のおかげで、店舗スタッフや店長らも“ミスが許されないプレッシャー”から解放されたようです。

──導入の成功要因は何だと思いますか。

小幡様:マネーフォワード クラウドの機能に合わせて、社内の運用を標準化したことにあると考えています。クラウドサービスで対応しきれない独自ルールは、クラウド化を機に思い切って廃止した運用も多いです。その結果、人事部では独自ルールに対応するためのプラスαの教育や、法改正の度に生じる複雑な対応が不要になり、単なる脱アナログ以上の業務改善が進んだと感じています。

村上様:独自運用を廃止するだけなく、新しい取り組みも始められたんです。たとえば、これまで当社では1年単位の変形労働時間制を採用していたのですが、マネーフォワード クラウドの機能を活かしてフレックスタイム制も導入しました。コロナ禍以降増えている在宅勤務ともマッチして、とても好評ですね。「クラウド化で人事制度が新しくなる」とワクワクしてもらえているのを感じます。

入社手続きのペーパーレス化、シフト管理サービスとの連携強化に期待

──人事労務の業務について、今後の展望を教えてください。

小幡様:従業員情報の管理でもペーパーレス化、業務効率化を進めたいですね。紙で運用していた入社手続きを、本人がスマートフォンで直接入力したり、従業員ごとに人事情報の履歴を簡単に追跡したりできるような仕組みを作りたいと思っています。これらの実現に向けて「マネーフォワード クラウド人事管理」の利用も前向きに検討したいです。

村上様:今後、他社のシフト作成・管理サービスとマネーフォワードクラウドの連携が強化されるというお話も伺っており、とても楽しみです。当社の業務改善もまた一歩前進できるのではないかと期待しています。

ニューコ・ワン株式会社
1986年創業。本社を置く熊本県を中心に、九州地域で「蔦屋書店」をはじめとした複合書店事業、リテール事業などを展開。店舗を「集いの生まれる地域の居場所」にすることを目指している。近年はイベント企画にも力を入れており、行政や地元の農業高校とコラボレーションしたファーマーズイベントやマルシェなどが好評を博している。