株式会社極東電視台

クラウドで組織全体を意識改革。業務改善を経て、さらなる経営改善へ!

株式会社極東電視台 財務経営管理部 部長 大森翔様
  • 課題

    ・出張などが多い現場の書類提出を効率化したい
    ・年末調整の煩雑なやり取りを電子化したい
    ・年末調整の書類作成や提出を「いつでも」「どこでも」できるように

  • 活用方法

    規模の小さなグループ会社から導入し、実績を作ってから全社に導入

  • 結果

    ・年末調整業務を効率化でき、提出遅延もほぼゼロになった
    ・「会わなくては仕事ができない」と思い込んでいたものが、「ITツールを使いこなせば可能になる」という考えに変化し、結果、業務全体を効率化できた
    ・「こなすだけ」だった業務が、「分析して改善する」というところまでレベルアップ

経費精算や年末調整を圧倒的に効率化。組織全体の意識改革も進んだ
人気テレビ番組やイベントの企画・制作を手掛け、グループ会社3社を擁する極東電視台様。番組ロケや出張が多く、日々、大量の経費精算が発生するため、「経費精算の効率化」を目的に、2018年にマネーフォワード クラウド経費を導入し、翌年、クラウドマイナンバーも導入。更に、2020年には給与計算や年末調整業務の効率化を図るため、クラウド給与も導入しました。
バックオフィスだけでなく、現場を飛び回る従業員にとっても、日々の経費精算から年末調整に必要な手続き書類の作成・収集まで、雑務が圧倒的に効率化され、本来の制作業務に集中できるようになったそうです。また、各種クラウドの導入に伴い、経理・勤怠をはじめとする管理体制の整備と意識改革も進みました。経費や残業時間を"見える化"できたことで、制作コストの見直しや働き方の改善など、経営そのものの改革にも役立っています。

毎月の経費清算作業が現場の負担に。クラウドで業務効率化へ

大森様:当社は、「モヤモヤさまぁ~ず2」「世界の果てまでイッテQ」をはじめとする様々なTV番組や、Web番組などの制作を手掛けています。企画・制作を手掛けるプロデューサーやディレクター、撮影・編集を手掛ける技術部門、ロケバスを運用する車両部門まで、トータルに番組制作を行っています。
現在(2021年8月時点)の従業員数は約180名で、グループ全体で約270名にまで成長しています。バラエティ番組を中心に多くの番組制作を手掛けている当社では、従業員各自がロケの交通費や現場での必要品購入などの経費を立て替えるため、毎月、数千枚もの領収書やレシートの経費精算処理が発生します。もともと経費精算のシステムは社内ネットワークで行っていましたが、従業員は日頃、現場を飛び回っているので、精算申請をするために出社しなくてはならず、徹夜で作業する者も少なくはありませんでした。従業員の負担を削減するため、まずは経費精算のシステムをクラウド化しようと考えたことが導入のきっかけでしたね。

経費精算のクラウド導入を考えた当時、4〜5社を検討しましたが、マネーフォワードのクラウド経費を選択したのは、細かな使い勝手が制作会社の業務に合っていると感じたからです。プロジェクトごとの管理ができるため、番組単位での経費精算ができ、承認ルートもカスタマイズできる点が大きなポイントでした。また、レシートをスマホで撮影して送るだけという手軽さも、現場で働く従業員の負担軽減につながるだろうと。しかし、TV業界では、全体的にクラウドやITによる業務効率化が遅れている印象があり、新たなツールの導入には抵抗があることも感じていました。そこで、まずは規模の小さなグループ会社から導入し、実績を作ってから全社に導入していく流れとしたのです。

圧倒的に業務効率がアップ。組織全体もクラウド化を推進する流れに

クラウド経費の導入は、従業員からも非常に好評で、「会社に行かなくても精算できるのが助かる」「圧倒的に作業効率が良くなった」という声が上がりました。雑務を簡略化し、本来の制作業務に集中できるようになったこの大きな成果に、誰もがクラウドの有用性を実感したように感じました。組織全体のクラウド活用への抵抗がなくなり、経理関係や人材管理などもクラウドでペーパーレス化等を進めていく方向性に変化したのです。この後、各業務領域で段階的にクラウド活用を推進していく流れとなりました。また、私自身は、それまでアウトソースしていた給与計算なども内製化していけば、財務関連の分析を中長期的な経営計画に役立てていくこともできると考えていたので、クラウドマイナンバー、クラウド給与の導入から着手しました。

すべてのクラウドをマネーフォワードで一本化することに決めた理由は、頻繁に機能改善やアップデートが行われるため、長く付き合っていけると感じたからです。実際、クラウド経費を活用する中、「こんな機能が欲しい」という声を上げるたび、マネーフォワードの営業担当者はしっかりその話を受け止め、新たな機能開発や機能改善に役立ててくれました。いつの間にか「あ、欲しかった機能が付いている」というところがすごくいいですね。また、サービス同士の連携によって、データ共有できる利便性も魅力でした。例えば、経理面では仕訳の自動連携などもできるので、相互に効率化していけると考えました。

組織全体の悩みの種だった“年末調整”の業務を圧倒的に効率化できた

毎年の年末調整業務に、従業員もバックオフィスも苦しんでいた

早期にクラウド給与の導入に着手した背景には、経費精算と同様に悩みの種であった年末調整を何とか効率化したいという思いもありました。年末調整の際に提出する扶養控除申告書などは、とにかく複雑でわかりづらく、専門知識のない従業員に丁寧に説明してもなかなか理解できないもの。社内用にマニュアルを準備しても記載ミスや空欄のままの提出が多く、毎年、修正作業の煩雑なやりとりにお互い苦労しましたし、紙による配布・提出・回収は物理的な管理の面でも大変でしたね。
従業員は基本的に現場に出ているため、社内で従業員に向けた説明会を開くこと自体も難しい状況でした。地方や海外への出張なども多い彼らにとっても、書類の修正・提出のためだけに出社の機会を作ることは難しく、本来の業務である現場を優先するあまり、どうしても書類作業は後回しになってしまいます。物理的にも書類をやりとりできるタイミングが非常に少ないため、年末調整業務はバックオフィスのスタッフ4名で担当しても、回収・修正・チェックの作業だけで数週間も掛かりきりになるほど大変でした。私自身、入社以来の7年間、「年末調整は悩みの種だ」と感じ続けてきましたが、この悩みは組織全体の悩みであり、恐らく創業からの25年来、誰もが苦しめられてきたことだと思いますね。

書類提出の遅延がほぼゼロに。ペーパーレスで保管も効率化

クラウド導入 によって、従業員はいつでもどこでも年末調整の書類の修正・提出ができるようになりました。以前は「申告書のどこに何を書けばいいのかわからない」という人も多くいましたが、クラウド上で質問に沿って回答するのみで済むため、わずか数分で書類が完成できるようになったのです。おかげで、そもそもの「面倒な年末調整の書類を書いている」という苦手意識を持つことなく、スムーズに書類作成が完了できるようになったと思います。また、生命保険や住宅ローンなどに関連する必要な証明書の提出も、写真を撮ってデータをアップするのみの手軽さとなったのです。各種書類の提出遅延がほぼゼロになったのは、これらの影響が大きいですね。

一方、バックオフィスでも未提出者の確認や修正チェックをリアルタイムで行えるようになりました。それまではチェック時に電卓を叩いて数字の確認をしていましたが、クラウドの自動計算機能によってこの作業も不要となり、圧倒的に効率化できましたね。また、紙の書類を使っていた頃は、その保管自体も大変でした。当社では、入社した順に従業員番号を付けており、毎年、年末調整で回収した書類はその番号順にファイリング保管する方式を取っていたのです。書類をファイルするだけでも一苦労でしたし、個々の前年の状況を確認する際にはいちいちファイルを探さなくてはならず、本当に非効率だったと思います。しかし、今はクラウドのシステム上で簡単に一括管理でき、前年の情報を確認する際にも、タブ切り替えで画面表示ができます。バックオフィスの手間も圧倒的に削減できました。

組織全体の意識も変化。“業務改善”から、一歩先の“経営改善”へ

効率化で本来の業務に集中できる。コロナ禍のテレワークも可能に

一連のクラウドを導入したことで、全従業員にとって、経費精算や年末調整に付随する負荷が軽減され、本来の業務である現場に集中できるようになったと感じます。これがクラウド導入の一番のメリットですね。また、経費精算と給与計算をマネーフォワードのクラウドに統一したことで、従業員もフローに馴染みやすく、すでにその利便性を実感していたので、抵抗もありませんでした。一方、バックオフィスにおいても、各種業務の内製化を進めるにあたって、スムーズに移行できたと思います。また、クラウド給与を導入した2020年は、コロナ禍の大きな影響を受けた年でもあります。その際、労務・経理関係の作業でバタつくことなく、従業員の出社機会を減らすことができた上、バックオフィスの業務もテレワーク化でできるようになったことは、非常に助かりました。

ITを積極利用する空気に変化。残業や経費も分析・改善できる

クラウド導入によって、従業員の働き方への意識も変化したと感じます。TV業界では、打ち合わせを対面で行うことが当たり前となっていますが、当社では、チャットを使ってやりとりしたり、アンケートや申請書の記入・収集も紙ではなくGoogleフォームを使ったりするようになり、従業員の意識も変わってきていると感じます。コロナ対策に役立つことはもちろんですが、それまで「会わなくては仕事ができない」と思い込んでいたものが、「ITツールを使いこなせば可能になる」という考えに変化し、結果、業務全体を効率化できるようになっています。また、経費精算や書類提出などの締め切りを守る意識も高まりましたし、バックオフィス業務のシステム化に伴い、勤怠管理もよりきちんと行う意識が付いたと感じます。

TV業界をはじめ、現場の発言権が強い業界では、バックオフィスがIT化を図ろうとしても、なかなか難しい状況があるかと思います。しかし、当社では、クラウド導入によって、残業や会社の経費状況が可視化され、改善することができています。勤怠管理や経理・会計などの作業に対し、これまでは「こなすだけ」でしたが、今では「分析して改善する」というところまでレベルアップできたのです。実際、育休から復帰した従業員が“浦島太郎状態”になるくらいの変化が起きていますね。

今後は、さらなる効率化を図るために、クラウド会計、クラウド請求書、クラウド債務支払を順次導入を進めていきます。また、番組別の損益管理のために、予算管理ツールのマネージボードの導入準備も進めています。クラウドをトータルに使いこなし、経営改善や中長期的な経営計画に役立てていきたいですね。

 

株式会社極東電視台
「世界の果てまでイッテQ」「有吉の壁」「マツコ会議」「人間観察バラエティ モニタリング」などをはじめとするTV番組の制作、およびWeb配信番組や企業VP、動画配信サービス、iPhoneアプリなどの制作を手掛ける。人気番組の企画・制作のみならず、現場やロケに関わる手配・管理までを一気通貫で担う。