平安伸銅工業株式会社

業務アセスメントで部分最適が招くリスクを可視化、第三者視点でのシステム選定により全体最適へ大きく前進

平安伸銅工業株式会社 井戸様
荻野様
▼対象システム
販売管理、貿易管理、在庫管理システム

▼支援内容
業務アセスメント支援(対象システムに付随する業務の棚卸しと可視化)
システム選定支援

つっぱり棒や収納・インテリア用品の開発、製造をされている平安伸銅工業株式会社様。

同社では、フルスクラッチで構築したシステムを用いて、販売・貿易・在庫管理を行っていました。今回、そのシステムの刷新を進めるにあたって、業務アセスメント(現状の業務の棚卸しと可視化)とシステム選定の支援をマネーフォワードコンサルティングに依頼されました。

なぜフルスクラッチで構築したシステムの刷新を検討する必要があったのか、業務アセスメントとシステム選定でコンサルティングを活用された背景やメリットについて、同社のCFOである井戸様・荻野様に詳しく伺いました。

課題

事業内容

ー事業内容についてお教えください。

当社は、1952年に大阪市で創業した生活日用品メーカーです。
主力製品であるつっぱり棒などの開発や製造を行っており、その技術を活かして「LABRICO(ラブリコ)」「DRAW A LINE(ドローアライン)」「AIR SHELF(エアシェルフ)」などの暮らしにまつわるインテリアブランドを展開しています。

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独自システムの限界、個別最適の積み重ねが全体最適を損なう構造に

ーどのような経緯があって、販売・貿易・在庫管理のシステムを見直す必要があると思われていたのでしょうか。

当社では、フルスクラッチで構築したシステムを用いて、販売管理や貿易管理、在庫管理をしてきました。フルスクラッチといっても、ゼロから自社専用に構築したものではなく、実は全く別業種の企業のシステムをベースにして、それを当社向けにアップデートして作られたものでした。

導入当初は、開発から本稼働までのリードタイムが短く、現場の実務担当者が実際にシステムを利用しながら「ここをこうしてほしい」という意見を出し、それをすぐに反映できるというスピード感にメリットを感じていました。しかし運用を続けるうちに深刻なデメリットが大きく3つ浮き彫りになりました。

1つ目は、ベースが別業種のシステムであるため、私たちの業務にどうしてもフィットしない部分が残っていたことです。このアンフィットな部分に対しては、追加のカスタム開発、または別途表計算ソフトによる運用の2段階で対応せざるを得ない状況でした。
具体的には、貿易管理に不可欠な外貨対応などは追加カスタムで補ったものの、システム標準ではカバーしきれない不便さが依然として残りました。そのため、特に煩雑な単価等のマスタ管理や有効在庫の管理については、システム外の表計算ソフトを用いた属人的な管理に頼らざるを得ず、結果として業務の非効率を招いていました。

2つ目は、現場の意見を都度反映させてきた結果、各所での個別最適が積み重なり、組織全体で見ると大きな歪みを生んでいたことです。各担当者が使いやすさを優先して運用を最適化した結果、データの一貫性や業務フローの整合性が取れなくなっていました。社内には、こうした状況を俯瞰して、何が全体最適なのかを正しく判断できる専門的な知見を持つ人材がいませんでした。

3つ目は、システムの基盤がMicrosoft Accessであったことです。OSやソフトウェアのバージョンアップに伴うメンテナンスの問題が常に発生し、このままではいつか業務が止まってしまうのではないかという危機感を抱いていました。いわば「秘伝のタレ」のように継ぎ足しで守られてきたシステムでしたが、限界はすぐそこまで来ていると感じていました。

自社完遂の難しさを痛感、最新の知見と客観的な視点で導く全体最適へ

ー業務アセスメントやシステム選定段階から、コンサルタントを入れて進めようと思われた理由をお教えください。

システムの刷新を検討し始めた際にまず痛感したのは、自社だけでこのプロジェクトを完遂させることの難しさでした。当社は少数精鋭で運営しており、システム専業の部署はありません。私自身はCFOという立場で管掌範囲が広く、このプロジェクトだけに専念するわけにはいきませんでした。さらに、私も含めて一般的なバックオフィス経験者は、過去に在籍した数社程度の経験に基づき、視界も知見も限られてしまいます。
ITの技術革新は日進月歩であり、自社だけで最新のトレンドや他社の成功事例をキャッチアップし続けるのは不可能です。バックオフィス業務全般への高い解像度を持ちつつ、客観的かつ俯瞰的に全体最適を導き出せる専門家の視点が不可欠だと考え、マネーフォワードコンサルティングへの依頼を決めました。

ーコンサルティングサービスの利用にあたっての稟議はスムーズでしたか。

社内で承認を得るまでには、関係者との認識合わせと合意形成に時間を要しました。上層部からも現場からも「今のシステムでも業務が回っているのだから、わざわざ変える必要はないのではないか」という根強い意見がありました。また、コンサルティングサービス自体に馴染みが薄かったこともあり、「外部の人間が何をしてくれるのか」「費用に見合う効果があるのか」という疑問を持っている人も多かったのではないかと思います。
この状況を改善すべく、業務は成立している一方で経営上のリスクが大きいことを整理し、粘り強く説明しました。具体的には、このまま属人的な運用を続ければ、担当者の離職によって業務が止まってしまうこと、データの正確性が担保できず経営判断を誤る恐れがあることなどです。また、業務の効率化を進めることで新たに生まれたリソースを「今までやりたくてもできなかった付加価値の高い業務」に充てられるという前向きな未来図を何度も共有しました。
そのうえで、外部支援を活用する目的と範囲を明確にし、「具体的に何を、どこまで改善するのか」「費用に対してどのような効果を見込めるのか」を説明しました。結果として、関係者の懸念点を解消しながら、取り組みの必要性と進め方について合意を得ることができました。

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主観的な声を客観的な事実へ、業務の可視化で明らかになった非効率の正体

ー今回のプロジェクトにおいて、マネーフォワードコンサルティングは①業務アセスメントと②システム選定の2つのフェーズに渡って支援をさせていただきました。まず、①業務アセスメントの支援内容はどのようなものでしたか。

最初の3ヶ月ほどで、現状の業務プロセスとシステム上の課題を棚卸しし、可視化を進めていただきました。具体的には、担当者一人ひとりに丁寧な業務のヒアリングを行い、それを詳細な業務フロー図に落とし込んでもらいました。この支援を経て、個々の担当者に属人化していた細かな業務や、非効率のボトルネックがどこに潜んでいるのかなど、誰が見ても分かる状態になりました。
特に驚いたのは、単価マスタの管理や在庫の年齢管理など、システムで完結できずに別途表計算ソフトで入力・管理している項目が予想以上に多かったことです。これらのデータは受発注業務の根幹にかかわる機密度の高いデータでありながら、権限さえあれば誰でも書き換えや削除ができてしまう脆弱な状態でした。万が一操作を誤れば、過去の履歴が追えなくなるという危険な状態だったのです。この現実を業務フロー図として視覚的に突きつけられたことで、「今のままでも問題ないのではないか」と言っていた上層部も、システムの刷新が中長期の改善テーマではなく、早急に着手すべき必須課題であると理解してくれるようになりました。

9ヶ月の伴走支援で、情報量に惑わされない妥協なき選択が可能に

ー次に、②システム選定の支援内容はどのようなものでしたか。

システム比較の観点整理、ベンダーとの打ち合わせへの同席と論点設計、自社課題に照らした適合性の評価(落とし穴の洗い出し)といった支援です。ここには約9ヶ月の時間をかけましたが、振り返ってみると密度の濃い期間でした。数多くのシステムベンダーと打ち合わせを行いましたが、各社とも自社製品の強みを中心に提案される傾向がありました。自分たちだけでは、その機能が本当に自社の課題を解決するのか、あるいは導入後に想定外の負荷や制約が出ないかを中立的に判断するのは困難でした。コンサルタントの方にすべての打ち合わせに同席してもらい、中立的な視点で論点を整理し、確認すべき点をベンダーに明確に問いかけてもらえたことは、大きな安心感に繋がりました。例えば、カタログスペックだけでは見えづらい仕様の細かな違いや、将来的な拡張性の有無など、自分たちだけでは見落としていたであろうポイントを的確に指摘してくれました。
また、単に「どのシステムが良いか」を教えてくれるのではなく、私たちが自ら判断するための基準を整理し、意思決定の質を高めていただきました。「ベンダーはこう言っているけれど、御社の現状の業務フローだとここがネックになりませんか?」という一歩踏み込んだ助言があったからこそ、納得感のある選定ができたと思います。
この過程を通じて、当初は「コンサルティングとはなにか」があまりピンときていなかった様子のメンバーも、「自分たちの業務を本当に理解し、より良くしようとしてくれている」というコンサルタントの方への信頼を深めていきました。自分たちだけでシステムを選定していたら、きっと情報量に圧倒されて、どこかで妥協した選択をしていたかもしれません。外部の知見を借りることは、分かりやすい答えを入手することではなく、組織を正しい方向に導くためのコンパスを手に入れることなのだと実感しました。

挿入②

膨大な事例と知見が背中を押す、現状維持を打破して確実な前進へ

ー一連のコンサルティングサービスを受けられて実感しているメリットをお教えください。

今回の支援では、システムの問題整理にとどまらず、プロジェクトを進める中で大きな副産物も得られたと感じています。それは、管理部門のメンバーの一人が自社の課題に対して強い問題意識を持つようになり、システム刷新に向けたプロジェクトリーダーに自ら名乗りを上げてくれたことです。コンサルタントの方との対話を通じて、自分たちの力で会社を、そして自分たちの働き方を変えていけるという手応えを感じてくれたようです。
そのメンバーだけでなく、ほかの現場のスタッフたちも、今では理想のゴールを共有し、同じ方向を向いて取り組もうとしてくれています。現在の私たちは、進むべき方向性が明確になり、ゴールに向かって着実に進めているポジティブな状態にあります。
私と同じように、バックオフィス全体を統括しながら「このままではいけない」と漠然とした課題感をお持ちの方は多いと思います。しかし、管掌範囲が広ければ広いほど、日々の業務に追われ、腰を据えて変革に取り組むためのリソースを確保することは一筋縄ではいかないと思います。現場に蔓延する現状維持という空気に抗い、変革していくのは容易ではありません。だからこそ、多数の事例と深い知見を持つコンサルタントに入っていただくメリットは大きいと感じます。判断のために必要な情報の可視化と的確な助言があれば、より確実に前に進むことができると思います。

公開日:2026年4月16日 公開当時の情報となります

今回の導入サービス

平安伸銅工業株式会社
1952年創業、大阪市の生活日用品メーカー。お客様の暮らしの変化に寄り添う「暮らすがえ」企業として、主力製品であるつっぱり棒や、収納・インテリア用品を開発、製造。その技術を活かした「LABRICO(ラブリコ)」「DRAW A LINE(ドローアライン)」「AIR SHELF(エアシェルフ)」などの暮らしにまつわるインテリアブランドを展開しています。