多店舗展開(飲食小売)の経理の課題・悩み

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飲食店や小売業を経営する事業者にとって目標の一つが多店舗展開です。多店舗展開は、お店の知名度を向上させますが、しっかりとバックオフィス周りを整備することも重要です。

今回は、そんな多店舗展開におけるバックオフィスのなかでも経理関係についてスポットを当てて、その注意点などを解説します。

売上の集計

多店舗展開においてまず重要になるのが売上の集計です。

飲食店にしても小売業にしても、1店舗だけの経営と多店舗展開では売上管理の方法が大きく異なります。1店舗であればレジ情報も1店舗分だけ管理すればよいため、売上額を把握することはそれほど難しくありません。

しかし多店舗展開をするとなるとそうはいきません。各店舗から売上額の情報を集計するとともに、売上方法についても現金やキャッシュレス決済ごとに金額を管理する必要があります。

売上方法ごとに売上額を集計しないと次に解説する売上金の管理に支障が出てしまうほか、クレジット会社などからの未収入金の管理も不正確になってしまうためです。

そこで多店舗展開で売上額の正確な把握のために必須になるのが、多店舗に対応したレジシステムです。各店舗で売り上げた金額をシステムで集計して本社で店舗ごとの売上額、合わせて全社の売上額を一元管理する方法です。

店舗ごとの業績管理の観点からも売上額を店舗ごとに正確に集計することは必須です。店舗ごとにそれぞれ売り上げを集計して、Excelなどの表計算ソフトで本部がデータを集計することも方法としては可能です。

しかし、それでは店舗ごとの売上金の把握が不正確になったり、万が一店舗側で不正に売上データを調整してしまった場合に把握できなかったりといった事象が生じかねません。

本社で売り上げをデータで一元管理する方法であれば、売上額の集計も正確になり、かつ社内的なリスク管理の面からも有効です。

売上の一元管理のためのソフト導入にはコストもかかりますが、売上額の正確な把握のためにも導入をお勧めします。

店舗ごとの売上金の管理はどのようにすればよい?

多店舗展開のお店にとって、売上額だけでなく各店舗ごとの売上金そのものの管理も重要な経営課題の一つです。

クレジット決済やQR決済などのキャッシュレス決済であれば、店舗ごとの売上金の管理の問題は発生しません。各店舗で決済された金額であっても、その情報は本社経理部などの管理部門に数字が集約されて、一元管理できるためです。

しかし、店舗現金についてはそのようなことはありません。各店舗ごとに現金を管理する責任者を置いて、その者に各店舗の売上金の管理や会社口座への入金を行ってもらう必要があります。

本社としては、各店舗ごとの売上について、現金支払いやキャッシュレス決済といった支払い手段ごとの金額を把握します。現金支払い分については、その金額が間違いなく会社口座に入金されていることをしっかりと確認しておく必要があります。

このときに重要なポイントが一つあります。それは売り上げの現金と経費精算用の現金を店舗ごとにしっかりと区別しておくことです。

本社としては現金による売上金として把握している金額と、会社の口座に入金された金額を一致させておくことが重要です。口座に入金される現金が、売り上げとして把握している金額と一致していることをもって、売り上げた金額に間違いがないことを確認するためです。

そのためには売上金は売上金として管理して、そのまま会社口座に入金する必要があります。もし経費を支払うために売上金を使ってしまうと現金の一致が確認できなくなったり、万が一お釣りを間違うなどで現金過不足が発生してしまったりした場合に確認することが困難になります。

そのため、売り上げた現金はそのまま口座に入金し、経費支払用は別に小口現金で店舗ごとに管理してもらうなどの対応が必要となります。

店舗ごとの経費精算をどのように行うか

前述の通り、売上金と店舗で支払う経費のための現金はしっかりと区別をしておく必要があります。その一つの手段が前段でも述べた小口現金を使用する方法です。

しかし、小口現金を店舗ごとに管理するのはかなり手間であり、小口現金の実際の残高と帳簿上の残高がずれた際の確認作業なども発生する可能性があります。ただでさえ忙しい店舗運営のなかで小口現金まで管理するのは手間的にも時間的にも難しいでしょう。

そこで、よく用いられる方法が店舗ごとに経費管理者を決めて、月間の経費額について給与に上乗せして支払う方法です。この方法であれば小口現金の実際の残高を帳簿と合わせるという作業もなくなりますし、経費を店舗側で都度精算するという手間も省けます。

さらにレシートの画像などを読み込ませて経費金額を集計するクラウド経費精算システムを活用すれば、毎月店舗と本部との間でレシートなどの紙のやり取りも不要になり、データも本部でいつでも活用できるため、業務効率の点だけでなく、情報管理の観点からもメリットがあります。

経費精算にビジネスカードを利用している場合は、クラウド経費精算システムと連携させてデータを素早く正確に取り込むといった活用の仕方もあります。

事例として、マネーフォワード社では経費精算システムとビジネスカードを組み合わせることで、店舗の小口現金周りの課題解決に取り組んだケースもあります。参考にしてみてください。
https://biz.moneyforward.com/case/moneyforward-cloud/nopt/

まとめ

このように、特に多店舗展開する場合には、売上金の管理や店舗ごとの経費精算の管理が経理業務において重要になります。効率よく経理業務を回していけるように売上管理のソフトや経費精算のソフトをうまく活用しましょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

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