ボルダリングが趣味の税理士の視点-会計業務の効率化について、個人的な体験から今後の展望まで

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ボルダリングが趣味の税理士の視点-会計業務の効率化について、個人的な体験から今後の展望まで

宮﨑雅大税理士事務所は、会計ソフトの導入から適切な運用までのサポートを行っている税理士事務所です。顧客もスタッフも「安心できる環境作り」を目指して、数えきれない失敗を繰り返しながら挑戦中です。事務所の代表である宮﨑雅大さんは工学部出身であり、「ちょっとした工夫で、時短にならないかな?」と考えながら仕事をされてきました。趣味はボルダリング。仕事で行き詰まった時にも、ボルダリングによって体の心のリズムを整えていると語っています。ボルダリングの話から会計ソフトの導入と運用、マネーフォワードとの取り組み、さらには今後の展望など、幅広く伺いました。

カラフルなホールドを眺めていると、落ち着くんですよ。登れなくても

小学生や60代の方とも一緒に登れる、おもしろいスポーツです

――ボルダリングを趣味にしたきっかけを教えてください。

税理士試験を受けている時から、何か運動をやりたいということは漠然と考えていました。私が20代後半のころ、今から20年ほど前に、小中学生くらいの女性がボルダリングをしているCMを見て、興味を持ったのがきっかけです。小さな子どもが軽々とこなしていることに驚いたのです。私自身も体が大きいほうではなかったのですが、懸垂は比較的得意だったので、これならば自分にもできるのではないかと考えました。

CMを見てすぐに、ボルダリングができるジムに申し込みました。初めての時はなかなか登ることができず、苦労していたところ、10歳くらいの男の子がたまりかねて声をかけてきてくれ、手足や体の使い方を変えるだけで全然違うということを教えてくれました。

そうか、コツさえつかめば、性別・年齢関係なくできるスポーツなんだな、一生の趣味にできるかもしれないなと考えました。

ボルダリングは手だけではなく、「足で登るスポーツ」とも呼ばれています。ボルダリングのシューズは先が尖っていて、そのつま先をホールド(石状の突起物)の凹凸に引っかけるのですが、その場所を考えることも重要な要素になります。靴のヒールの部分はでっぱっている部分をホールドの上で固定してバランスを取ります。ボルダリングはあまり道具がなくても、行うことができるスポーツです。ただ、シューズは「登るために高いシューズを買って良い」と考えています。課題(コース)に合わせて、ヒールが硬いもの、つま先が細いものなど、さまざまなマイシューズを揃えています。

ボルダリングを趣味に

名前を知らない方とも一緒に登れるスポーツです

――ボルダリングの魅力はどんなところにありますか?

私の考えるボルダリングの魅力は、大きく分けると3つあります。
1点目はパワーだけのスポーツではないこと。どのように体を使えば、バランスよく登れるのかを考えながらできる競技です。

2点目は、知らないうちに教え合える競技であることです。同じ壁に、簡単な課題と難しい課題とが同時にあるので、後ろから見る機会も増えますし、同じ課題にトライする人同士が教え合うことも少なからずあります。
ボルダリングは当初、自分が思っていたよりもはるかに人と触れ合う機会が多いスポーツであると気づきました。例えば、私が登っていると、まわりにいるみんなが「ガンバ!」「ガンバ!」って声をかけてくれるんです。そして登り切ったあとには、みんながグータッチを求めてくれます。続けているうちに、同じジムに通っているもの同士で、知り合いが増えていく良さがあるからこそ、今も続いているという面もあると思います。

3点目は気分転換になることですね。デスクワークとはまったく違うものですし、自分の中で、体や心のリズムに勢いをつけることができるのがボルダリングです。仕事をしていると、いろいろなことがあるじゃないですか。落ち込んだ時に、ボルダリングの課題についてぼーっと考えるだけでもリフレッシュになり、リラックスできるんです。
ボルダリングには本当にたくさん助けられました。体調を崩して、仕事を休んだ時期があったのですが、その時もまずボルダリングからスタートしました。壁と向き合って、体を動かせるようになり、肉体的にも精神的にも自分のリズムを取り直すことができて、仕事に復帰できた経緯があります。こういう仕事はまわりに相談するわけにもいかないところがあるので、ボルダリングがあって良かったと感じています。

自分がボルダリングをやり始めたのは20代後半ですが、もっと早くから始めておけば良かった、もったいなかったなと思っています。自分のまわりには50代でやっている方もいますし、そんなに難しい課題でなければ、60代70代になってもできるスポーツです。個人的にはヘタでもいいから一生続けたいと考えています。

業務効率化への思いと会計ソフト運用がつながった

業務効率化への思いと会計ソフト運用がつながった

勤め人に向いていないなら独立するしかない

――税理士を目指した経緯と独立した経緯を教えてください

実は、理念や理想があって税理士を目指したわけではないのです。大学では工学部だったのですが、経営工学科というところで、製造工程の管理という視点で製造原価簿記を勉強する機会があって、簿記のおもしろさは知っていたのですが、その後、社会人になって、そのまま忘れていました。

大学卒業後、税理士とは関係ない仕事に就いたのですが、社会人生活2か月で肺炎になり入院しました。仕事の内容が精神的にかなりハードなものだったので、会社に戻ることをやめて、簿記を勉強しなおそうと考えたのが、税理士を目指すきっかけになりました。大学で経済学を取っていたことが税理士試験の資格になると知り、簿記2級合格後に税理士試験の勉強を開始して、試験の勉強をしながら税理士事務所に入りました。

税理士事務所から独立したのも、自分から進んでという感じではありませんでした。「勤め人が向いていなかった」という言い方が正しいですね、多分。かなり扱いにくい従業員だったと思います。業務において「これは改善できるのではないか」と考えてしまうことがよくあり、自分の作業自体が止まってしまうことがありました。自分が改善したいと考えても、事務所の方針と一致しなければ、改善することはできません。その組織の中では「正しくない」と判断されます。そこで自分の中で矛盾が生じてしまい、体調を崩して休職してしまったんです。その事務所のやり方が悪かったわけでなくて、自分の性格と合わなかったということです。

この時もボルダリングに助けられて、自分の中で勢いをつけることができたのが大きくて、独立を決断することができました。自分の性格を考えると、独立するしかないのだろうなと思っていました。ただし、自分は経営者に本当に向いているんだろうかという不安は、いまだにありますね。「0→1の計算」は得意なのですが、「1から10を作ること」に関しては、資質として欠けているところがあると感じているからです。「私の欠けた部分を理解・把握してもらえるスタッフと一緒に仕事をするのがいいのだろうな?」というのが現時点での結論です。まだまだ課題がたくさんあるので、これから先、一緒に仕事をするメンバーを探すとしたら、私の欠落した部分を理解してくれる人ということが条件になるのかなと考えています。

顧客ゼロの数か月がプラスに働いた理由

――会計ソフト導入と運用のサポートという点が事務所の大きな特徴になっていますが、この方針は事務所立ち上げの時から意識していたのですか?

いえ、これもたまたまですね。独立するタイミングの2016年の秋頃、税理士会の会合に参加した時に、周りのみなさんがクラウド会計ソフトを取り上げていないことを知りまして、だったら、会計ソフトをメインにすれば、近くの税理士さんの競合にならないだろうと考えて、クラウド会計ソフトに興味を持ちました。

独立してから2、3か月の間はお客さまがゼロだったのですが、会計ソフトの仕組みを勉強する時間が取れたことがプラスに働きました。ネットバンキングとどういう連携になるのか、連携したあとの処理がどうなるのか、クラウド会計ソフトと向き合う機会が多くなり、仕組みを学ぶことができました。どの会計ソフトの使い勝手がいいのかということも把握できました。

現在では会計システムを新しく導入する場合には、クラウド会計ソフトが間違いなく選択肢として入ってきます。私の場合は知らないうちに、その流れに乗っていたということだと思います。恐らく自分の開業(2016年10月)がもう少し前だったら、早すぎるタイミングだったと思いますし、もう少し遅いタイミングだったら、まわりがみんな導入して遅すぎるタイミングになっていたのではないかと思います。

ただし私の事務所では会計ソフトの導入を目標にしているわけではありません。導入してしっかり運用できるサポートをすること、安心して運用できることを目指しています。あくまでもお客さまに適している方法を選択していただくのが第一です。

顧客ゼロの数か月がプラスに働いた理由

会計ソフトを導入すべき3つの条件

――会計ソフト導入をすべき場合とすべきではない場合の条件を教えてください。

導入したほうがいい人の条件は新しいシステムに抵抗のないことでしょうか。シンプルにネットバンキングやクレジットカードの連携などのオンライン環境に抵抗がないことが条件になるでしょう。また、エンジニアの発想を持っていることも大切です。あまりイメージがつかないかもしれませんが、クラウド会計は工場の生産ラインと一緒なんですね。アルファベットを使わないノーコードのプログラミングの一種なので、どんな設定をするとどんな登録になるのかという発想ができることが必要かと思います。導入すべきでないのはこれらの条件を満たさない人です。間違った登録をしても、そのまま気にせず無視して作業を進めるような方には導入はお勧めできません。

もう1つ、導入をおすすめする条件があるとするならば、簿記の知識を持っていることです。簿記二級、三級の資格を持っていることよりも、どういう状況になったら、エラーが起こるのか、正しくない登録をチェックできることです。これらの条件を満たしている人にはクラウド会計が向いていると考えます。

会計ソフトを導入すべき3つの条件

「セット販売」がもたらす「バックオフィス効率化」

――マネーフォワードと一緒に導入の取り組みをされています。取り組みの具体的なエピソードを教えてください。

マネーフォワードの担当の方からプラン変更時の「セット販売」の話を聞いた時に怒ってしまい、マネーフォワードの方にはご迷惑をおかけしたことがありました。「こんな契約の仕方はどうなのですか?」と怒りのメッセージを送ってしまいました。お客さまへの対応に忙しかった時期で、いろいろな問題を抱えていたため、カリカリしていた部分もあったと思います。私としては、会計ソフトだけでいいと考えている人に対して、給与計算・請求書・勤怠管理などのセット販売することに納得がいかなかったんです。しかしマネーフォワードが最終的に目指しているのはバックオフィス全体の効率化であり、会計、給与、請求書、経費精算、勤怠管理など、ラインナップを増やしながら、必要なものだけ連携させられるサービスだったんですね。その方針を知らずに怒ってしまったのです。

現在はセットで利用できるサービスが増え、また使いたい機能のみ選んで利用できるならばメリットがあるため、セット販売という方法のプラス面を理解するようになりました。私は税理士なので、どうしても「会計を適切に登録すること」を中心に考えてしまっていたのですが、マネーフォワードはもっと広くバックオフィスに役立つことを考えて、さまざまなプロダクトを提供しているのだと納得しました。

工業製品は最終的な完成形となって発表するのが一般的ですが、クラウド会計ソフトのようなSaaS関連商品はリリースしてからフィードバックによってどんどん改善させていくものであることを知らなかったことが、私が誤解してしまった要因にもなりました。担当の方が私の事務所に直接謝罪に来ていただき、本当に申し訳なかったです。いろいろと意見が合わず、ご苦労をかけた部分もありましたが、その方がいたからこそ、マネーフォワードとの仕事をここまで一緒にやることができたのは間違いありません。いろいろと相談にも乗っていただきましたし、申し訳ないという気持ちと感謝の気持ちの両方があります。

マネーフォワードの特徴として、他のシステムを導入している場合でも連携するというのがあります。お客さまが使い勝手が悪いと判断したものに関しては、使わないという選択ができるところも良いなと考えています。

会計ソフト以外のサービス、勤怠管理、給与計算、年末調整など、サービスの質が確実に向上してきているので、今後、マネーフォワードに期待することは、この方針を継続してほしいということです。継続して役立つプロダクトの提供と適切なバージョンアップを継続していただければと考えています。適度にリリースするラインナップを増やしながら、使う人のハードルを下げるサービスを提供しつづけていただけたらと考えます。どんなに高機能であっても、ほとんどの人が使えないサービスでは意味がありません。ハードルを下げるというのは、ただ登録する、任せるというだけではなくて、確認しやすいポイントを設ける点も含まれていると考えます。導入した後に、正しく運用していけるシステムを作っていただけたらと考えています。

「セット販売」がもたらす「バックオフィス効率化」

企業が勝負すべきところに時間を注げる環境を作りたい

――今後、どのようなやり方で会計ソフトの導入をサポートしていこうと考えていますか?

私の事務所ではいくつかの会計ソフトを提案して、お客さまそれぞれにあった会計ソフトを運用していただくことを目指しています。判断がつかないという場合には、何個かアカウントを持って実際に使用して比べてもらい、使い勝手がいいなあというインスピレーションを持ったソフトを導入してもらうようにしています。会計ソフトの導入が目的ではなくて、最終的な目標は帳簿付けを気軽に負荷がなくできる環境を作ることだと考えています。

会計ソフトの導入・運用のサポートを行っている効果が表れていると実感するのは、お客さまとのやり取りが減ってきたことですね。以前は「作業は進んでいますか?」「会計ソフト内での連携できていますか?」というやり取りがあったのですが、そうした作業が会計ソフト内で完結するようになりました。情報共有の箱としても優れているなと感じています。お客さまにとっても、課題の解決や業務の効率化のいい味方になってくれていると考えています。

10年ほど前から税理士事務所は「IT化に喰われる業種」と言われてきました。確かに、仕事の一部がITによって、取って代わられることはあると思います。しかし少子高齢化によって、働き手が少なくなってきている状況の中では、税理士事務所だけでなく、どの業界も業務効率化を進めていく必要があると考えています。人手が不足していても、業務を進行できるシステム作りは必要です。それと同時に、作業する量が減っても、チェックする人は必要です。

企業が勝負すべきところに時間を注げる環境を作りたい

今後、税理士の仕事内容も変わってくると考えています。これまでは作業に対する対価をもらっていました。しかし、そうではなく、作業後のチェックであるとか、業務内容を踏まえた効率化の提案といった方向にシフトするのではないかと予想します。税理士の受験数が減っているという現実もあるので、会計ソフトの運用をうまく活用しながら、企業の業務改善のサポートができたらと考えています。IT化は税理士の仕事に限らない話です。いい形で活用することで、人手不足という課題の解消に繋げて、日本の企業全体の生産性の向上に貢献できたらと考えます。会計ソフトの運用によって、時間や人手をかけなくていいところにはかけず、本当に勝負すべきところに時間と人手を注げる環境作りができたらいいなあと考えています。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

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Bizpedia編集部

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