【後編】経理部門キーマンがリモート推進の意義を語る!「経営層への有効な説得方法は?役立つITツールとは?」

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新型コロナウイルスの影響により、完全リモートで四半期決算を遅延なく成し遂げたマネーフォワードの経理部門。前編に続き、後編ではリモートワークへの移行を経理担当者から経営層に働きかけるうえでのポイントや、場所を問わず経理業務を滞りなく進めるために活用できるITツールについて、松岡俊・財務経理本部長が伝授します。

【前編】経理部門キーマンが舞台裏を語る!「マネーフォワードが決算業務をリモートワークで完遂できたワケとは?」

――新型コロナウイルスの影響による一過性のものではなく、多様な働き方の実現のため、これからもリモートワークはますます求められると思いますが、いかがでしょうか?

リモートワークがもたらす3つのコスト削減

松岡俊・財務経理本部長(以下、松岡):今後はリモートとリアルのハイブリッドな働き方の増加が予想されます。いずれにしても選択肢が増えるのは良いことかと思います。 当社の経理部門で実際にあったケースですが、ご結婚を機に地方に移住される社員がいました。以前のように、オフィスへの出社を前提とする働き方であれば、他メンバーと協働が難しかったかもしれません。しかし、現在は地方に開発拠点を設けているため、そこに勤務してもらうことに。 経理の仕事を継続しつつ、開発拠点のメンバーにユーザーの声を届けるといった付加価値業務が可能になりました。

優秀な社員には、できるだけ長く働いていただいたほうが、ノウハウ蓄積、採用や教育訓練コストの削減など、あらゆる観点からメリットが大きいと思います。

――なるほど。ただ、経理担当者の中には、「経営層の理解が得られずリモートワークの導入が進まない」「経営陣の説得方法を知りたい」とお悩みの方も少なくないと思います。そうした方に松岡さんなりのアドバイスをお願いします。

松岡:ウィズコロナの段階においては、リモートワークに対応しておくことで、事業上のリスクをコントロールする必要があり、その時々で経営判断が必要だと思います。「いつでもリモートワークに切り替えられるが、あえてface to faceのコミュニケーションを重視してオフィスで仕事をしている」場合と、「リモートワークに切り替え対応ができず、仕方なくオフィスで仕事をしている」という場合では、事業上のリスクが異なると思います。後者の場合、オフィスでクラスター等が発生した場合、リモートワークへの迅速な切り替えが難しいため、事業上のリスクが大きくなる。経営層には、このことを理解してもらう必要があるでしょう。

もちろん、オフィスで一緒に働くことによる一体感、横の部門とのつながり、雑談から生まれるクリエイティビティは無視できません。それらを重視して、オフィス出社を継続するという考え方は否定しません。出社することのポジティブな面も非常に大きいと思っています。とはいえ、プロセスを改善して、いつでもリモートに切り替えられる、という状態にしておくのは重要ではないでしょうか。

また、「コスト削減効果」を訴えるのが有効かもしれません。ひとつは電子化によるコスト削減です。当社の場合、そもそもリモートワークのためではなく、「効率化」「決算早期化」「財務情報の見える化」のために紙から電子への移行を進めていたわけですが、結果として経理メンバーの残業は大幅削減が実現し、費用の見える化が進んだことによりコストの見直しにつながりました。ちなみに、当社では社長から「費用の取引先別、部門別の内訳がほしい」とリクエストを受けてから、30分ほどでデータを提出できます。そのデータをもとにスピード感をもって議論できるようになりました。

そしてもうひとつが、システムのコスト削減です。これについては、クラウドシステムのメリットでもありますが、自社にサーバーを設置するためのスペース、空調、電気代、保守をするための人員コストなどから解放され、トータルコストの削減につながります。

さらに、本格的にリモートワークに移行するならば、直接的なコスト削減も考えられます。今後、オフィスの在り方については経営者も悩まれているところかと思いますが、“一部出社・一部リモート”のように柔軟な組み合わせを採用することで、中長期的にはオフィスの家賃を削減できるかもしれません。

また、通勤手当も定期代ではなく、実際の通勤日数×1日の費用に変更することで、直接的な費用削減も可能です。経営者目線では、こういった点がメリットかなと思います。

経理業務のリモート化には業務の電子化が必須

――臨機応変に対応できる準備が必要だということですね。それを阻むボトルネックは何が考えられるでしょうか?

松岡:日本では紙とハンコによる内部承認のスタイルが完全に根付いています。これを変えることに、抵抗感がある人も多いことが予想できます。たしかに、仕訳と証憑を机の上に広げて、鉛筆でチェックマークを入れながら確認したほうが、細かく確認できると考える人は多いことは理解できます。ただ、電子化されていることを利用して、色々なロジックチェックを自動でかける工夫をすることで、精度を下げずにチェックを進めることはできます。

――そうなると、オフィスにいる必然性はなくなりますが、遠隔での作業を円滑に進めるためのツールは欠かせないですよね。

松岡:会社に来ないとアクセスできないシステムからの脱却は重要です。当社では 、社外からはアクセスできないファイルサーバーに資料を格納していましたが、2020年2月にクラウドへの移行が完了していたのでリモートでは有利でしたまた、会計システム以外もプロセス全般をクラウドシステム中心に構築しており、オフィスにいないとシステムが使えないという状況は限定的でした。

また、チャットなどのテキストでのコミュニケーションに不足がある場合はビデオミーティングを活用することで補完できます。とはいえ、さまざまなサービスがあるので、何を選ぶべきか分かりにくいかと思います。そんなときは、SaaSのマーケティングプラットフォーム「BOXIL SaaS」などを活用して、各社の事情に合わせて選ぶのも手ではないでしょうか。

――その他、経理業務のリモート化をアシストしてくれるITツール選びのコツはありますか?

松岡:一般論ではありますが、可能な限りAPI連携できるものかどうかを基準にすることが大事だと思います。必ず同じ会社のシステムとは限らなくても、API連携できればリモートでの作業が円滑になります。たとえば、システムAからCSVをダウンロードしてメールで送付し、別の人がシステムBでデータを加工してインポートして…というプロセスですと、時間もかかりますし、ミスの可能性もあります。その点、API連携では非常に簡単にデータを連携可能です。

また、具体的なツールとしては「Manageboard(マネージボード)」がとても役に立ちました。予算と実績を比較して管理するシステムになるのですが、伝票の漏れを防ぐことに活用できます。というのも、リモートワーク中は伝票に漏れがあるのではないかという心配がつきまといました。そのときに、予算と実績を比較できるのがチェックに適しています。「Manageboard」は会計システムからデータをAPIで抽出できるので、科目ごとに予算と実績を比較して、漏れがないか確認できます。

正確性を担保するには、伝票を一枚ずつ確認することは重要ですが、より高い視点でシステムを活用した分析的なチェックも重要かと思います。予算・実績の対比はシステムを使わない場合、表の作成に時間がかかりますが、システム化により、このプロセスを早期化できます。

また、外部との一部手続きにおいて、どうしてもFAXじゃないとやりとりできないケースがありました。これはクラウド型のFAXサービスを活用して、出社を回避しました。

<松岡が考えるリモート化に必須の3か条>

 

1. 電子ワークフロー
内部承認フローを電子承認フローへ切り替え。外部取引においても、可能な限り電子で請求書を入手・電子領収書を自動連携するなどの対応で、そもそも紙を収集しないといけない数を減らす。

2. クラウドシステム
出社しないとアクセスできないシステムではなく、クラウドシステムでプロセス構築する。

3.コミュニケーションツール
スプレッドシート、チャット、ビデオ会議などでどこにいてもリアルタイムに情報共有、疑問解消

――なるほど。では、セキュリティにまつわる不安についてはいかがでしょうか?

松岡:当社では、社員が持つスマートフォンを登録しておき、そこに表示されるパスワードを入力しないとアクセスできない二段階認証を採用しています。当然のことながら、公衆Wi-Fiなどから会社のネットワークにアクセスしたり、USBへのファイルをコピーしたりすることは禁止です。こうした方法でセキュリティレベルを上げることは、十分可能だと考えています。

――松岡さんのお話を通して、クラウドをはじめITツールを活用すれば、経理業務のリモートワーク移行は、さほど困難ではないように感じられました。

松岡:そうですね。もちろん準備は必要ですが、クラウドサービスをフル活用して、プロセスを現場入力などに整えることができれば、どの企業でも経理部門のリモート化は実現できると思います。とはいえ、会社の文化・慣行によって簡単に変えられない部分もあるはずです。ただ、ここまでお伝えしてきたようなポイントを意識していただければ、よりスムーズにリモートに移行できるのではないかと考えています。今回のコロナ禍におけるリモート対応を、業務効率化を進める機会として捉えていただくのもよいのではないかと思います。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

Bizpedia編集部

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