チャラい税理士・大河内薫が考える、安泰ではなくなった税理士の生き残り戦略

刈上げパーマにラフな服装――。そんな税理士らしくない「チャラい税理士」をご存知ですか。ArtBiz税理士事務所の大河内薫さんは、風貌からも分かるとおり、これまでの税理士像を打ち壊していく異端児的存在。「士業は食いっぱぐれない」という時代が終わった今、これからの税理士の生き残り戦略について語ってもらいました。

スーツを着ない“チャラい税理士”大河内薫さん

取材協力:大河内 薫(おおこうち かおる)@k_art_u
税理士業界10年目、スーツを着ない税理士。株式会社ArtBiz代表取締役、ArtBiz税理士事務所代表税理士。自身が経営する経営支援会社のArtBizでインターネットビジネス事業を手がけていることもあり、税理士業としてはアフィリエイトやWEBマーケティング事業を行うクライアントが半数を占める。また、日本大学芸術学部出身という縁から、タレントやクリエイターなどの芸能芸術系のクライアントも多い。

 

――よろしくおねがいします。早速ですが、今日もスーツは着られていないのですね。

ええ。半袖のTシャツにデニムを履いていたりします。場合によっては、半ズボンで打ち合わせに参加することもありますね。

――名刺の肩書きにも「スーツを着ない税理士」とありますね。

会社員の服装がどんどんカジュアルになっていく中で、税理士だけがきっちりスーツを着て仕事をするのも、ちょっと時代に合っていないように感じるので。髪型も自由にやっています。初めて会う人には驚かれますが、2週間ごとに美容室に行って整えています。

――伝統的な業界のスタイルを打ち破ろうと思ったきっかけは?

もともと大きな税理士法人に所属していたのですが、その頃から「一流の税理士になりたい」と考えていました。まわりには超一流の税理士がたくさんいて、そうした人とともに仕事をする中で、僕自身の「税の知識」「税を扱うスキル」も平均以上にはなりました。

でも、超一流の彼らのレベルには、税務知識だけでは到底追いつけない。彼らと棲み分けるにはどうすればいいか、差別化できるものはないか、自分が強みを発揮できるのは何か……と考え始めたのがきっかけです

僕は日本大学芸術学部演劇学科出身なんですが、自分がアートや芸能を生業にしなかった分、芸能芸術分野で活動している人を支援したいと気付き、現在の税理士業に落ち着きました。

専門性が求められなかった日本の税理士

――大河内さんはITや芸能芸術分野を専門にされていますね。このように特定の分野に特化した税理士は少ないように思います

あまりいませんね。士業の中でも、私のように特化している税理士は特殊です。企業や個人事業主が税理士に依頼をするとき、地場の税理士に依頼したり事業者同士で紹介しあったりするのが一般的です。一方、私の場合はブログやSNSからご依頼をいただくことが多いです。

――専門税理士というポジションが差別化になっているんですね。

はい。先ほど言ったような税理士の選ばれ方だと、専門性の高い税理士よりも、幅広く対応できる税理士が求められます。いろんな案件に対応できるようにジェネラリスト型の税理士が多いですね。でも、根本的なところに立ち返ると、その税理士って、クライアントの事業や課題を深く理解できているでしょうか?

例えば、熱っぽくて病院で診療してもらうとき、内科と眼科だと内科に行きますよね。税理士においても、個々の事務所にスペシャリティが求められるべきなんです。

僕も、不動産や小売の税務相談は受けますが、その分野のプロではないので、顧問税理士の依頼は基本的にお断りします。逆に、ITや芸能芸術などについては税務を超えたものを提供できる自信があります。よりクライアントのニーズに応えるのであれば、税理士も専門性を持ち仕事を選ぶべきです。全ての税相談に対応してきてしまったのが、日本の税理士の特殊性だと私は考えます。

――特化型の税理士は、今後増加していくのでしょうか?

増えるべきだと思います。

例えば、僕が尊敬している税理士の一人に、高橋創(たかはし・はじめ)さんという方がいて、その方は新宿二丁目に税理士事務所を設立しているんです。自称「所得税オタク」というだけあって、所得税に強い。さらに、事務所の土地柄か、飲食系の相談に強い税理士の先生です。高橋さんのように強みが明確だと、お客さんのニーズも掴みやすいですよね。

余談ですが、高橋さんは新宿ゴールデン街にバーを所有していて、毎週水曜日にお店に立っています。それ以外にも、かわいい動物が描かれた領収書袋(経費擬獣図鑑)を作るなど、本業以外にもアクティブに活動されていて、このような税理士さんが増えると業界が刺激されて面白そうですよね。

情報発信していない税理士は“もったいない”

――税理士界隈でも、大河内さんはTwitterのフォロワーが群を抜いて多いですよね。他にも発信されているツールはあるんですか?

そうですね。

Twitter、Facebook、ブログ、Voicy、note、LINE@ぐらいですよ。

――十分多いです(笑)。情報発信にどのようなメリットを感じていますか?

「大河内薫ってこんな人なんだ!」と知ってもらうことにつながっています。モノを売るというより自分を売る。ブランディングでありファンメイクですね。

お客さんからしても、「どんな人かな?」「相談しても大丈夫そうかな?」と税理士の素性が分かれば相談しやすいですよね。確定申告など「自分のお財布」を税理士に見せるわけですから、誰でもいいわけないですよね。

――キャラクターが伝わるSNS運用をされていますよね。

そうですね。SNSでは自分をさらけ出しています。なので「刈上げパーマの税理士はちょっと……」「スーツも着ない税理士なんて非常識」と感じる人からは仕事の依頼が来ません。相性のミスマッチが減って効率化できますから、その狙いもあります。

――Twitterはいつから運用されているんですか?

本格的に頑張ろうと思ったのは、実は1年前ぐらいです。最初700人ぐらいしかいなかったフォロワーも、だんだんと増えてきて、今は11,000人まで到達しました

――Twitter投稿する際に気をつけていることはりますか?

フォロワーが増えてきたので、保守的にならないように気を付けていますね。あくまで遠慮せずつつみ隠さず、伝えたいことを発信しています。

――炎上はしませんか?

そうそう炎上はしませんよ(笑)。もちろん、読んでいる側が嫌な気持ちになったり傷つけられたと感じる投稿は避けたほうがいいです。ただ、遠慮はしないので、なかなか難しいのですが……。

――これからSNS運用を始めたい士業の方にアドバイスがあればお願いします。

僕も含めて凡人は、ただ書きたいことを書くだけだと、100人ぐらいでフォロワーが頭打ちになります。他の人の投稿の仕方を真似することから始めて、成功も失敗も両方してみることが大切です。

「税理士って素敵な職業」だと思われたい

――今の税理士業界に思うことなどありますか?

実は税理士の業界は、非常に高齢化しています。日本税理士会連合会がまとめた報告書を見てみると、僕みたいな30代の税理士は10%しかいないんですよ。もっと驚きなのは、20代は1%を切るほどです。

そうした超高年齢化状態が続くと、イノベーションが起こりづらかったり業界文化が硬直化したりと、若い人が魅力を感じづらくなってしまいます。積極的に新しいことを取り入れる僕みたいな税理士の力で、若い人が税理士の職に興味を持ってくれると嬉しいですね。

――税理士志望の方にアドバイスはありますか?

税理士に限らずですが、「士業は食いっぱぐれない」という時代は終わりました。

資格があるから安泰という時代ではなくなったのです。その中で生き抜いていくためにも、この業界を目指す志望者には自分なりのスタイルを見つけて欲しいと思っています。僕が「スーツを着ない、チャラそうな税理士」というポジションをとっているのは、一般的な税理士のイメージを壊したいという理由もあるからです。ここだけの話、本当はチャラくないんですよ(笑)。

――差別化が大事だと。

新たに税理士になりたいと考えている人や、今の税理士としてのキャリアに悩んでいる人は、自分なりの強みが出せるフィールドや、やりたいと思えることを見つけることから始めるべきですね。

AI技術の脅威なんて目じゃないくらい、税理士のやれる仕事はまだまだありますよ。

おまけ:大河内さんがすすめるフォローすべきTwitterユーザー

■たかはしはじめ 高橋創@namahagetax フォロワー数:528
東京都新宿区新宿二丁目の税理士。新宿ゴールデン街の酒場「無銘喫茶」のオーナーでもある。BIZ KARTEでも執筆中(参考記事:仮想通貨の「億り人」はたったの331人 億万長者たちが幻に消えた理由
■Testosterone@badassceo フォロワー数:542,162
1988年日本生まれ、米国育ち。元総合格闘家。現在はアジア某国で社長を務める。Twitterでは、あらゆる問題を筋トレによって解決するビジネスハックツイートが人気。ベストセラー『筋トレが最強のソリューションである』の著者。
■あんじゅ先生@ジャックナイト主幹事@wakanjyu321 フォロワー数:4,649
別名・若林杏樹。自称天才美少女の漫画家・イラストレーター。女性向け恋愛漫画などを執筆。幻冬舎plusで連載中。
■三原貴嗣(へんも)ブロガー住職@henmority フォロワー数:1,056
真宗興正派善照寺の21代目住職。フットバッグというスポーツのパフォーマーとしても活躍、全国大会で受賞歴も。

※フォロワー数は全て6月11日現在

BIZ KARTE編集部

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