フリーランスの厳しい現実

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近年、プログラマ、デザイナー、ライターなどへの需要が増え、またネット環境の発達により働く場所が自由になったことによって一種の「フリーランスブーム」が起きているように感じる。

実際、アメリカにおいても日本においてもフリーランスの数は増加していて、「会社に勤めなくても良い」「好きなことをやれる」というポジティブな面が強調される。
(参考:国内で増えるフリーランスの人口!人気の理由とは?|はじめようフリーランス

しかし、現実はどうなのだろうか。本当にフリーランスを薦めて良いものなのだろうか。

実際、フリーランスは夢でも何でも無く、計画を立ててきちんと仕事が回るようにしなければ、すぐに破綻してしまう。

そこで今回はフリーランスの厳しい現実を少し書いてみたい。

フリーランスは文字通り自由競争。自由競争市場は2極化する。

まず当たり前の前提として「フリーランス」は組織を外れて、腕一本で食べていく人たちだ。したがってフリーランスは常に「他のフリーランス」や「企業」との競争にさらされる。

だが、自由競争市場は過酷な世界だ。例えば、現在の日本のような解雇規制が一切ない国を想像して欲しい。使えない人はすぐに放り出され、優れた人だけが会社に残ることを許される。

その世界がフリーランスの世界だ。あなたがもし能力の高い側ではない、と認識するならば、フリーランスはお勧めできない。

フリーランスは「好きなことしかやらなくていい」は大きな誤解

第二に、フリーランスは好きなことしかやらなくていい、と言われることも多いが、それはとんでもない誤解だ。フリーランスこそ、好きではないこともやらなくてはならない。

個人事業主として活動するにせよ、法人を立ち上げて活動するにせよ、まず問題となるのはお金の話だ。いままでは会社がやってくれていた保険や税金など、自分でやらなくてはならない。

もちろん営業も自分でやる。必然的に請求や回収も自分の仕事だ。また、我儘なお客さんの急な依頼にも答えなければならない時もあるだろうし、休暇もお客さんの予定次第だ。外注を使えばその品質管理、作業管理、スケジュール管理も残らず自分でやる。

一方で新規顧客の開拓を交流会やブログなどでやりつつ、定型的で作業的な仕事……面白くない仕事も、すべて自分でやらなければ何も進まない。フリーランスは好きなことしかやらなくていいわけではなく、あなたに命令する人がいないだけだ。

フリーランスは「起業家」とならなければ非常にリスキー

身一つで仕事をしている場合、フリーランスは自分の体調などの理由で休みをとってしまえば、その分収益が減る。労働集約的な仕事がフリーランスは多いが、結局のところ「健康」に大きく依存する。

したがって、フリーランスをやる傍ら「労働集約的ではない仕事」を作っていかなければならない。すなわち、単なる労働力ではなく、事業を作らなければならない。

商品販売やメディア運営、あるいはライセンス料の発生する仕事など、自分の労働の対価ではなく、自分の資産の対価が受け取れる仕事を意図的に作る必要がある。

いずれあなたは年を取り、体力も思考も衰える。それまでにあなたは資産を作ることができるだろうか?

フリーランスは孤独

フリーランスは孤独だ。極端な話、webで仕事を受け、webで納品すれば1年間だれとも会わずに仕事を済ませることだってできる。でも、普通の人にはそれは耐えられないだろう。

他社とのコミュニケーションや繋がりは、自分からアクションを起こして、自ら取りに行く必要がある。だれもあなたの隣の席にはいない。

コワーキングスペースなどで作業したりすることもあるだろう。しかし、隣りにいるのは「同志」ではなくあくまで「たまたま居合わせた人」だ。

相談相手もなく、協業する人もない。上司も部下もない。そのような一人の世界を楽しめるだろうか?経験的には、「孤独に耐え切れないので、フリーランスを辞めました」という人は多い。

あなたは一人でも黙々とやるべきことをやり続けられるだろうか?

フリーランスはお金のことばかり気になってしまう

冷静に自分を見ると、「お金のことしか考えられない自分がいる」とフリーランスはよく言う。

例えばサラリーマンであれば、会社に在籍していれば無条件にお金をもらうことができるが、フリーランスは請求してもお金が支払われない、というケースがよくある。

「品質が要求水準にない」
「予算がつかなかった。今回は◯万円でいい?」
「まだ契約していない。お金を払うとも言っていない」

など、お金をもらう事自体に苦労するなど、サラリーマンでは考えられない。

また、軌道に乗るまではサラリーマンよりも遥かに年収は低い。それに耐えてまでフリーランスを目指そう、と言うのはある意味、よっぽど強い思いがなければ無理だ。

あなたには万が一に備えた貯金があるだろうか?仕事がなくなってから、就職活動期間を耐えぬく蓄えがあるだろうか?それがなければ、食料なしに大海原にイカダで漕ぎだすようなものだ。

まとめ

・自由競争
・好きではないことをたくさんやらなければならない
・事業を作らなければならない
・孤独
・お金

以上の5つに対して「それでもやりたい」という方は、思う存分、自分のやりたいようにやればよいだろう。素晴らしいフリーランスの世界が待っている。

だが、一つでも不安がある場合、成功はおぼつかない。悪いことは言わない、フリーランスの現実は厳しいのだ。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:安達 裕哉 (コンサルタント / ライター)

1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。マネジメント、IT、人事コンサルタント。現在はコンサルティング行う傍ら、学習塾の経営を行い、人材育成に注力している。



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