- 作成日 : 2026年2月6日
ChatGPTを論文に使う方法は?読むとき・書くときの手順を解説
ChatGPTは、論文の理解や執筆を効率化できる便利なツールですが、「使ってよいのか」「どこまで許されるのか」に不安を感じる研究者や学生も多いのではないでしょうか。実際、論文に生成AIを使う際は、大学や学会の規程、研究倫理、著者責任といった観点を無視すると、意図せず不正と判断されるリスクがあります。
大切なのは、ChatGPTを論文を代わりに書く存在として扱うのではなく、「読む」「整理する」「表現を整える」ための補助ツールとして正しく位置づけることです。当記事では、ChatGPTを論文に使う前に確認すべきポイントや、活用時の具体的な手順などを解説します。研究の信頼性を守りながら、生成AIを賢く活用したい方はぜひ参考にしてください。
※(免責)掲載情報は記事作成日時点のものです。最新の情報は各AIサービスなどの公式サイトを併せてご確認ください。
目次
ChatGPTを論文に使う前は何を確認するべき?
生成AIは文章整理や理解補助に役立ちますが、研究分野では「使えるかどうか」以上に「どのように使うか」が大切です。所属機関のルールや投稿先の方針、研究倫理の原則を理解せずに利用すると、意図せず規程違反や研究不正と判断される可能性があります。
ここでは、論文執筆にChatGPTを使う前に必ず押さえておきたい3つの観点を解説します。
大学や所属組織が定める利用規程
論文作成にChatGPTを使う前に、まず確認すべきなのが大学や研究機関が定める生成AIの利用規程です。多くの大学では、学習成果の評価を正しく行い、不正行為や情報漏洩を防ぐため、レポートや論文における生成AIの使用範囲について公式なガイドラインを設けています。
規程の内容は大学ごとに異なり、「文章の全面生成は禁止」「要約や表現の調整など補助的利用のみ可」といった形で具体的に示されている場合があります。また、卒業論文や修士論文、研究計画書など、評価や審査を伴う成果物は特に制限が厳しい傾向があります。未公開データや個人情報を入力してはならないと明記されているケースも多いため、学内ポータルや研究倫理ページを事前に確認しておきましょう。
投稿先の学会・出版社が定めるAI方針
次に確認すべきなのが、論文を投稿する学会や出版社が定める生成AIの利用方針です。近年、国際学会や学術出版社の多くが、ChatGPTなどの生成AIに関する明確なポリシーを公表しています。
一般的には、生成AIを著者として認めないこと、AIの使用有無を開示すること、生成された内容の責任はすべて著者が負うことが示されています。本文の推敲や英文校正への利用は認められていても、研究結果や考察の生成は禁止されている場合もあります。
投稿規程やAuthor Guidelinesを確認せずに執筆を進めると、査読以前にリジェクトされる可能性があるため注意が必要です。
研究倫理における著者責任の原則
ChatGPTを活用した場合でも、論文内容に対する最終的な責任はすべて著者自身にあります。研究倫理の基本原則では、記載されたデータや主張の正確性、引用の妥当性について、AIではなく人間の研究者が責任を負うとされています。生成AIはあくまで補助的なツールであり、誤りが含まれていても責任を取ってくれる存在ではありません。
特に注意すべきなのは、事実関係の誤認や、実在しない文献・数値の生成です。これらを確認せずに使用すると、捏造や剽窃と疑われるリスクがあります。ChatGPTの出力は必ず一次情報で照合し、自身の理解に基づいて書き直しましょう。
ChatGPTに任せると失敗しやすい作業はある?
ChatGPTは論文作成の補助として便利な一方で、任せ方を誤ると研究の信頼性を損なう作業も存在します。特に研究や学術論文では、正確性・再現性・情報管理が厳しく求められるため、AIに全面的に任せることがリスクになる場面があります。
ここでは、生成AIを活用する際に「特に注意すべき作業」を3つに分けて解説します。
事実や数値の正確性が求められる作業
論文において事実や数値の正確性が求められる作業をChatGPTに任せるのは危険です。ChatGPTは大量のテキストを学習して文章を生成しますが、内容が事実かどうかを保証する仕組みを持っていません。そのため、統計データ、実験結果、法規制の数値などを出力させると、もっともらしい誤情報が混ざることがあります。
特に注意が必要なのは、具体的な数値や年代、制度の細かな条件です。一見正しそうに見えても、実際には古い情報だったり、複数の情報が混同されていたりするケースがあります。
研究論文では、こうした誤りは信頼性を大きく損ないます。事実確認が必要な箇所は、必ず一次情報や公式資料を確認し、ChatGPTは「整理」や「言い換え」に限定して使うのが安全です。
出典や参考文献の生成を任せる作業
参考文献や出典の生成をChatGPTにそのまま任せることも、失敗しやすい作業の1つです。ChatGPTは文献リストの形式を整えたり、引用スタイルの例を示したりすることは得意ですが、実在する論文や正確な書誌情報を保証できるわけではありません。
実際には、存在しない論文タイトルや著者名、誤った掲載誌を組み合わせた「架空の文献」を生成することがあります。これは悪意ではなく、文章生成の仕組み上起こりうる現象です。
論文に虚偽の文献が含まれると研究倫理上の重大な問題になるので、参考文献は必ず自分でデータベースを用いて確認しましょう。
機密情報や未公開データを扱う作業
機密情報や未公開データを含む作業をChatGPTに任せることも避けるべきです。研究途中のデータ、共同研究先との未公開資料、個人情報を含むデータなどを入力すると、情報管理上のリスクが生じます。
たとえ学習に使われない設定であっても、外部サービスに情報を入力する行為そのものが、大学や研究機関の情報セキュリティ規程に抵触する場合があります。特に論文投稿前の未公開結果は、情報漏洩や先行発表とみなされるリスクもあります。機密性の高い作業では、ChatGPTの使用は避けたほうが無難です。
ChatGPTで論文を読む際の手順
ChatGPTは、論文を「速く理解する」ための補助ツールとして活用できます。全文を精読する前に要点や構造を把握したり、論文の位置づけを整理したりすることで、読解効率を大きく高められるでしょう。
ただし、ChatGPTで整理した内容を鵜呑みにするのではなく、自分で確認・判断する前提で使うことが重要です。ここでは、論文読解にChatGPTを活用する際の具体的な手順を3つの観点から解説します。
論文の要約を依頼するプロンプト例
論文を読む最初のステップとして、ChatGPTに要約を依頼すると全体像を素早く把握できます。特に英語論文や分野外の論文では、いきなり全文を読むよりも、要点を整理してから精読するほうが効率的です。要約を依頼する際は、論文のタイトルや要旨(Abstract)をそのまま貼り付け、役割と条件を明確に指定しましょう。
プロンプトとしては、「あなたは大学院生向けに論文を解説する研究アシスタントです。この論文の目的・手法・主な結果を300字以内で日本語要約してください」といった形で指示すると、構造を意識した出力が得られやすくなります。また、「専門用語には簡単な補足説明を加えてください」と条件を加えることで、理解しやすさも向上します。
論点と限界を整理する出力フォーマット
論文を読み進める際には、主張だけでなく「論点」と「限界」を整理することが欠かせません。ChatGPTは、この整理作業を構造化する用途に向いています。単に感想を求めるのではなく、出力フォーマットを指定することで、研究の評価に使いやすい形になります。
具体的には、「この論文について主張の要点、新規性、前提条件、著者自身が述べている限界、今後の課題、の5点を箇条書きで整理してください」といった形で依頼すると効果的です。これにより、論文の強みと弱みを客観的に把握できます。
ただし、限界や課題については、ChatGPTが本文に書かれていない推測を補う場合もあるため、必ず原文の記述と照合し、自分の判断で取捨選択する必要があります。
関連研究を探す検索クエリの作り方
論文読解と並行して実施したいのが、関連研究の把握です。ChatGPTは論文検索そのものを行うツールではありませんが、適切な検索クエリを作る補助として活用できます。特に、英語論文を探す際のキーワード設計に有効です。
たとえば、「この論文のテーマに関連する英語の検索クエリを3~5個提案してください。年代指定や比較研究の視点も含めてください」と指示すると、主要概念+手法+対象を組み合わせた検索語が得られます。
得られたクエリはGoogle Scholarなどに入力し、実在する論文を自分で確認しましょう。ChatGPTはOpenAIが提供する生成AIですが、文献の網羅性や最新性を保証するものではない点を理解して使いましょう。
【プロンプト例つき】ChatGPTで論文を書く際の手順
ChatGPTは、論文を「1から書く」ためのツールではなく、「自分で書いた内容を整理・改善する」ための補助として使うことで真価を発揮します。特にアウトライン作成や文章調整、表記統一、英文校正といった工程では、人の判断を前提にすることで作業効率を大きく高められます。
ここでは、研究倫理を守りながらChatGPTを活用する具体的な手順を、実際に使えるプロンプト例と一緒に解説します。
アウトラインを作成する
論文執筆の初期段階では、構成案(アウトライン)を作成する作業にChatGPTを使うと効果的です。論文全体の流れを整理することで、論理の飛躍や章構成の抜け漏れを防ぎやすくなります。大切なのは、研究内容そのものを生成させるのではなく、構造のたたき台を作らせることです。
【プロンプト例】
あなたは学術論文の構成を整理するアシスタントです。 研究テーマは「〇〇」に関するものです。 IMRaD構成(Introduction, Methods, Results, Discussion)を前提に、各章で記載すべき内容を箇条書きでアウトライン化してください。 研究内容の具体的な結果は仮置きで構いません。 |
このように依頼すると、論文の一般的な構造に沿った整理案が得られます。出力結果はそのまま使うのではなく、自身の研究内容と照らし合わせて修正し、最終的な構成は必ず自分で決定しましょう。
文章の冗長さを削る
ChatGPTは、既に書いた文章を整理し、読みやすく整える用途に向いており、冗長な表現や重複した言い回しを避け、簡潔かつ明確に論文を書くときに役立ちます。ただし、意味や結論を変えないよう条件を明確に指定する必要があります。
【プロンプト例】
以下は私が執筆した論文の一節です。 内容や主張は変更せず、冗長な表現や重複を削って簡潔に書き直してください。 学術論文として適切な文体(です・ます調ではない)を維持してください。 |
この使い方であれば、表現の整理に限定した支援が得られます。修正後は、意図せず意味が変わっていないかを必ず原文と比較し、自分の判断で採用・修正を行いましょう。
用語と表記を統一する
論文では、専門用語や略語、表記ゆれの統一を行う必要がありますが、ChatGPTは文書全体を俯瞰してチェックする作業に向いています。特に、英語表記と日本語表記が混在する場合や、略語の初出ルールを守れているかの確認に有効です。
【プロンプト例】
以下は論文の一部です。 専門用語、略語、表記ゆれがあれば一覧で指摘し、統一案を提案してください。 すでに定義済みの用語は、その定義を前提にしてください。 |
このように依頼すると、用語のばらつきを可視化できます。ただし、分野特有の慣習や投稿先のスタイルガイドがある場合は、それを優先して最終判断を行う必要があります。
英文を校正する
英語論文の執筆では、内容以前に文法や表現の自然さが問われるため、ChatGPTが英文校正の補助として活用できます。ただし、意味の改変を防ぐためには、条件指定が不可欠です。特に、ネイティブ表現への置き換えを求めすぎないことがポイントです。
【プロンプト例】
以下は学術論文の英文です。 内容や主張は一切変更せず、文法ミスや不自然な表現のみを修正してください。 学術論文として一般的な英語表現を用いてください。 |
修正後は、専門用語や数値が変わっていないかを必ず確認しましょう。ChatGPTはOpenAIが提供する生成AIですが、最終的な品質と責任は著者自身にあります。校正結果をそのまま提出せず、最終的には必ず自分の目でチェックすることが必要です。
ChatGPTの出力はどこをチェックする?
ChatGPTを論文執筆に活用した場合、出力内容をそのまま使わず、必ず人間がチェックする工程が欠かせません。生成AIは文章を自然につなげることは得意ですが、学術論文で求められる厳密さまでは保証できません。特に数値や固有名詞、引用情報に誤りがあると、研究の信頼性そのものが損なわれます。
ここでは、論文として提出する前に重点的に確認したいポイントを3つ解説します。
数値・固有名詞・出典を一次情報で照合する
ChatGPTの出力で最優先に確認すべきなのが、数値・固有名詞・出典情報です。生成AIは、過去の学習データをもとに「もっともらしい文章」を生成するため、数値や名称が正確である保証はありません。統計データの値、実験条件、法律や制度の名称、研究者名などは、わずかな誤りでも論文全体の信頼性に影響します。
そのため、ChatGPTが出力した数値や固有名詞は、必ず論文本文、公式統計、原著論文などの一次情報と照合する必要があります。特に「〇年時点」「最新のデータ」といった表現は、情報が古い可能性があるため注意が必要です。
参考文献リストの正確性を確認する
参考文献リストは、ChatGPTの出力の中でも特に慎重な確認が求められる部分です。ChatGPTは文献リストの形式を整えることはできますが、実在する文献かどうかを保証する機能は持っていません。そのため、存在しない論文や、著者名・掲載誌・発行年が誤った文献が混在することがあります。
論文に虚偽の文献が含まれると、研究倫理上の重大な問題となり、査読で即座に指摘される可能性があります。参考文献は、Google Scholarや学術データベースで一件ずつ検索し、実在性と書誌情報を必ず確認してください。ChatGPTはあくまで「形式確認」や「並び順調整」の補助として使い、文献の中身まで任せない姿勢を徹底しましょう。
引用スタイルに合わせて形式を整える
論文では、投稿先ごとに定められた引用スタイル(APA、MLA、Chicagoなど)を厳密に守る必要があります。ChatGPTは引用形式の例を提示したり、文中引用と参考文献リストの対応関係を確認したりする用途には有効です。しかし、投稿先の最新版ガイドラインを完全に反映できるとは限りません。
そのため、ChatGPTの出力をもとにしつつ、最終的には投稿規程やスタイルガイドと照らし合わせて人間が調整する必要があります。特に、著者名の表記順、イタリック指定、DOIの有無などは細かい指定が多いため注意が必要です。ChatGPTは形式的な正確さまで自動保証するツールではないことを理解した上で活用しましょう。
AI検知に誤判定されたときの対策はある?
近年、論文やレポートの提出時にAI検知ツールが使われる場面が増えています。しかし、これらのツールは万能ではなく、人間が書いた文章でも「AI生成」と誤判定されるケースが少なくありません。
ここでは、AI検知の基本的な考え方と、万一の誤判定に備える実務的な対策を解説します。
AI検知ツールの仕組みと検知対象
AI検知ツールは、文章がAIによって書かれたかを直接見抜いているわけではありません。実際には、語彙の使い方や文構造の規則性、文章の予測しやすさなどを分析し、「AIらしさ」が高いかどうかを確率的に判定しています。そのため、文法的に整い、表現が均一な文章ほどAI生成と誤判定されやすい傾向があります。
学術論文はもともと定型的な表現が多く、特に英文論文や理系分野では、人が書いていてもAI生成文に近い特徴を持ちやすい点が問題になります。さらに、英文校正や表現統一を行った後の文章も、検知ツールからは「不自然に整っている」と判断されることがあります。
誤判定を受けたときに備えて記録しておくべきもの
AI検知による誤判定に備えるためには、自分の執筆プロセスを説明できる記録を残しておくことが有効です。まず、下書き原稿や修正履歴、指導教員からのコメントを反映した過程などを保存しておくことで、文章が段階的に作成されたことを示せます。WordやGoogleドキュメントの変更履歴は、客観的な証拠として役立ちます。
また、ChatGPTを使った場合は、「どの工程で、どの目的で使ったか」を簡単にメモしておくと説明しやすくなります。アウトライン整理や英文校正など、補助的に利用した事実を整理しておきましょう。さらに、参考文献のPDFや出典URLを保存しておけば、内容が一次情報に基づいていることを示せます。
ChatGPTを論文に使うなら「補助ツール」として正しく付き合おう
ChatGPTは、論文の要約や構成整理、文章表現の改善などにおいて有効な補助ツールですが、使い方を誤ると研究倫理や投稿規程に抵触するおそれがあります。
論文に利用する際は、大学や学会が定める生成AIの利用方針を事前に確認し、内容の正確性や著者責任は必ず人間が負うという原則を忘れてはなりません。特に、数値や出典、参考文献、研究結果の解釈といった核心部分をAIに任せることは避け、ChatGPTは整理・推敲・形式確認など限定的な工程に活用すると安全です。
ChatGPTを正しく使えば、論文作成の質と効率を同時に高めることが可能です。ルールと役割を理解した上で、研究活動に無理なく取り入れていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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