• 作成日 : 2026年1月27日

ChatGPTの著作権はどうなる?商用利用や侵害リスクを解説

ChatGPTの利用が広がる一方で、ChatGPTの著作権はどう扱われるのか?商用利用は本当に安全なのか?と不安を抱える企業担当者も多いでしょう。

本記事では、ChatGPTと著作権の関係をわかりやすく整理し、著作権侵害となるケース、具体事例、罰則、そして企業としてとるべき対策を詳しく解説します。ソースコードや画像生成の関連論点も網羅し、実務に役立つ安全なAI活用のポイントをまとめます。

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ChatGPTに著作権は発生する?

ChatGPTの著作権の扱いは、AI生成物が著作物として認められるかどうかにかかわります。結論として、人間の創作的意図がなければ著作権は発生しにくいと考えられています。

生成コンテンツの著作権が発生しない理由

ChatGPTで生成されたコンテンツは、原則として日本の著作権法上の著作物とは認められにくく、著作権は発生しないと考えられています。

著作権法では、著作物を思想または感情を創作的に表現したものと定義しています(著作権法第2条第1項)。

現行の解釈では、人間の創作的意図や思想・感情が反映されていることが必要です。そのため、ChatGPTによる生成物は、人の創作意図と創作的寄与がない場合には、著作権が発生しません。

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入力内容の著作権の扱い

ChatGPTに入力した内容の著作権は、原則としてコンテンツの生成を指示した人間(AI利用者)にあります。

しかし、OpenAI社の規約では、入力されたデータは原則としてAIの性能向上のために利用される可能性があるとされています。企業が機密情報や、他社の著作物を許可なく入力した場合、情報漏洩のリスクや、著作権法上の問題が発生するおそれがあるため、入力する情報の取り扱いには細心の注意が必要です。

なお、ChatGPTの学習に入力したデータをAIの性能向上に使用することを望まない場合、手順に従って使用停止を要求できます。

ChatGPTは商用利用できるの?

ChatGPTの商用利用は、原則として可能といえるでしょう。

ChatGPTを提供するOpenAI社の利用規約では、ユーザーが入力したプロンプトと、それによって生成されたコンテンツの権利は、ユーザーに帰属すると定めています。したがって、ユーザーが生成した文章や画像などのコンテンツは、規約上、商用利用や再配布ができると考えられます。

ただし、これはあくまでAIサービス提供者の規約上の話であり、日本の著作権法に基づく著作権侵害のリスクがなくなるわけではありません。生成物が既存の著作物と酷似している場合など、意図せず著作権侵害を引き起こすおそれがあるため、注意が必要です。

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ChatGPT利用で著作権を侵害した場合の罰則は?

企業がChatGPTの利用を通じて著作権侵害を起こした場合、民事責任だけでなく刑事罰や企業活動への深刻な影響を受けるかもしれません。

損害賠償・差止請求など民事責任

著作権侵害が認められた場合、企業は民事上の責任を問われます。著作権者は、侵害によって受けた損害を企業に賠償請求したり(著作権法第114条)、侵害行為の停止や、侵害物を廃棄することなどを企業に求めたりすることができます(著作権法第112条)。これらの民事上の措置は、企業の経済的な負担となるだけでなく、法的な対応に多くのリソースを割くことになります。

著作権法違反の罰則などの刑事罰

悪質な著作権侵害の場合、刑事罰が科される可能性もあります。著作権法では、著作権侵害に対して10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があると定められています(著作権法第119条)。また、法人の業務として侵害行為が行われた場合は、法人に対して3億円以下の罰金が科される両罰規定が適用されるかもしれません(著作権法第124条)。

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ChatGPTの著作権侵害に当たるケースは?

ChatGPTの著作権侵害は、利用方法や生成される内容によって発生するおそれがあります。具体的な侵害事例や、その可能性のあるケースを把握することが重要です。

小説・記事

小説や記事など、表現に創作性の高いものが生成される際や特定の情報源に偏った内容が生成される際に、学習データに含まれる既存の著作物と酷似した表現をアウトプットすることがあります。ユーザーが意図しなくても、AIの学習データの影響で、たまたま既存の著作物と似た内容が生成されてしまうことは否定できません。

生成された文章が、既存の著作物と表現形式において同一、あるいは実質的に同一と認められた場合、著作権侵害となるおそれがあります。ChatGPTで小説を生成し販売する際には、とくに注意が必要です。

ソースコード生成

ChatGPTでソースコードを生成する場合も、著作権侵害のリスクがあります。

ソースコードは、それ自体が著作物として保護の対象となりえます。ChatGPTが生成したコードが、特定の著作権で保護されたコードと酷似していた場合、ライセンス違反や著作権侵害となるかもしれません。生成されたコードの利用には、ライセンスや類似性の確認が欠かせません。

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画像生成

ChatGPTによる画像生成でも、著作権リスクは存在します。画像生成AIは、大量の既存の画像を学習しているため、特定の画風や構図、あるいは既存のキャラクターに似た画像を生成してしまうおそれがあります。商用目的で画像生成AIを利用する場合は、生成された画像が既存の作品やキャラクターを模倣していないか、徹底したチェックが必要になります。

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 ChatGPTで著作権侵害になる事例

ChatGPTの著作権侵害については、国内外で訴訟やトラブルがすでに発生しています。これらの事例をふまえて、どのようなリスクがあるのかを把握しましょう。

GitHub Copilotのソースコード無断使用

ソースコードの生成支援AIであるGitHub Copilotでも、著作権に関する問題が提起されています。

GitHub Copilotが生成したソースコードが、オープンソースライセンスに基づいて公開されていた既存のコードと酷似しており、ライセンスの表示義務などを守らずに利用されたという指摘がありました。ソースコードの生成AIは、既存の著作物であるコードを不適切に学習している場合があります。この場合、ライセンス条件を無視して利用すると、著作権侵害となるおそれがあるのです。

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ChatGPTの学習データと著作権の関係は?

ChatGPTの学習データと著作権の関係は、AI利用者が著作権侵害のリスクを理解するために、最も重要な論点の一つです。

著作物を学習することの法的位置づけ

日本の著作権法では、AI開発のための著作物の利用について、一定の配慮がなされています。

著作権法第30条の4では、情報解析などの目的であれば、著作権者の利益を不当に害しない限り、著作物を許諾なく利用できると定められています。これにより、AIが著作物を学習すること自体は、原則として適法であると解釈されています。

ただし、この規定はAIの学習段階での話であり、学習した結果として生成されたアウトプットを公衆に提供し、それが既存の著作物を複製・翻案していると認められた場合は、別途、著作権侵害の問題が発生します。

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企業利用に影響する場面

学習データに含まれる著作物の影響は、企業が生成物を商用利用する際に、法的リスクにつながる可能性があります。AIが学習データに含まれる特定のデザイン要素や表現を再現してしまい、その生成物を企業が広告や商品に使ってしまった場合、元の著作権者から権利侵害を指摘されるかもしれません。

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 ChatGPTで著作権の侵害にならないための対策は?

ChatGPTの著作権侵害を未然に防ぎ、安全に活用するためには、企業として具体的な対策を講じる必要があります。

著作権侵害を回避するプロンプト設計

プロンプトを工夫することで、著作権侵害のリスクを低減できるかもしれません。

たとえば、特定の著名な作品名やキャラクター名をプロンプトに入れないといった基本的なルールにくわえて、「独自のアイデアで、既存の作品とは全く異なる文章を作成してください」といった指示をプロンプトに加えることで、既存の著作物への依存を避けることにつながるでしょう。このプロンプト設計は、著作権回避の具体的な手段として有効です。

入力しないほうがよい情報の整理

企業がChatGPTを利用する際、入力しないほうがよい情報を明確にすることが、著作権リスクと情報漏洩リスクの低減につながります。

  • 機密情報
    顧客データ、未公開の事業戦略、社内でのみ共有されているソースコードなど
  • 著作権保護が明確な情報
    著作権が切れていない小説や論文の全文など

これらの情報を入力しない、あるいは入力する場合は匿名化を徹底するなど、社内での入力ポリシーを定める必要があります。

AI生成物に対して人間が編集・監修を行う

AI生成物をそのまま利用するのではなく、人間が編集・監修を行うことが、著作権リスクを減らす上で非常に重要です。

人間の手で大幅に修正したり、独自のアイデアや表現を加えたりすることで、そのコンテンツに人間の創作性が加わり、著作物性が認められる可能性が高まります。また、人間の目を通すことで、既存の著作物との類似点を発見し、トラブルを未然に防ぐことにつながるでしょう。商用利用時の最終責任は利用した企業にあるという認識を持つことが大切です。

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ChatGPTを企業で利用する時の注意点

ChatGPTの著作権について正しく理解し、安全に利用することは、企業の信頼性と事業の継続性を保つ上で欠かせません。安全なChatGPTの利用は、単なるITツールの活用ではなく、企業としてのコンプライアンスとガバナンスが問われる領域です。

以下のように社内ルールを整備することは、企業が著作権リスクから身を守る防波堤となります。

利用ポリシーの策定

利用可能な部門、利用目的、機密情報、著作権付きデータなど入力してはいけない情報を明確にした利用ポリシーを作成しましょう。

従業員への教育

個人利用を含め、従業員全員に対して、著作権の基本とAI利用のルールに関する教育を継続的に実施することが求められます。

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法改正や訴訟動向を確認する

AIと著作権に関する法制度や判例は、技術の進化に合わせて変化していく可能性があります。

たとえば、著作権侵害訴訟の最新動向や、政府によるAI利用ガイドラインの更新などは、企業のAI活用戦略に直結する情報です。法務部門や知財担当者が中心となり、これらの動向を継続的にウォッチし、社内ルールや利用方法を見直していくことが重要になるでしょう。

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ChatGPTの著作権を正しく理解し利用しよう

ChatGPTの著作権は、商用利用の可否、著作権侵害となるリスク、そして学習データの扱いなど、さまざまな側面から検討が必要なテーマです。

生成されたコンテンツは著作物ではないと解釈されやすい一方で、既存の著作物との類似性があれば、利用した企業が著作権侵害の責任を問われることになります。

企業がChatGPTのメリットを享受し、法的リスクを回避するためには、入力と出力のルールを厳格化し、人間によるチェックを欠かさないことが大切です。常に最新の法的な動向をふまえ、安全なAIガバナンスを構築することが、企業の信頼を守り、健全な事業活動につながるでしょう。

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