• 作成日 : 2025年11月25日

ChatGPTに学習させない(オプトアウト)ための設定方法とは

ChatGPTに学習させないためには、「モデル改善(学習)をオフにする」設定を利用者側で切り替える必要があります。「履歴の非表示(チャット履歴を保存しない設定)」だけでは、モデル改善(学習)への利用を停止することにはならないため、正しい設定手順を理解することが重要です。

当記事では、ChatGPTで学習させない方法をWeb版・アプリ版ごとに解説し、履歴削除との違いやビジネス向けプランのデータ方針について説明します。

ChatGPTで「学習させない」を実現する前に押さえておくこと

ChatGPTで学習させない設定を行うには、「履歴の保存」と「モデル改善(学習)」が別の仕組みで動いていることを理解する必要があります。両者を混同すると、意図しないデータ利用につながる可能性があります。まずは、それぞれの機能が何を意味しているのかを整理しましょう。

「履歴」と「モデル改善(学習)」の違い

履歴はあくまで「画面上で会話を表示・保存するかどうか」を管理する機能であり、チャット内容がモデル改善に使われるかとは別設定です。履歴を削除しても、モデル改善がオンのままであれば入力内容が学習に利用される可能性は残るため、履歴設定だけでは安心できません。

一方、モデル改善(学習)の設定は「AIの改善に会話内容を使うかどうか」を制御します。個人アカウントの場合、この設定は初期状態でオンになっているため、学習させたくないユーザーは意識して設定画面からオフにする必要があります。履歴は「会話の表示・保存の管理」、モデル改善は「データを学習に利用するかどうかの管理」という違いを理解しておきましょう。

個人利用とビジネス向けの初期設定の違い

個人アカウント(Free・Plus・Pro)では、モデル改善が初期設定でオンになっています。つまり、設定を変更しない限り、入力した情報はAIの品質向上に利用される可能性があります。履歴を削除しても学習利用が止まらないのはこのためであり、個人ユーザーは自分でオプトアウト設定を行う必要があります。

これに対し、ChatGPT TeamとChatGPT Enterpriseでは、OpenAIが最初から「モデル改善にデータを使用しない」という方針で運用しています。ビジネス向けプランでは入力データが学習に使われないだけでなく、データの扱いについての企業向けポリシーや暗号化などのセキュリティも強化されています。

学習停止と履歴削除の違い

学習停止(モデル改善オフ)は「会話内容をモデル改善に使わせない」ための設定であり、履歴を削除することは「チャットの表示・保存をユーザーの画面上の一覧に残さない」設定です。役割が異なるため、どちらか片方だけを変更しても、ChatGPTに学習させない状態が完全に成立するわけではありません。

学習停止を行えば、利用者の会話内容はモデルの改善目的で利用されなくなり、機密情報を扱う場合でも安心して利用できます。一方、表示履歴の削除は、画面上に会話を残したくない場合に便利ですが、データの学習利用には影響しません。

したがって、学習させない運用を徹底したい場合は、モデル改善オフ設定を利用することが求められます。

個人アカウントでモデル改善(学習)をオフにする設定手順

ChatGPTに学習させない状態を作るためには、個人アカウントでモデル改善の設定を明確にオフへ切り替える必要があります。設定は難しくなく、Web版・iOS版・Android版のどれも数ステップで完了しますが、画面構成が異なるため、それぞれの操作手順を理解しておくことが大切です。

Web版でモデル改善をオフにする手順

Webブラウザから利用している場合、プロフィールアイコンをクリックして「設定」→「データコントロール」から変更できます。まず、プロフィールアイコンをクリックすると「設定」という項目が表示されるため、このメニューを開きます。設定画面の「Data Controls(データコントロール)」内に「Improve the model for everyone」(日本語表記では「すべての人のためにモデルを改善する」等)というスイッチがあります。このスイッチをオフにすると、以後入力する情報はモデルの改良に使われなくなります。

設定変更は即時反映されるため、ログアウトや再読み込みの必要はありません。また、この選択はユーザーごとに保持されるため、同じアカウントで別のブラウザにログインしても、設定は引き継がれた状態で利用できます。

iOS版でモデル改善をオフにする手順

iPhoneなどiOS端末でChatGPTアプリを利用している場合は、アプリ左上のメニューからアカウント名をタップして設定を開きます。設定メニューには「データコントロール」という項目があり、その中に「すべての人のためにモデルを改善する」のスイッチが配置されています。このスイッチをオフにするだけで、学習オフの状態がアプリ全体に適用されます。

iOS版はアプリによって画面構成が少し変わることがありますが、「設定 → データコントロール → モデル改善」の流れは共通しています。また、一度オフにすればアプリを閉じたりアップデートしたりしても設定は保持されるため、毎回操作する必要はありません。

Android版でモデル改善をオフにする手順

Android版アプリでも操作の流れはiOS版とほぼ同じで、アプリ内の「設定」からデータ管理を開き、モデル改善のスイッチをオフにします。

Android端末では、メーカーによって表示位置が多少異なる場合がありますが、「アカウント設定 → データ管理 → モデル改善」という構造自体は共通しており、迷うことはほとんどありません。

履歴を削除する手順

履歴を削除する操作は非常に簡単で、Web版・アプリ版のどちらでもアカウント設定から切り替えるだけで完了します。

個別の履歴を削除したい場合は、そのチャットをマウスオーバーもしくはタップすることで表示されるチャットのメニューから「削除する」を選べばOKです。

履歴をすべて削除する方法は、まずアカウントメニューから「設定」を開き、「データ コントロール」にアクセスするところから始まります。その中に「すべてのチャットを削除する」という内容のスイッチがあり、選択すれば現在の履歴がまとめて削除されます。

Web版でもモバイルアプリでも設定の名称はほぼ共通しており、大きな画面差異はありません。

履歴を削除するときの制約

履歴を削除すると記録が残らないため、後で会話内容を振り返ったり、再利用したりできないという明確な制約があります。履歴を削除した場合は、過去の会話も引き継がれません。複数のチャットを並行して進めたい場合や、以前の回答を参考にしながら作業を進めたい場合には不向きです。

ビジネス向けプランのデータ方針

ChatGPTのビジネス向けプランでは、個人向けと違い「入力データをモデル改善に使わない」という方針が初期状態から適用されています。特にChatGPT TeamとChatGPT Enterpriseは、いずれも学習利用を前提としない設計になっているため、企業利用における情報管理の安心感が大きく、高い安全性を求めるユーザーに適したプランです。まずは、それぞれの特徴を理解しておくと、自社に合った選択がしやすくなります。

ChatGPT Teamのデータ取り扱い

ChatGPT Teamは、部署単位や小規模組織が利用することを想定したプランで、ユーザーの入力内容がモデル改善に使われることはありません。個人アカウントの場合は自分でオプトアウト設定を変更する必要がありますが、Teamでは最初から学習への利用がオフになっており、追加の操作を行う必要はありません。

会話データは暗号化されており、チームやEnterpriseプランではデータがモデル改善に使用されないなど、機密性を高める設計となっています。手軽に導入しながらもデータ保護をしっかり確保できることから、社内でChatGPTを試験導入したい組織にも向いています。

ChatGPT Enterpriseのデータ取り扱い

ChatGPT Enterpriseは、より高度なセキュリティ基準が求められる大企業向けに設計されたプランで、Teamと同様にユーザーの入力データをモデル改善に使用しないポリシーを採用しています。通信時や保存時には強固な暗号化が施され、管理者が利用状況を把握できるダッシュボードやアクセス権限の細かな設定など、大規模運用に必要な統制機能も充実しています。

また、情報が外部に学習目的で利用されないという前提が徹底されているため、研究データや機密情報を扱う企業でも安心して利用できます。企業全体のセキュリティポリシーに合わせて統制を強めたい場合にも、Enterpriseは最適な選択肢となります。

ChatGPTに学習させたくないときによくある質問(FAQ)

ChatGPTに入力した内容を学習に利用させたくない場合、履歴設定やモデル改善のオフなど、いくつか誤解されやすいポイントがあります。ここでは、ユーザーが特に気になりやすい質問をまとめ、利用前に知っておくべきポイントを整理します。

履歴を削除すれば学習も止まる?

履歴を削除しても学習が止まるわけではありません。データがモデル改善に使われるかどうかとは無関係です。削除しても、会話内容が内部的に保持される場合があり、学習設定がオンのままであれば入力内容がモデル改善に利用される可能性があります。

そのため、ChatGPTで学習させない状態を確実に実現したい場合は、必ず「モデル改善(学習)」のスイッチをオフにする必要があります。履歴はあくまで可視性の設定であるのに対し、学習はAIの振る舞いに影響する内部処理の設定であるため、両者の違いを理解した上で使い分けることが重要です。

学習オフ後の過去会話データの扱いはどうなる?

学習オフに切り替えた後は、その時点から先の会話がモデル改善に使われなくなりますが、切り替え前に行った会話が学習対象から削除されるわけではありません。モデル改善の設定は「今後の会話に適用される仕組み」であり、過去会話については設定変更とは独立して扱われます。

ただし、過去の学習利用がどのように反映されるかは、利用しているプランによって異なります。個人向けアカウントの場合、学習がオンの状態で行った会話は原則として改善データに含まれる可能性があります。一方、TeamやEnterpriseのようなビジネス向けプランは、そもそもデータを学習に利用しない運用ポリシーであるため、過去・未来に関わらず入力がモデル改善に使われることはありません。

ビジネス向けは本当に学習に使われない?

ChatGPT TeamとChatGPT Enterpriseのデータは、OpenAIがモデル改善に利用しない方針が公式に明確化されています。ビジネス向けプランでは、企業の情報管理基準に合わせてデータを扱うことを前提としており、個人向けプランとは設計思想が異なります。

Teamでは、入力内容がモデル改善に使われないだけでなく、会話データは暗号化された状態でチーム内に限定して管理されます。Enterpriseではさらに高度なガバナンス機能が提供され、アクセス権限や利用ログの管理が強化されるため、組織全体での統制が取りやすくなっています。これらの特徴により、ビジネス向けプランでは「学習に使われない」という点が仕組みとして担保されているため、機密情報を扱う企業でも安心して利用できる環境が整っています。

学習オフが見つからないときはどうすればよい?

学習オフの設定が見つからない場合は、アプリのバージョンや利用中のプランを確認しましょう。個人アカウントの場合、Web版・iOS版・Android版のいずれでも「設定 → データコントロール」の中にモデル改善のスイッチがありますが、アプリが古いと表示されないことがあります。この場合はアプリのアップデートを行うことで解決するケースがほとんどです。

また、TeamやEnterpriseを利用している場合は、そもそも学習利用を行わない仕様になっているため、モデル改善のスイッチ自体が表示されないことがあります。これは仕様によるものであり、設定が存在しないことは異常ではありません。どのプランを利用しているか分からないときは、アカウント情報または管理者設定を確認すると正確に把握できます。

機密情報を扱うときなどはChatGPTに学習させないことも選択肢の1つ

業務で機密情報を扱う場合は、モデル改善の設定をオフにすることで、入力内容を学習に利用させない運用が可能です。履歴削除とモデル改善設定の違いや、ビジネス向けプランのデータ方針を理解しておくと、個人利用でも企業利用でも安全性を確保しながらChatGPTを活用できます。


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