- 作成日 : 2025年11月13日
Geminiをコマンドライン(CLI)で使うには?インストールから使い方まで解説
Googleの高性能AI「Gemini」は、Webサイトだけでなく、コマンドラインインターフェース(CLI:アイコンなどのグラフィカルな要素や、カーソルによるポインティング操作に頼らず、キーボードでテキストコマンドを入力することでPCを直接操作する方法)を通じて、より専門的かつ効率的に利用することが可能です。CLIを使うことで、日々の開発作業や定型業務を自動化し、生産性を大きく向上させることができます。
この記事では、GeminiをCLIで利用する方法について、インストールの手順から、基本的なコマンド、そしてVSCodeでの活用法まで、2025年10月現在の最新情報をもとに分かりやすく解説します。
目次
そもそもGemini CLIとは何か?
Gemini CLIとは、ターミナルやコマンドプロンプトといったCUI(キャラクターユーザーインターフェース:キーボードで文字を入力して操作する画面)環境から、Googleの生成AIモデル「Gemini」と対話するための公式ツールです。
Webサイトでチャットするのとは異なり、CLIではコマンドを使ってAIを操作します。これにより、ローカルにあるファイルを直接AIに読み込ませて分析させたり、一連の作業をスクリプトとして自動化したりと、開発者やIT技術者向けの高度な使い方が可能になります。このツールはオープンソース(Apache-2.0)として提供されており、個人のGoogleアカウントを使えば無料枠で利用を開始できます。ただし、無料枠には制限(例:60リクエスト/分、1,000リクエスト/日)があります。また、無料枠を超えて多量にAPIを利用する際には料金体系が適用されます。
Gemini CLIの始め方(インストールと初期設定)
Gemini CLIを使い始めるには、いくつかの前提ソフトウェアのインストールと、Googleアカウントでの認証が必要です。
STEP1:Node.jsのインストール
Gemini CLIは、Node.jsというプログラムの実行環境上で動作します。まだPCにインストールしていない場合は、公式サイトから「LTS(推奨版)」をダウンロードして、インストールを完了させてください。
- Windowsの場合:ダウンロードした.msiファイルを実行します。
- Macの場合:ダウンロードした.pkgファイルを実行します。
STEP2:Gemini CLIのインストール
Node.jsの準備ができたら、ターミナル(Windowsの場合はコマンドプロンプトまたはPowerShell)を開き、以下のコマンドを一行入力して実行します。
npm install -g @google/gemini-cli
これにより、Gemini CLI本体がPCにインストールされます。もし、インストール先のディレクトリに権限がないといったエラー(EACCESなど)が返された場合は、npmのグローバルインストール先をユーザーが書き込めるホームディレクトリ内に変更することで解決できます。その際は、AIなどに質問してターミナルでの保存先変更手順を確認してください。
STEP3:初回設定と認証
インストール後、ターミナルで以下のコマンドを実行してGemini CLIを起動します。
初回起動時には、見た目のテーマ(Color Theme)を選択した後、Googleアカウントでの認証を求められます。ブラウザが自動で開くので、画面の指示に従ってログインとアクセス許可を行ってください。認証が完了すると、プロンプト(>>)が表示され、利用できる状態になります。
Gemini CLIの基本的な使い方とコマンドは?
Gemini CLIには、AIとチャットのように会話する「対話モード」と、単発の指示を実行する「非対話モード」があります。
対話モードでの使い方
ターミナルでgeminiと入力して起動するのが、この対話モードです。プロンプト(>>)に続けて、自然な日本語で質問や指示を入力します。
- ローカルファイルの参照:@記号に続けてファイル名やディレクトリ名を入力すると、その内容をAIが文脈として読み込みます。
- 入力例: >> @./src/main.js このコードの問題点を指摘してください。
- 会話の終了: /quit または /exit と入力します。
非対話モードでの使い方
シェルスクリプトに組み込んだり、他のコマンドと結果を連携させたりする際に便利です。
- コマンド例:
gemini “日本の首都について、300字で解説してください。” - パイプを使った連携:
cat report.txt | gemini “この文章を要約して”
このように、geminiコマンドに続けて直接指示を渡すことで、単発のタスクを実行できます。
Gemini CLIで何ができるか?
CLIならではの強みを活かすことで、Web版のGeminiでは難しい、様々な業務を効率化できます。
- コーディング支援:ローカルのソースコード全体を読み込ませた上で、バグの修正案を提示させたり、新しい機能を追加するコードを生成させたりできます。
- ドキュメント作成:プログラムのソースコードを基に、仕様書やREADMEファイルの下書きを自動で作成させることが可能です。
- コマンドライン操作の補助:「現在のディレクトリにある画像ファイルをすべてWebP形式に変換するコマンドを教えて」といった指示で、複雑なシェルコマンドを生成させることができます。
- 定型業務の自動化:毎日のログファイルを要約してレポートを作成する、といった一連の作業をスクリプト化し、完全に自動で実行させられます。
VSCodeでの活用方法は?
VSCode(Visual Studio Code)に内蔵されている統合ターミナル(VS Code内でコマンド実行画面を起動できるシステム)で、geminiコマンドを直接実行できます。 これにより、コーディング作業とAIへの指示を、ウィンドウを切り替えることなくシームレスに行うことが可能です。
例えば、VSCodeでコードを編集しながら、すぐ下の統合ターミナルでGemini CLIを起動し、「今書いているこの関数のテストコードを作って」とファイル名を指定して指示する、といった効率的な開発フローが実現します。Google Cloud関連の拡張機能を導入しておくと、アカウントの切り替えなどもスムーズに行えます。
Gemini CLIで開発・運用作業を効率化する
本記事では、Gemini CLIについて、そのインストール方法から基本的な使い方、そして具体的な活用事例までを解説しました。
Webのチャット画面とは異なり、Gemini CLIはターミナルという専門的な環境にAIの力を直接もたらしてくれるツールです。ローカルファイルとの連携や、他のコマンドとの組み合わせによって、これまで手作業で行っていた多くの定型業務を自動化する大きな可能性を秘めています。
まずはご自身のPCにインストールし、簡単なコマンドからその力を体験してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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