給与計算システムと会計ソフト、連携に優れた組み合わせは?

作成日:2024年6月10日

会計ソフトと給与計算システムを連携させるメリット

会計ソフトと給与計算システムをデータ連携させて利用すると、次のようなメリットがあります。

業務効率化
会計ソフト側で手入力による給与仕訳を入力する必要がなくなり、作業時間短縮と人為ミスの削減が期待できます。

タイムリーな情報把握
いつも最新の給与データを反映した会計情報を得ることができ、経営判断に役立つタイムリーな情報把握が可能となります。

データ分析の容易性
財務情報を分析する場合、人件費に係わる部分の分析が容易になります。

ただし、給与データには機密性が高い個人情報も含まれているため、アクセス権限の厳格な管理などを行ったうえ、業務上必要な給与データのみを連携対象とするようにしましょう。

給与計算システムの基本的な機能

①給与・賞与計算機能

給与計算システムの最も基本的な機能として、給与および賞与の計算機能があります。一般に、会社の給与支給ルールに対応できるように設定可能であり、源泉徴収、社会保険などの各種法令等に対応しています。

さらに時間外手当等の各支給額および控除額の計算機能があり、最終的には給与計算結果から銀行への振込データを作成します。

給与・賞与の計算機能はどの給与計算システムにもありますが、以下の機能についてはすべてのシステムにあるとは限りません。

②給与明細作成機能

従業員等へ配付する給与明細も、給与計算システムから作成されるケースが多いです。給与や賞与明細も最近ではWebによる明細の配信が増えているため、給与明細作成業務においてはペーパーレス化、リモートワークへの対応は進んでいると言えるでしょう。

社内においてもメール連絡が一般的となってきているため、システム内で作成した給与明細をクラウド上で一元管理し、従業員が個々に閲覧できる機能は必須であるとも言えます。

③前月比較機能

給与計算システムは、当月と前月の給与計算結果を比較する「前月比較機能」があるものが多いです。当月の給与計算結果を前月の結果と比較すると、当月の変更箇所を差分として確認できるため入力ミスを素早く発見でき、データの正確性が高まります。

確認作業の効率化という意味においてだけでなく、給与計算ロジックの検証や従業員への説明資料としても活用できるでしょう。

前月比較機能は、「どの項目に変更があるとどこに変動が生じるか」が一目で分かるため、業務の正確性と効率性を向上させる機能であると言えます。

④他システムとの連携機能

給与計算システムには、勤怠管理システムや会計ソフトなどとのデータ連携機能が搭載されています。この他システム連携機能は、データインポートおよびエクスポート機能として搭載されるものが多いです。

例えば、勤怠管理システムからのデータは給与計算システムの重要なインプットとなって、勤怠情報を自動で取得して給与計算を可能にします。また、給与計算システムが経費精算システムと連携することで給与支給時に経費精算もまとめることが可能です。

さらに、会計ソフトとの連携により、給与や賞与、社会保険料、源泉税などの会計仕訳が登録可能になり、費用項目で重要な位置を占める「人件費」「労務費」の要素が作成されます。

連携の方法としては、CSVデータによる連携のほか、APIを利用した連携があります。各システムにおいては、「どのデータまで連携したか」の確認が可能です。

会計ソフトの基本的な機能

①仕訳入力機能

会計取引を記録するにあたって最もベーシックな機能である仕訳入力機能は、各取引の仕訳を入力し、各会計帳簿に反映させるものです。会計ソフトにおいて、会計仕訳は会社のすべての経済活動を体系的に記録する基本単位として、「複式簿記」にて取引が正確かつ網羅的に帳簿に反映されます。
また、仕訳は財務諸表作成の根幹となります。仕訳を元に各種帳簿が作成され、「損益計算書」「貸借対照表」等の財務諸表が生成されます。

クラウド上で運用する会計ソフトでは、仕訳ルールを設定することでシステムが自動的に仕訳を生成する「自動仕訳機能」が搭載されていることが多く、業務効率化の一端を担う機能と言えるでしょう。

さらには近年の会計ソフトは、仕訳入力における消費税対応も手厚くなっています。

②会計帳簿管理機能

会計ソフトには仕訳入力結果である「仕訳帳」を始め、「総勘定元帳」「補助元帳」などの各帳簿を自動的に作成し、取引の記録と管理を行う機能が搭載されています。

仕訳が入力されると、自動的に仕訳帳、総勘定元帳、試算表等の各帳簿の作成が可能です。つまり、基本的に仕訳の形式で入力されると最終的な帳簿まで反映される結果となります。
電子帳簿保存法第4条には、次のようにあります。

国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、一定の要件の下で、その電磁的記録の備付け及び保存をもってその帳簿の備付け及び保存に代えることができる

引用:電子帳簿保存法の概要|国税庁
参考:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律|e-Gov

上記青太字部分は、一定要件を満たす会計ソフトで作成している帳簿のことを指します。会計ソフトに会計帳簿保存機能があることで、電子帳簿保存が可能となり、ペーパーレスを実現でき、経理業務の効率化につながるでしょう。

③財務諸表作成機能

会計ソフトには、会計帳簿だけでなく、申告を含む外部に提出する帳票を作成する機能が搭載されています。
具体的には、「損益計算書」「貸借対照表」「株主資本等変動計算書」「個別注記表」等の主要な財務諸表を作成する機能のことであり、決算書として会社の財務状況や業績把握するためになくてはならない機能です。

④レポート作成機能

会計ソフトには経理業務支援のための、各種レポート作成機能が搭載されていることがよくあります。
例えば、資金繰り管理支援を狙ったキャッシュフローレポート、収益を分析するための収益関連のレポート、原価や費用を分析するための費用関連のレポートなど、各会計ソフトの特長がよくあらわれる部分でもあるでしょう。

あらかじめ準備されたレポート機能については、社内でどう利用するかを検討することにより、データ分析や経営戦略立案に役立ちます。

マネーフォワードクラウド会計とクラウド給与の連携で業務をラクに

給与計算をマネーフォワード クラウド給与で行い、会計ソフトにマネーフォワード クラウド会計と連携させる手順をまとめると次のようになります。

  • クラウド給与側の給与計算にて、「確定処理」をすると給与データが作成されます。
  • クラウド会計側の「給与から入力」画面にて、仕訳候補を確認して仕訳として登録します。

このように同じマネーフォワード クラウド内におけるオペレーションだと、自動的に仕訳作成まで行われるため、手順は非常にシンプルになります。

後日人件費の増減分析などをする場合には、会計側では難しいため給与計算側での分析が必要です。月次決算等において、差異分析をどのような場合にどこまで実施するのかは社内で決めておきましょう。

参考:
マネーフォワード クラウド会計を利用しているのですが、マネーフォワード クラウド給与と連携はできますか?| マネーフォワード クラウド給与サポート
「マネーフォワード クラウド会計連携」機能の使い方|マネーフォワード クラウド給与サポート
「給与から入力」の使い方|マネーフォワード クラウド会計サポート