• 更新日 : 2020年6月10日

使途秘匿金とは

使途秘匿金とは、法人が金銭を支出したにも関わらず、相当の理由がなく、帳簿書類にその相手方の氏名または名称、住所または所在地ならびにその支出事由を記載していないものをいう。なお、金銭の支出には贈与や供与以外に資産の引渡しも含まれるとされる。ただしサービスの提供は含まれない。

使途秘匿金の支出に対する課税の特例制度

使途秘匿金は税法上、違法・不当支出につながり、公正な取引を阻害する要因ともなるため、平成6年度の税制改正から使途秘匿金の支出額に対して法人税を追加課税する「使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例」が創設された。
使途秘匿金の支出があった場合、全額を損金不算入となるだけでなく、その使途秘匿金の支出額に対して40%の追加課税が行われる。さらに法人住民税にも課税されるため、ほぼ100%に近い実効税率となる。

使途秘匿金の追加課税が行われない場合

法人の帳簿書類に相手方の氏名等の記載がない場合は使途秘匿金として追加課税が行われるが、帳簿書類に相手方の氏名がなくとも、次のものは使途秘匿金には含まれない。

(1)不特定多数への広告宣伝用物品の贈答や小口の謝金、災害による帳簿書類の紛失など、相当の理由がある場合
(2)資産の譲受けや取引の対価の支払いとして支出されたことが明らかである場合
(3)税務署長が相手方を秘匿するためではないと認めた場合

使途秘匿金と使途不明金

使途秘匿金と同様、法人が交際費・機密費・接待費等の名義をもって支出した金銭であり、支出額や支払先は分かっているものの、その費途が法人の事業と関係があるか否かの判断ができないものを使途不明金と呼んで使途秘匿金と区別する。税法上どちらも損金算入できない点は同じだが、使途秘匿金は思い税負担を課せられる点に違いがある。さらに支出の処理を他の科目に仮装して行ったような場合は重加算税の対象となり、さらに税負担は重くなる。


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