僕ら世代の改革で、伝統産業はもっと面白くなる。マネーフォワードで経営力を上げた南部鉄器職人

タヤマスタジオ株式会社 代表取締役 田山 貴紘 さま
業種:南部鉄器の製造販売、飲食事業 |従業員:9名(2020年1月現在)|
ご利用中のサービス:マネーフォワード クラウド会計給与経費勤怠
東京のサラリーマンをやめて南部鉄器職人へ

東京のサラリーマンをやめて南部鉄器職人へ

約400年の歴史がある岩手県盛岡市の伝統工芸「南部鉄器」。東京でサラリーマン生活を送っていた僕は今、地元盛岡で南部鉄器職人をしています。都内食品メーカーの営業をしていた20代の頃は、まさか故郷に戻ると思ってもいませんでした。でも、30歳を前に東日本大震災を経験し、生まれ育った東北に貢献する仕事をしたいと考えるようになったんです。

そのときに頭に浮かんだのが南部鉄器職人である父の姿。営業という職業病、「南部鉄器の価値は世の中にもっと認知される可能性を秘めているのになぁ」と考えて、これを仕事にすると面白いぞと。そして30歳で地元に戻り、父に弟子入り。翌年には職人修行と並行して、南部鉄器の製造販売を手掛ける会社を1人で立ち上げました。

課題が山積する伝統産業が“変わるべきもの”

課題が山積する伝統産業が“変わるべきもの”

いまや自分事ではありますが、南部鉄器をはじめ日本の伝統工芸には課題が山積しています。国内生産額はこの30年で約1/5まで落ち込み、後継者不足にも悩んでいます。伝統工芸の技術と文化を“守りたい”なら、僕ら世代が“変わるべきもの”を見極め変えていかなければならない。その“変わるべきもの”のひとつが経営だと思います。ものづくりだけでなく非効率な業務を改善し、経営を見直す必要があるのです。

そもそも南部鉄器づくりは労働集約型産業。単純に売上をアップするには、製造にかける時間を確保し生産量を増やさないといけません。僕たちの場合、職人1人が鉄瓶1個を作るのに約2日かかります。鉄瓶の単価は10万円から100万円ほどです。

つまり、毎月の事務作業に2、3日取られるだけでも大きな売上のロスになります。でもITツールを使って業務フローを刷新すれば、このロスをなくせるかもしれません。こういった工夫ひとつで生産量や売上、経営力を上げられます。

マネーフォワードは「事務職員を1人雇っているみたい」

マネーフォワードは「事務職員を1人雇っているみたい」

そんな僕自身、職人・経営・事務の一人三役での会社経営はやっぱり大変でした。経理はとにかく面倒で……。当時は別の会計ソフトを使っていましたが、まさに1ヶ月のうち数日を経理処理に費やしていました。帳票を並べて、ソフトに伝票を入力して、本を参考にそれっぽく仕訳を登録しても、間違えてやり直しての繰り返しです(笑)。この作業を効率化できれば鉄瓶をもうひとつ作れるのに……。

3期目が終わる2016年末。いよいよ従業員を雇うことになったタイミングで、この事務環境を改善しようと会計ソフトを入れ替えました。会計事務所に紹介されたマネーフォワード クラウド会計を使い始めることになったんですけど、初めてでも直感的に使えましたね。とくに気に入ったのは自動仕訳ルールで、一度勘定科目を設定すれば次から同様の収支は自動で仕訳を提案してくれるので時短につながりました。

ほかにもマネーフォワード クラウド給与勤怠を使っていることで、今では9名いる従業員の月給の確認や計算が10分くらいで処理できるんですよ。事務職員を1人雇っているくらいのパフォーマンスをしてくれるので、時間や雇用のコストを考えても優秀ですね。

月額数千円で使えるサービスで、何十万円の鉄瓶を作る時間が捻出できるわけですから、経営には大きなプラスとなりました。

僕ら世代の改革で、伝統産業はもっと面白くなる

僕ら世代の改革で、伝統産業はもっと面白くなる

僕たちは鉄器の製造のほか、中国をはじめとした海外への販売や、ショップを併設したカフェ経営も手掛けています。3つの事業の財務状況も、マネーフォワード クラウド会計で部門ごとに把握できるのはいいですよね。

また、キャッシュフローや収益、費用などを自動集計してくれるレポート機能を活用すると、管理会計の分析もできます。少数精鋭の組織ですから、短時間で労力をかけずこういったデータを見られるのは、経営方針を考える上でかなり役立っていますね。

伝統工芸産業も、代替わりで僕ら世代が経営者になってきています。まだ経営やバックオフィスを改革しようとしている組織は多くないですが、僕たちのような意識を業界全体に広げることで、伝統産業事業者の経営力は上がると思うんです。そうすれば新たに挑戦できることも多くなるし、ファンも増えていく。僕ら世代の改革次第でこの業界はもっと面白くなる気がしています。