りんごの生産量日本一を誇る青森県弘前市。そんなりんごの街も農家の後継者不足に悩み、将来の産業存続も危ぶまれています。弘前市のりんご農家は10年で半数がやめる――こんなことが囁かれるこの街の未来を変えたくて、りんご産業を発展的なビジネスにすべく新規事業を開拓しています。
私は、弘前市で100年以上続くりんご農園「もりやま園」の4代目。家族経営を続けてきた農園を継ぎ、事業の多角化のため2015年に法人化しました。現在はりんごの生産販売のほか、商品にならなかったりんごを使ったシードル醸造や、りんごの栽培過程を管理して生産効率を上げるITツール「Ad@m」の開発提供など、枠にとらわれない事業展開をしています。
ここまでの道のりは本当に大変でした。私は大学卒業後すぐに農園で働き始めて、会社勤めの経験もなく社長業を始めましたからね(笑)。2年目以降は従業員も取引先も増えて、バックオフィスにかける負担も大きくなってきました。特に苦労したのはシードル醸造事業に参入した時。工場や機械の設備投資でお金が目まぐるしく動いたんです。あの時にマネーフォワード クラウド会計を導入していなければ、財務状況を把握できない致命的な事態になっていたと思います。
当時は別の会計ソフトを利用していたんですが、いちいち通帳を見ながらソフトに数字を手入力しなきゃいけなかったんです。それが嫌で嫌で……。従業員が倍になり、毎月の支払いや代金の回収などでお金の出入りがひっきりなしになり、とてもじゃないですが入力が追いつかなくなったんです。入力できなければ、財務状況も把握できないという危機的な事態に陥ります。こんなんじゃ正しく経営判断ができない。
それで会計事務所もソフトも一気に切り替えようと決意し、いくつか試したうちのひとつがマネーフォワード クラウド会計でした。初めて操作した時の感想は、「おぉ、すごいな」。銀行口座とのデータ連携で手入力が激減し、うちみたいに複数の事業を展開していると部門ごとに売上や経費を紐づけられたり分析できたりするのは画期的だなと。レポート機能でキャッシュフローや収益なども自動でグラフ化され、これは便利だと思いました。財務状況をいつでもどこでも見られるのは経営の安心感につながっていますね。
助かっているのは経理、請求業務、労務管理など、バックオフィスをマネーフォワード クラウドでまるっと連携できることです。今では取引先が200社以上になり、毎月80通もの請求書を送付しています。繁忙期の農作業ではアルバイトを30名雇用し、月に40名以上に給与を支払い、毎月1,000万円前後のお金の出入りが発生する状況です。それがクラウド会計・給与・請求書などすべて連携しているおかげで、入力の手間が激減し、事務作業をスムーズに進められるようになりました。
マネーフォワード クラウドを導入した後に事務担当者を採用したんです。ずっと私がやっていた事務作業も、新しい担当者にたった1週間で引き継げました。バックオフィスは事務担当者とマネーフォワード クラウドに不安なく任せられる環境になったので、私は思いっきり社長業ができる。業務負担は体感7割くらい軽くなりました。羽が生えたような感覚でした。
私自身は、事業計画や資金繰り、PRなど、収益をより一層伸ばすための仕事に時間を充てられるようになりました。おかげさまで一気に生産性が向上し、売上も以前と比べて約2倍に伸びました。
次の目標はシードル醸造業を軌道に乗せること。どんどん出荷量を増やしたいので、他の農園からりんごを買い足さないといけないですね。弘前市のりんご農家をもっと巻き込んで、連携して、みんなでこの街のりんごづくりを成長産業に変える。そのゴールに向かって私たちは挑戦し続けます。