- 作成日 : 2025年6月30日
キッチンカーの電源はどう確保する?発電機の種類や電力不足の対策を解説
キッチンカー営業において、電源の確保は不可欠です。冷蔵庫、フライヤー、照明、換気扇など、多くの機器が電力を必要とします。本記事では、発電機の選び方や設置方法、持続時間の目安、代替手段、電源トラブルへの対策まで、キッチンカーの電源管理を徹底的に解説します。
目次
キッチンカーで電源を確保する方法
キッチンカーで電源を確保するには、大きく分けて2つの方法があります。ひとつはイベント会場や施設が提供する「外部電源」を使用する方法。もうひとつは、自前で「発電機」を用意して電力をまかなう方法です。
- 外部電源を使用する方法
- 発電機を使用する方法
外部電源が使える環境では、騒音や排気の問題がなく、燃料の補給や発電機の管理も不要なため、非常に便利です。ただし、使用できるアンペア数に制限がある場合や、申請が必要なケース、電源使用料が発生する可能性もあるため、事前確認が欠かせません。
一方で、外部電源がない場所での営業では、発電機などの機器が必要となります。必要な機器の消費電力に応じた容量の発電機を準備し、使用時間や燃料の残量、設置場所の安全性なども考慮した運用が求められます。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、出店場所や営業スタイルに合わせて選択することが大切です。
キッチンカーで使われる発電機の種類
キッチンカーに発電機を導入する場合、いくつかの種類があり、それぞれに特徴と適性があります。目的や出店環境に応じて最適なタイプを選びましょう。
主な発電機の種類
インバーター式発電機
インバーター式は、電圧が安定しており、冷蔵庫やレジなどの精密機器にも安心して使える発電機です。静音性が高く、住宅地やイベント会場など騒音に配慮が必要な場面にも適しています。
サイズもコンパクトで扱いやすいものが多く、初めてのキッチンカー営業にも向いています。価格はやや高めですが、使い勝手と安全性を重視するなら最適な選択です。
サイクロコンバーター式発電機
サイクロコンバーター式は、比較的安価で出力が大きく、調理機器などの高負荷な機器にも対応しやすい発電機です。一般的に、電圧の安定性はインバーター式に劣るため、精密機器の使用にはあまり向きませんが、グリドルや換気扇などには問題なく使えます。
動作音はやや大きめなので、広い屋外や騒音が許容される環境での使用に適しています。
冷蔵庫やレジなど「安定した電力が必要な機器」にはインバーター式発電機が適しており、グリドル、換気扇など「多少の電圧の波があっても動作する機器」にはサイクロコンバーター式の使用も可能です。
燃料の種類による発電機の違い
ガソリン式発電機
ガソリン式は、最も普及している発電機タイプで、燃料が手に入りやすく、機種も豊富です。冷蔵庫や照明など、日常的に電気を使うキッチンカーには扱いやすい選択肢です。
ただし、排気や騒音があるため、設置場所や周囲への配慮が必要です。給油や保管には十分な安全対策をとりましょう。
カセットガス式発電機
カセットガス式発電機は、家庭用のカセットボンベを燃料に使える手軽さが魅力です。取り扱いが簡単で、初心者にも扱いやすく、ガソリンよりも安全性が高いのが特長です。
ただし、出力は小さめのため、冷蔵庫やIHなどの高消費電力の機器には不向きです。照明やレジ、スマホ充電といった低電力用途向けの補助電源として活用するのに適しています。
ディーゼル式発電機
ディーゼル式発電機は、出力が大きく燃費効率にも優れているため、長時間の営業や複数の機器を同時に使うキッチンカーに向いています。頑丈な設計で耐久性も高く、業務用として信頼性のある選択肢です。
その一方で、本体が大型で重量もあり、騒音も大きいため、設置スペースの確保や振動・音対策が必要になります。また、本体価格も比較的高めです。本格的に営業を継続したい方に適したモデルといえるでしょう。
発電機の容量の目安と計算方法
発電機を選ぶ際、使用する機器の電力消費量に見合った出力(容量)があるかを確認しましょう。容量が不足すると、機器が動作しなかったり、ブレーカーが落ちたりするなどのトラブルにつながります。
使用機器ごとの消費電力の目安
以下は、キッチンカーでよく使われる機器の消費電力(目安)です。
- 冷蔵庫(小型):100〜300W
- フライヤー:800〜1,500W
- 換気扇:50〜150W
- 照明(LED):10〜50W
- レジ/タブレット端末:50〜100W
- ポータブルIH調理器:100〜1,400W
- 電子レンジ:1,000W前後
- スマホ・モバイル充電:10〜30W
必要な発電機容量の計算方法
実際に、どれぐらいの発電機容量が必要かを確認するための手順を紹介します。例えば、キッチンカーで次のような機器を使用する場合を想定します。
まず、使用するすべての機器の消費電力(W:ワット)を合計します。
- 冷蔵庫:200W
- フライヤー:1,200W
- 換気扇:100W
- 照明:40W
- レジ:50W
→ 合計:1,590W
1,590Wが、このキッチンカーで必要な電力量の目安となります。ただし、使用機器によってはスイッチを入れた瞬間に一時的に多くの電力(起動電力)を使うことがあります。
このように機器が一斉に稼働したときに備え、1.2〜1.5倍の余裕(バッファ)を持たせた容量を選ぶのが一般的です。
例:1,590W × 1.5 = 2,385W(約2,400W)
→ この場合、2.4kW以上の出力が必要ということになります。
なお、発電機は「kW」ではなく「kVA」という単位で表記されることが一般的です。おおよそ、力率を0.8と仮定した場合、1kVAは800W(0.8kW)ぐらいと考えられます。つまり、この場合は、2.4kW÷0.8=3.0kVAとなり、3.0kVA以上の発電機を選ぶと安心です。
ただし、実際の力率は使用する機器によって変動するため、多少の余裕を持って選定することをおすすめします。
起動電力にも注意を
一部の機器(冷蔵庫やIH、モーター類)は、起動時に通常の数倍の電力を消費する場合があります。これを「起動電力(突入電流)」といい、発電機の定格出力を超えていると、起動できずに止まる原因になります。
そのため、余裕を持った発電機選びは単なる安心材料ではなく、安全な運用に必要な条件でもあります。
発電機は何時間もつ?
キッチンカー営業で発電機の電力が途中で切れてしまえば、冷蔵庫は止まり、レジも使えなくなります。稼働時間は、主に発電機の燃料タンク容量と、使用する電力量によって決まります。
稼働時間の目安
以下は、発電機の出力とタンク容量に応じた稼働時間の一例です。
発電機の出力 | タンク容量 | 稼働時間(50〜75%負荷時) |
---|---|---|
1kVA | 約3L | 約4〜5時間 |
2kVA | 約4〜5L | 約6〜8時間 |
3kVA以上 | 約8L〜10L | 約8〜12時間 |
※ 燃料の種類(ガソリン・ディーゼル)や気温、負荷によって変動します。必ず、仕様書等で確認しましょう。
長時間使うなら給油計画を
営業中に電力が切れるのを防ぐには、事前に燃料の持ち時間を把握し、必要量を確保することが大切です。また、営業の合間に給油のタイミングを設けるようにしましょう。
なお、運転中の給油は厳禁です。必ず電源を切って、冷えてから給油してください。火災や爆発の危険があります。
キッチンカーで電力が足りなくなったらどうする?
キッチンカー営業中に「思ったよりも電力が足りない」「予定外の機器を使いたい」といった場面は少なくありません。そんなときに備えて、事前に対策を用意しておきましょう。
1. 使用機器を見直す・一部を止める
まずできることは、消費電力の高い機器の稼働を一時的に止めます。
- 冷蔵庫の開閉を控えて温度上昇を抑える
- IH機器や調理器具を時間差で使用する
- 不要な照明や換気扇をオフにする
電力を「一気に使わない工夫」をしてみましょう。
2. 補助用の発電機やポータブル電源を準備する
出力の小さいサブ発電機や、ポータブル電源(リチウムバッテリー)を用意しておくと安心です。レジやスマホ充電、照明など小電力の機器は補助電源でまかなうことで、メイン発電機の負荷を下げられます。
3. 電力使用のピークをずらす
すべての機器を同時に動かすと、負荷が集中します。例えば、調理器具は交互に使用する、冷凍庫の再起動はピーク時間を避けるなど、使用タイミングの調整でカバーできるケースも多いです。
キッチンカーでガス機器の扱い方と安全対策
キッチンカーで高火力の調理を行う際は、電気だけでなくLPガス(プロパンガス)を使うことがあります。特にフライヤー、鉄板、ガスコンロなどは、ガスを使うことで効率的な調理が可能になります。
しかし、火気を扱う以上、安全管理が最優先です。事故を防ぎ、安心して営業するために、以下のポイントを必ず守りましょう。
ガス機器使用時の基本ルール
- ガスボンベは固定して設置する
転倒や衝撃による事故を防ぐため、ガスボンベは専用のラックやベルトなどでしっかりと固定しましょう。車内または車外設置の場合も、移動中の揺れや出店中の振動に耐えられるよう工夫が必要です。 - 定期的なホース・接続部の点検を行う
ガス漏れの原因になりやすいのがホースの劣化や接続の緩みです。営業前には必ず目視点検を行い、ガス漏れ検知スプレーなどで確認するのが望ましいです。 - ガス漏れ警報器や消火器を設置する
保健所の指導でもよく求められる設備です。異常があった際に即時対応できるよう、消火器は見える位置に常備しましょう。ガス警報器は、特に狭い車内での早期発見に役立ちます。
その他の安全対策
- ガス設備の設置は資格を持った業者に依頼するのが基本です。無資格者による取り付けは事故のもとになります。
- 営業終了後は必ず元栓を閉める、長期間使用しない場合はガスの残量をチェックするなど、日常的な安全管理も忘れずに行いましょう。
ガスは便利で火力に優れた熱源ですが、取り扱いを誤ると重大な事故につながる可能性があります。安全第一で、確実な設備と管理体制を整えておきましょう。
キッチンカー営業には電源と発電機の準備がカギ
キッチンカーで安定した営業を行うためには、電源の確保と発電機の正しい選び方・使い方が不可欠です。冷蔵庫やレジ、照明などを安全かつ確実に稼働させるには、営業スタイルに応じた電源管理が求められます。
特に出店場所によっては外部電源が使えないこともあり、その場合は発電機の導入が必要です。使用する機器の消費電力を把握し、必要な容量・燃料タイプ・稼働時間を見極めて準備しておくことで、営業中のトラブルやロスを未然に防ぐことができます。
また、発電機には騒音や排気の問題も伴うため、設置場所や防音ボックスなどを活用した騒音対策も重要です。必要な電力を事前に見積もり、容量に余裕を持った機器選びを行うことで、営業中のトラブルを防ぐことができます。
安全で快適なキッチンカー営業を実現しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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