- 作成日 : 2025年12月24日
無断駐車とは?駐車違反との違いや有効な対処法・予防法を徹底解説!
無断駐車は、私有地へ許可なく車を停める行為です。本来の契約者が利用できなくなるだけでなく、店舗の営業に支障が出るなど深刻なトラブルへ発展する恐れがあります。繰り返されやすく、放置すると「停めてもよい場所」と誤解され、常習化する点も問題です。
当記事では、無断駐車と駐車違反の違い、発生時の正しい対処法、絶対に避けるべき行為、さらに再発を防ぐための予防策などを分かりやすく解説します。
目次
無断駐車とは?
無断駐車とは、許可を得ていない人が所有者や管理者の意思に反して他人の敷地へ車を停める行為を指します。月極駐車場や店舗前、アパートの来客用スペースなど、本来停める権利を持たない場所に車両を置くケースが典型的な例です。利用者が勝手に駐車すると、契約者が駐車できなくなったり、店舗の営業に支障が出たりするため、管理者にとって重大なトラブルにつながりやすい問題です。
また、無断駐車は一度発生すると繰り返される傾向があります。放置すると「ここは停めてもよい場所」と誤解され、常習化しやすく、複数の無断利用者が増えてしまう恐れがあります。このため、早い段階で適切な対応をとり、管理者として「ここはきちんと管理している駐車場だ」という意思を示すことが重要です。
防止策としては、看板の掲示やチェーン・コーンの設置、契約者専用プレートの配布などがあります。管理会社に委託すれば、日常巡回やトラブル対応を任せられるため、所有者の負担軽減にもつながります。無断駐車は軽視できない問題であり、被害を防ぐためには「どの行為が無断駐車に該当するか」を正確に理解しておくことが第一歩です。
無断駐車と道路交通法上の駐車違反の違いは?
無断駐車と道路交通法上の駐車違反は、どちらも「適切でない駐車」という点では共通していますが、適用される法律も責任の性質も異なります。
無断駐車は私有地で許可なく駐車する行為であり、基本的には民法上の問題として扱われます。一方、駐車違反は道路標識や規制に反して道路上に車を停める行為で、道路交通法に基づき行政処分や反則金の対象です。
無断駐車は土地所有者の権利を侵害する行為であり、使用妨害による損害が生じれば損害賠償請求が可能です。管理者の業務を妨げた場合などは、悪質性が高いと判断されるケースもあります。対して駐車違反は、交通秩序や安全を守るために規制されており、放置違反金や反則金、点数制度によって取り締まられます。
私有地のトラブルは民事不介入が原則のため、レッカー移動などの強制的な措置をとることはできません。警察に対応方法の相談ができることもありますが、原則として管理者自身が対応する必要があります。
無断駐車は違法? 法律上の扱いについて
無断駐車は道路交通法による「駐車違反」とは異なりますが、私有地で許可なく車を停める行為は法律上の問題となるケースがあります。ここでは無断駐車がどのような法律に基づいて扱われるのかを解説します。
私有地への無断駐車は民法上の不法行為にあたる
私有地に無断で駐車する行為は、「不法行為」に該当する可能性があります。不法行為とは、他人の権利や利益を侵害して損害を与えた場合に賠償責任が生じる行為です。無断駐車によって本来の契約者が駐車できず、店舗の売上が減少したり、管理者が対応のために時間や費用を要したりした場合、その損害を請求できる場合があります。
所有者が被害を受けたことを立証できれば、費用負担の請求を求めることが可能となり、無断駐車は民事上の責任を伴う行為として扱われます。そのため、写真や日時、状況のメモなどの証拠を日頃から残しておくことが重要です。
場合によっては刑法に抵触することも
無断駐車は基本的に民事上の問題ですが、状況によっては刑法が適用されることがあります。たとえば、悪質な長時間駐車や営業妨害を目的とした駐車が行われた場合、刑法234条の「威力業務妨害」に該当する可能性があります。また、故意に通路を塞いで避難経路を妨害する行為は、危険を生じさせる行為として消防法や建築基準法違反として扱われる場合もあります。
無断駐車は単なるマナー違反ではなく、態様によっては刑事責任を問われる重大な行為となり得る点を理解しておくことが大切です。
無断駐車されたときの対処法は?
無断駐車が発生した場合、管理者は冷静かつ法的に正しい手順で対応することが重要です。感情的に行動するとトラブルが拡大し、管理者側が責任を問われる恐れがあります。まずは「誰が解決に動くべきか」「証拠をどう確保するか」を意識し、段階的に対応することが基本です。
ここでは実務で取られている代表的な対処法を順番に解説します。
管理会社に連絡する
賃貸物件や月極駐車場を管理会社に委託している場合は、最初に管理会社へ連絡することが適切です。管理会社は無断駐車に関する対応経験が豊富で、状況確認、掲示物による警告、契約者への案内など、オーナーの負担を軽減しながら手続きを進めます。防犯カメラの映像確認や巡回時の記録が残っている場合、後の証拠として役立つこともあります。
また、管理会社が関与することで無断駐車を抑止しやすくなり、再発防止のための改善提案が受けられるメリットもあります。
張り紙をする
無断駐車への一次対応として、車両に「契約者以外の駐車禁止」「無断駐車はお断りします」などの注意喚起を貼り付ける方法があります。ただし、強い言葉や高額な罰金を示す文言はトラブルの原因になりやすく、適切ではありません。張り紙は、駐車場のルールを淡々と伝え、速やかな移動を求める内容にすることが重要です。
また、張り紙をする前後で写真を撮影し、車の位置やナンバーを記録しておくと、後日必要になった際に証拠として活用できます。張り紙は注意喚起の目的で実施するものであり、車を傷つける行為は絶対に避けなければなりません。
警察に通報する
私有地の無断駐車は民事上の問題であるため、警察は即時のレッカー移動などを行えません。しかし、トラブルが拡大する可能性がある場合や、車両が長時間放置されている場合は通報して状況を説明しておくことが有効です。
警察は「駐車場内のトラブル」として現場確認に来てくれることが多く、警察官が介入することで無断駐車者が車を移動するケースもあります。また、事件性が疑われる場合や、ナンバー隠しなど法令違反が見られる場合には、警察が正式に対応することもあります。管理者として記録を残し、再発防止に役立てる意味でも、通報しておくことは効果的です。
車の所有者に内容証明を送る
無断駐車が継続的に続く場合や、所有者に連絡しても対応がない場合は、内容証明郵便を送る方法があります。内容証明は「いつ・誰が・どのような内容を通知したか」を郵便局と差出人が証明する制度で、法的手続きを見据えた正式な警告として効果的です。文書には、無断駐車の事実、移動の要請、今後同じ行為を繰り返した場合の対応方針などを明記します。
内容証明を送付することで、相手に法的責任を意識させ、トラブルの早期解決につながる場合があります。送付前には、日時や車両の状態を写真で記録しておき、事実関係を整理した上で送ることが重要です。
弁護士に相談する
無断駐車が長期化し、営業妨害や損害が明確な場合は、弁護士への相談が有効です。弁護士は損害賠償請求や車両移動の仮処分申立てなど、法的手続きを踏まえた最適な対応策を提示できます。相手方との交渉も代理で行えるため、管理者自身が精神的な負担を抱える必要もありません。
また、法律の専門家である弁護士が関与することで無断駐車者が事態の重大さを認識し、行為を改めるケースも多く見られます。特に、繰り返し駐車されている場合や、相手が悪質な場合には早めの相談が大切です。法的措置を検討する際は、証拠となる写真や記録を整理した上で相談するとスムーズに対応が進みます。
無断駐車への対応で絶対に避けたいNG行為
無断駐車に気づいたとき、管理者が感情的に行動すると状況が悪化し、こちらが法的責任を負うリスクがあります。特に、車両への接触や法的根拠のない金銭請求はトラブルを招きやすく、最悪の場合は損害賠償や刑事事件に発展する可能性もあります。正しい対処を行うためにも、絶対に避けるべき行為を理解しておきましょう。
実力行使はNG(タイヤロック・車を傷つけるなど)
無断駐車への対処として、タイヤロックを取り付けたり、車を動かせないように物理的な妨害をしたりする行為は厳禁です。これらは民法上の「自力救済」に該当し、相手の所有物を故意に傷つけた場合は器物損壊罪が成立する可能性があります。また、車を囲んだり通路を塞ぐ行為は、相手から損害賠償請求を受ける恐れがあります。
無断駐車の事実があっても、車両は相手の財産であり、管理者が勝手に移動させたり破損させたりすることは法的に認められていません。対応は必ず法的な手段や正規の手続きを踏まえて行うことが求められます。
感情的な張り紙や高額な罰金請求
無断駐車に腹を立て、「二度と停めるな」「罰金10万円」などと感情的な張り紙を掲示すると、トラブルが大きくなる可能性があります。まず、法的根拠のない罰金請求は無効であり、相手から脅迫や不当表示として反論されるリスクがあります。また、攻撃的な文言は相手を刺激し、逆恨みや営業妨害を招くかもしれません。
張り紙をする際は「契約車以外の駐車は禁止しています」「確認でき次第、ご連絡ください」など、事実とお願い事項を冷静に伝える内容にとどめることが重要です。注意喚起はあくまで秩序維持のためであり、管理者自身が不利になる表現は避けましょう。金額を伴う請求を検討する場合は、事前に専門家へ相談しておくと安心です。
無断駐車を未然に防ぐための方法は?
無断駐車は、駐車禁止を明確に示し、利用者に「管理されている駐車場」であることを認識させることで、トラブルの発生を大幅に抑えられます。ここでは、現場ですぐに取り入れやすい防止策を解説します。
コーンやチェーンを設置する
物理的な遮断物であるコーンやチェーンは、無断駐車を防ぐ上で即効性のある対策です。駐車区画の入り口に設置することで「自由に停められない場所」であることを視覚的に伝えられます。特に、コーンバー付きチェーンや専用ポールを使えば、契約者のみが手動で開閉できるため、不正利用を減らす効果があります。
また、駐車場全体の管理が行き届いている印象を与え、無断駐車の抑止につながります。設置の際は、風で倒れにくい重り付きタイプを選ぶなど、運用面の工夫も大切です。
無断駐車禁止の看板を設置する
看板の掲示は優先度の高い基本対策です。「契約者以外駐車禁止」「無断駐車はお断りします」など、明確で読みやすい文言を掲示することで、利用者にルールを周知できます。看板は入口や目立つ場所に設置し、夜間でも視認しやすい反射素材や照明付きタイプを選ぶと効果的です。また、禁止事項の理由や管理者の連絡先を記載すれば、契約者以外が停めにくい環境を作れます。
長期間掲示していると文字が薄れるため、定期的な点検や交換を行い、常に管理されている印象を保つことが大切です。
防犯カメラを設置する
防犯カメラは無断駐車を強力に抑止する手段です。録画中であることを示すステッカーや掲示物を併用することで、心理的なプレッシャーを与え、違反行為の発生率を下げられます。
防犯カメラは車両のナンバーや駐車状況を記録できるため、トラブル発生時の証拠としても活用できます。クラウド型システムを導入すればリアルタイム確認や録画データの保存も容易で、管理負担を抑えながら高い管理効果を得られます。特に、複数台の利用者が出入りする駐車場では設置効果が大きいでしょう。
契約者専用のプレートやステッカーを配布する
契約者に専用プレートやステッカーを配布する方法は、区画ごとの管理を明確にできる点がメリットです。車両にステッカーを貼ってもらうことで、契約者と無断駐車の車両を一目で判断でき、巡回時の確認もスムーズになります。区画番号入りのプレートを設置すれば、利用者が誤って他の区画に停めるリスクも減少します。
また、管理されている状態が可視化されるため、第三者が無断で停めにくくなります。定期的な更新やデザイン変更を行えば、利用者の意識向上にもつながります。
専門の管理会社に委託する
無断駐車の予防と対応を徹底したい場合は、専門の管理会社への委託が効果的です。管理会社は巡回・記録・注意喚起などを一貫して行い、オーナーの負担を大幅に軽減します。無断駐車が発生した際も、適切な注意対応や書面での警告、再発防止策の提案など、実務に基づいた専門的な処理が期待できます。
さらに、防犯カメラの設置提案や契約者管理の代行など、運用全体の効率化にもつながります。駐車場の規模が大きい場合や、頻繁に無断駐車が発生する環境では、早期に委託を検討することが有効です。
無断駐車を防ぎ、トラブルを避けるためのポイント
無断駐車は、管理者や契約者の正当な利用を妨げる行為であり、民法上の不法行為として扱われる場合があります。悪質なケースでは刑法が適用されることもあり、単なるマナー違反では済まない深刻な問題です。
発生時には、管理会社への連絡、張り紙による注意、通報、内容証明の送付など、段階的で法的に正しい対応が必要です。一方、実力行使や高額な罰金を掲示する行為は、管理者側が責任を問われる危険があるため避けましょう。状況に応じた適切な手段を講じることで、無断駐車の発生を最小限に抑え、安全で秩序ある駐車環境を維持できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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