クラウド型給与計算システムとは?従来型システムとの違い・メリットとデメリットを解説!
更新日:2024年2月13日
給与計算システムの導入、あるいはリプレイスを検討している企業の担当者にとって、どのシステムを選定するかの判断は非常に難しいものです。そこで、クラウド型と従来型システムの違い・選定の基準となる比較ポイントを紹介します。
従来型オンプレミスとクラウドの比較
従業員の勤務状況や会社の制度によっては、複雑な計算ロジックを用いて給与計算をする場合があるかと思います。
比較をする際は、以下の6つのポイントを見て各システムの特徴をとらえることで、自社に合ったシステムを選べるようにしましょう。
コスト
初期費用を抑えるなら、クラウド型がおすすめです。導入サポートを利用する場合は別途費用が必要になりますが、契約や導入自体は基本的に無料です。一方、オンプレミス型ではライセンス費用やサーバー構築費用がかかるため、導入時の負担は大きくなります。また、初期費用だけでなく維持費用にも注目してみましょう。定額制のシステムなら、利用状況などによらず一定の費用で済むため、安心して利用できます。
システム連携
勤怠管理システムや人事管理システム、会計システムなどのほかのシステムと連携すると、より給与計算システムが使いやすくなります。しかし、オンプレミス型でPCにインストールして利用する給与計算システムでは、連携は可能ですが、基本的には手動で連携するため手間がかかってしまいます。クラウド型なら、API連携やCSV連携に対応しているため、パソコン上の操作で簡単にシステム連携が可能です。周辺システムと連携して、簡便かつミスのない給与計算を実現しましょう。
法令対応
法改正により給与計算式が変わることもあります。その際、オンプレミス型では基本的にプログラムアップデートを自社で対応しなくてはいけません。また、プログラム修正に関しては有償となることもあるため注意が必要です。
一方、クラウド型なら、サービス事業者がプログラムの修正からアップデートまで一貫して対応するため、メンテナンス不要で常に最新の環境を利用でき、基本的にプログラム修正は無償です。
サポート体制
運用開始前後のサポートの有無や内容もチェックしておきましょう。クラウド型・オンプレミス型のいずれも、メールやチャット、電話などでサポートを提供していますが、サポートの範囲についてはシステムによって異なります。なお、プログラムを自社専用にカスタマイズしている場合は、サポート内容が変わることはあります。不安なく利用するためにも、契約前にサポート内容について確認しておきましょう。
カスタマイズ性
クラウド型では、システムに自社の運用ルールを合わせることが基本のため、カスタマイズ性は低いといえます。自社ルールに合わせたシステムを運用するなら、オンプレミス型のクライアントサーバー型がよいでしょう。ただし、自社ルールが変更されたときは、オンプレミス型ではプログラムの修正が必要になります。修正から適用までに時間がかかるだけでなく、有償となる点に注意してください。コストを抑えて給与計算システムを利用するためにも、なるべくカスタマイズ比率を下げ、システムの標準機能に合わせて業務を調整するようにしましょう。
システム化する範囲
システム化する業務範囲によって、適切なシステムは異なります。対応可能な業務はシステムによって異なるため、事前に確認しておきましょう。将来的に別のシステムと連携する可能性がある場合や、すでに別のシステムを利用している場合は、簡単に連携できるクラウド型がおすすめです。DXの流れにより、今後もよりいっそう、バックオフィス業務のシステム化が進むと考えられます。新たな流れに柔軟に対応するためにも、連携が簡単かつ初期費用が低いクラウド型の給与計算システムを検討してみてはいかがでしょうか。
そもそもクラウド型給与計算システムとは?
まずは押さえたい“クラウド”の仕組み
昨今よく耳にするようになった「クラウド」という言葉ですが、実は誰かに聞かれてもうまく説明できない……という人が多いですよね。「クラウドってなに?今さら人に聞けないけど実はよくわからない……」という方も多いのではないでしょうか。
「クラウド(cloud computing)」とは、インターネットなどのネットワーク経由でユーザーにサービスを提供する形態です。管理画面にログインすれば利用できるため、インターネット環境さえあればどのデバイスでも対応できます。テレワークの普及など働き方が多様化した今の時代に合ったサービス形態といえるでしょう。
従来型の“オンプレミス”との違い
ソフトウェアやデータをPCにインストールして利用するのが従来のオンプレミスです。それに対してクラウドは、インターネットでサービスにアクセスして利用する方式です。インストールの手間がかからず、契約後すぐに利用できます。また、法改正対応の際はサービス事業者側が対応するため、利用者側はシステム再設定やインストールのし直しは必要ありません。
業務を外注しやすいのもクラウド型の特徴です。オンプレミス型ではシステムを利用できる環境が限られるため、外部とのデータ共有が困難です。クラウド型ならシステムにアクセスする権限を付与するだけで、外部パートナーとのデータ共有が可能なため、スムーズに利用できます。
共有したデータをクラウド上に保存できる点も、クラウド型の特徴といえるでしょう。オンプレミス型ではサーバー上かPC上に保存するため、自社管理が必要になります。重要なデータを安全に管理するためにも、クラウド型のシステムの利用を検討してみましょう。
クラウド型給与計算システムのメリット・デメリット
クラウド型給与計算システムのメリットは、以下の3点です。一方、インターネットに接続されていない場所では利用できないことや、接続が悪い場合、処理速度が落ちて業務効率が低下することがある点などはデメリットだといえます。

法改正の際にスムーズに対応可能
ベンダー側が改正内容を反映するため最新バージョンを常に利用できます。システム改修をしなくても大きな混乱なくスムーズに対応可能です。

場所を問わずどこでも業務を行うことができる
業務に必要なデータや帳票は、システム内に保存されています。そのため、インターネット環境さえ整っていれば自宅などオフィス外からでもスムーズに業務を進めることが可能です。パンデミックや自然災害が起こった時への備え・ワークライフバランス改善などを目的にクラウド型給与計算システムを導入する企業が増えています。

属人化の解消で“だれでもミスなく対応可能”になる
専門性の高さ・複数のシステムをまたいだ給与計算情報の取得が原因で、実務経験が豊富な特定の従業員に頼りきっている状態…というお悩みをよく聞きます。クラウド型給与計算システムは、健康保険料・介護保険料など煩雑な社会保険料の控除額などを自動計算します。さらにWeb明細書発行、振込データの作成まで自動化できるため、業務負担を大幅に軽減可能です。働き方改革をきっかけに、昨今では社内制度の変更など業務の幅が広くなっているかと思います。給与計算業務を効率化して、他の業務も同時に進めることができるようになります。