事業計画書に関する実態調査

作成日:2026年6月3日

1. 調査概要

本レポートは、会社設立・起業時の事業計画書の作成実態に関する調査結果をまとめたものです。作成手段やテンプレートの利用状況、作成に要した時間、最も困難だと感じたセクション、提出後の再提出・指摘の有無などを明らかにしており、自社の制度設計・運用改善やコンテンツ設計にお役立ていただけます。

  • 調査時期:2026年1月実施
  • 調査対象:経営者・役員、自営業を中心とする事業計画書の作成・依頼経験者等
  • 有効回答数:809名(男性97.7%、女性2.3%)
  • 回答者属性:50代(35.0%)〜60歳以上(36.5%)の男性が過半数を占め、職業は経営者・役員(49.7%)と自営業(40.9%)が中心
  • 作成経験:実際に事業計画書を作成・依頼した経験があるのは回答者の約64%

回答者の事業計画書の作成・依頼経験の内訳

  • 自分で作成した事がある:45.1%
  • 事業計画書を作成した事がない:32.9%
  • 税理士などの士業に依頼して作成した事がある:18.4%
  • わからない/答えられない:3.7%

2. 調査結果サマリー

4つのポイント

  1. 作成手段は「自作+テンプレート」が主流で、作成経験者のうち「自分で作成した」層が45.1%、作成・依頼経験者のうち55.5%がWeb上の事業計画書テンプレートを使用していた。
  2. 作成時に最も困難だと感じたセクションは「財務・資金調達計画(35.5%)」がトップで、次いで「販売戦略・マーケティング計画(30.3%)」「創業動機・ビジョン(21.2%)」と続き、財務と販路が大きな壁となっている。
  3. 作成時間は「4日〜1週間未満(27.3%)」が最多で、次いで「2〜3日(21.8%)」と数日単位の作業を要する。
  4. 提出後に一発で通った層は31.7%にとどまり、約45%が「再提出」または「内容へのフィードバック(指摘)」を受けており、一発合格は狭き門となっている。

3. 調査結果の詳細

3-1. 事業計画書の作成・依頼経験

全回答者に対し、会社設立時や起業後に事業計画書を作成・依頼した経験があるかを尋ねました。

  • 自分で作成した事がある:45.1%
  • 事業計画書を作成した事がない:32.9%
  • 税理士などの士業に依頼して作成した事がある:18.4%
  • わからない/答えられない:3.7%

「自分で作成した」層が最も多く、士業への依頼を大きく上回りました。年代によって作成方法に違いが見られ、男性30代では「自分で作成した事がある」が55.0%と全年代で最も高く、士業への依頼(22.5%)の倍以上となっています。一方、男性40代では「税理士などの士業に依頼して作成した」割合が29.2%と、他の年代と比較して最も高くなっています。

3-2. Web上のテンプレート利用状況

事業計画書を作成または依頼した経験がある501名を対象に、Web上で提供されているテンプレートを使用したかを尋ねました。

  • 事業計画書のテンプレートを参考・使用した:55.5%
  • 事業計画書のテンプレートを参考・使用せず、作成した:35.7%
  • わからない/答えられない:8.8%

過半数がテンプレートを利用していることがわかりました。若年層ほどWeb上のテンプレート利用率が高く、年代が上がるにつれて利用率が下がる傾向にあります。男性20代では87.5%、男性30代では74.2%に達しており、若手起業家の必須ツールとなっている一方、男性60歳以上では42.4%にとどまり、「使用せず作成した(47.3%)」が上回る結果となりました。

3-3. 作成にかかった総所要時間

事業計画書全体の作成にかかった時間(概算)を尋ねました。

  • 4日~1週間未満:27.3%
  • 2~3日:21.8%
  • 1週間~2週間未満:15.2%
  • わからない/覚えていない:12.2%
  • 1日以内:9.6%
  • 2週間~1ヶ月未満:7.0%
  • 1ヶ月以上:7.0%

「4日〜1週間未満」が最も多く、1週間以内に完了する層が過半数を占めています。属性別では、男性20代はサンプル数こそ少ないものの「2週間以上」かかった回答がなく、比較的短期間で作成を終えている傾向があります。一方、男性60歳以上では「1ヶ月以上」かかった割合が6.5%あり、じっくり時間をかける層も一定数存在します。

3-4. 作成が最も困難だと感じたセクション(複数回答)

作成において最も困難だと感じたセクションを尋ねました。

  • 財務・資金調達計画:35.5%
  • 販売戦略・マーケティング計画:30.3%
  • 創業動機・事業理念・ビジョン:21.2%
  • リスク分析・撤退戦略:21.0%
  • 市場環境分析・ターゲット設定:20.0%
  • 競合比較・自社の優位性:17.6%
  • 製品・サービスの内容:16.6%
  • 体制・組織・採用計画:13.2%
  • この中にはない:13.2%
  • その他:1.2%

財務計画と販売戦略が大きな壁となっていることがわかりました。属性別では、男性60歳以上で「財務・資金調達計画」を困難とした割合が45.7%と突出して高く、シニア層の起業において最大のハードルとなっています。一方、男性20代では「市場環境分析・ターゲット設定」を困難とした割合が62.5%と高く、若年層では財務よりもマーケティング分析に苦戦する様子が見られます。

3-5. 提出時の不備・再提出の状況

銀行や投資家などに提出した際の結果について尋ねました。

  • 内容のフィードバックもなく、再提出の必要もなかった:31.7%
  • 内容のフィードバックはあったものの、再提出の必要はなかった:28.3%
  • 再提出の指示があった:16.6%
  • 事業計画書を銀行や投資家、自治体などに提出していない:13.4%
  • わからない/覚えていない:10.0%

約45%が「再提出」または「フィードバック(指摘)」を受けており、スムーズに通過した層は約3割にとどまりました。属性別では、男性30代で「再提出の指示があった」割合が38.7%と全年代で最も高く、審査等のハードルを厳しく感じている現状があります。一方、男性60歳以上では「再提出の指示があった」のは9.8%にとどまり、「フィードバックもなく再提出もなかった(35.9%)」が比較的高い割合を示しています。

4. 調査結果から見える課題と対策

本調査の結果から、事業計画書の作成において、3つの課題と、その対策の方向性が浮かび上がりました。

課題①:財務・資金調達計画の言語化の難しさ

作成時に最も困難と感じるセクションは「財務・資金調達計画(35.5%)」であり、特に男性60歳以上では45.7%と突出しています。数値計画や資金繰りの根拠づくりが、多くの作成者にとって最大のボトルネックとなっています。

対策の方向性:売上などを入力すると自動で連動する資金繰り表のExcelテンプレートを提供するなど、数値根拠を埋めやすくする仕組みを用意することが有効です。特にシニア層には使い慣れたExcelファイル形式での提供がなじみやすいといえます。

課題②:販売戦略・マーケティング計画の論理構築

2番目の壁である「販売戦略・マーケティング計画(30.3%)」では、何を書けばよいか分からないという悩みが見られ、若年層では市場環境分析やターゲット設定への苦戦も顕著です。

対策の方向性:SWOT分析や4P分析などのフレームワークをあらかじめ組み込んだテンプレートを用意し、「埋めるだけで論理が通る」体験へと変えることで、戦略部分の作成負担を軽減することが望まれます。

課題③:再提出・指摘による手戻りの発生

提出後に一発で通った層は31.7%にとどまり、約45%が再提出やフィードバックを経験しています。数日かけて作成した計画書が指摘によってやり直しになる手戻りが、作成者の大きな負担と徒労感につながっています。

対策の方向性:提出前の不備チェックリストや、審査側の視点(銀行員・投資家が確認するポイント)を解説するコンテンツを提供し、指摘事項を事前に潰すことで、再提出のリスクを下げることが効果的です。

5. まとめ

本調査からは、事業計画書の作成が自作+テンプレートを主流としつつも、財務・資金調達計画や販売戦略といった「数値・論理の言語化」に多くの作成者が苦戦し、約45%が再提出や指摘という手戻りを経験している実態が明らかになりました。作成には数日単位の労力がかかり、一発合格は狭き門となっています。

  • 財務計画の言語化の難しさ:財務・資金調達計画が最大の難関 → 数値根拠の不足による説得力の低下リスク
  • 販売戦略の論理構築:マーケティング計画や市場分析に何を書くか悩む → 戦略の説得力不足による評価低下リスク
  • 再提出・指摘による手戻り:約45%が再提出やフィードバックを経験 → 数日分の労力が無駄になる徒労感と負担の増大

これらの課題に対しては、財務計画を自動化するExcelテンプレートの提供、フレームワークを組み込んだ戦略テンプレートの整備、提出前チェックリストや審査視点の解説によって、作成者が手戻りなく確実に資金調達へつなげられる支援を進めることが鍵となります。

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出典

マネーフォワード クラウド、事業計画書に関する調査データ(回答者:809名、集計期間:2026年1月)

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