GO株式会社

M&A戦略を支える「強く、しなやかな足腰」の構築 GOグループが実現したシステム連携によるグループガバナンスとスピードの両立

GO株式会社 経営戦略本部 財務マネジメントグループ GM/株式会社IRIS CFO 川嶋 万里様
  • 課題

    ・M&A後の子会社設立時における経理システムのフロー設計・導入・運用が同時で負荷が高かった
    ・上場準備段階でのグループ全体にわたる統制機能の整備が急務
    ・親会社のルールをそのまま適用することで子会社の事業スピードの低下を招く可能性があった

  • 結果

    ・元々別の子会社で導入しているフローを活用することでスムーズに導入・運用を開始できた
    ・クラウド上の承認ガバナンスの強化、不正・ミスの未然防止
    ・ルール設定やマスタ設定が100%でなくても取引を開始できる柔軟性で早期自律運用を実現

モビリティ領域を軸に展開するGOグループ。急速な事業拡大とM&Aを支える「強く、しなやかな」バックオフィスの構築
GO株式会社は、「移動で人を幸せに。」をミッションに掲げ、タクシーアプリ『GO』を中心にモビリティ領域を軸とする多様な事業・サービスを展開しています。
グループ会社では、サイネージ広告事業、配送取次業、人材採用プラットフォーム事業など、M&Aや会社分割を活用した多角的な事業展開を加速させています。
その成長スピードを支えるのが、グループ経営の根幹を担うバックオフィス体制です。事業会社が増えるにつれ、グループ全体のガバナンス強化と、子会社のスピード感を両立させるシステムの構築が喫緊の課題となりました。
今回は、経営戦略本部で財務マネジメントを担う川嶋様に、親会社が利用していたシステムではなく、「マネーフォワード クラウド」を選定した理由、そして、少人数体制で自律的に回る「横展開できる会計基盤」をいかにして構築したのかを伺います。

成長の裏側にある「バックオフィスの課題」 上場準備企業としての統制強化と、M&Aによる事業構造の複雑化

――まず、GOグループ様の事業概要と、川嶋様が担われている役割についてお聞かせください。

川嶋様: 親会社のGO株式会社は、「移動で人を幸せに。」というミッションのもと、タクシーアプリ『GO』を主軸に、モビリティ関連領域でさまざまなサービスを展開しています。M&Aや事業の会社分割を通じて、グループ内に多様なビジネスモデルを持つ会社が増え、現在も成長を続けています。

私自身は、経営戦略本部の財務マネジメントグループに所属しており、グループ全体の財務管理、投資管理をメインで担当しています。また、M&Aでグループインした子会社のコーポレート責任者を兼任する機会もあり、そこでの会計システム導入や体制構築にも深く関わっています。

――そのような急速な成長の中で、バックオフィス、特に会計基盤の面でどのような課題が顕在化していましたか?

川嶋様: 大きな課題は、「成長のスピード」と「統制の強化」のバランスでした。親会社が上場準備を進める中で、グループ全体のガバナンス強化は急務です。しかし、子会社は少人数体制で、親会社のような大規模な基幹システムを導入するリソースやスピード感は十分にはありません。

親会社の厳格なルールをそのまま適用すれば、子会社の事業スピードが失われてしまうというジレンマに直面していました。

――具体的にはどのような業務課題があったのでしょうか。

川嶋様: 特に深刻だったのが、M&Aや会社分割の際に発生する「システムの突発的な立ち上げ負荷」です。取得した子会社の既存の仕組みをそのまま運用することができるケースを除き、新しい子会社が設立・取得されるたびに、会計システムや経費精算のワークフローを一から立ち上げる必要があります。この立ち上げには手間と時間がかかりますが、手を抜くと将来的には事業の成長スピードにバックオフィス業務の運用基盤が追いついていない、「大きな赤ちゃん」のような状態になってしまうリスクがあります。早期に自律的な運用体制を構築し、各子会社で事業が複雑化・多角化していくフェーズにも耐えうるような、拡張性のある仕組みを作りたいと思っていました。

また、システム面とは別に、債権管理や取引先管理、契約締結など、「ミスが後から大きなダメージとなって経営に響く」ような基本動作の強化も急務でした。グループ全体の成長の足腰を強くするため、M&A後もスピーディかつ正確に日々のルーティン業務を回せる仕組みが必要だったのです。

「大きな赤ちゃん」状態を防ぐ。M&Aと会社分割を支える会計システム選定の決め手

――グループ全体の課題に対し、親会社で当時利用されていたシステムではなく、「マネーフォワード クラウド」を導入するという判断に至った決め手は何だったのでしょうか。

川嶋様: M&Aや会社分割によって新設・グループインした子会社にとって、親会社で利用していたシステムは、正直オーバースペックだったと思います。親会社の財務・経理の体制や規模感に合わせた設計になっているため、マスタの設定が非常に複雑だったり、使い方の習熟に時間と専門性を要したり、子会社の少人数体制では運用負荷が高すぎると判断しました。

また、別の子会社で他社システムも検討しましたが、やはり機能が多く、小回りが利きにくい面がありました

私たちが求めていたのは、上場準備企業の子会社として監査要件に対応しつつ、「とにかくスピード感を持って、少人数でも自律的に回せる」基盤です。

――その中で「マネーフォワード クラウド」が候補にあがった理由、や選定の決め手は何だったのでしょうか。

川嶋様: 実は、グループ会社のIRISで、既に「マネーフォワード クラウド」の利用実績があり、その使い勝手の良さと、API連携による拡張性を肌で感じていたことが大きいです。

特に、マネーフォワード クラウド会計Plusは、監査法人からの要請に応えるための「統制機能」はしっかりと持っている一方で、「柔軟なカスタマイズ余地」も残している点が決め手となりました。

多くのパッケージ製品は、最初からガチガチにマスタ設定を求めますが、クラウド会計Plusは、マスタコードがなくても、まずは取引を始めることができる。そして、「さすがにちゃんとやろう」という段階になったら、後からマスタや統制を整備できる余地がある。この「懐の深さ」こそが、急速に成長し、都度体制が変わる当社のグループ戦略に最適でした。

――導入前に特に期待されていた機能やポイントはありますか?

川嶋様: やはり「クラウドならではの連携の強さ」です。

M&A後の子会社が「大きな赤ちゃん」状態になるのを防ぐため、経理・財務部門が関わるあらゆる業務を効率化する必要がありました。仕訳入力だけでなく、債務支払、経費精算、固定資産管理、そして契約管理といった「横の業務」を、シームレスにつなぎ、少人数でもミスなく回る仕組みを作ることを期待していました。

マネーフォワード クラウドで実現した横展開できる会計基盤と少人数でも自律的に回せるように

紙ベースでの業務から脱却。業務効率化とペーパーレス化により、残業時間も大幅削減

――実際にマネーフォワード クラウドの製品を会計基盤として導入された後、どのような効果を感じていらっしゃいますか?

川島様:とても満足しています。

これまで申し上げた通り、マネーフォワード クラウドへの期待は、「ミスが後から大きなダメージとなって経営に響く」ことは避けつつ、少人数でもスピーディに業務を進めていけるというものです。

この期待どおり、と受け止めています。IRISではひと足先にマネーフォワード クラウドを使っていたわけで、そのうえで選定したという経緯があるので、当然と言えば当然かもしれませんね。

IRISでできあがっていた業務フローを、新たにグループインした会社に素早く展開することができたのも、効果と言えます。もちろん各社に合わせて調整は必要ですが、ベースがあることで非常に楽になっています。

また、チャットサポートはすごくありがたいなと思います。しかも、そういう質問が出てくる時は、たいてい「月次を締めないと」と急いでいる時だったりします。緊急性が高い場合に素早くお返事いただけるのは、とても安心感があります。

スピードと統制を両立。成長企業が体現する「あるべきバックオフィス体制」

――川嶋様は、M&A後の子会社のシステム立ち上げを多くご担当されていますが、マネーフォワード クラウドの導入を通じて、成長フェーズにある企業が目指すべき「あるべきバックオフィス体制」について、どのようにお考えでしょうか?

川嶋様: 重要なのは、「段階的な成長に対応できる柔軟性」を持つことだと考えています。

当社のような成長企業は、事業が急拡大し、上場準備という統制強化の波が来ます。一方で、新しい子会社は各社ごとに規模もビジネスモデルも異なり、多くの場合少人数のチームがスモールスタートで回していかなくてはなりません。

これまで申し上げた通り、マネーフォワード クラウドは、設立間もない会社が「とりあえずやってみよう」という段階で、勘定科目のマスタ設定を厳格にせずとも取引を始められる懐の深さがあります。そして、事業が成長し、上場準備などで「さすがにちゃんとやろう」という段階になった時に、後から承認ワークフローや勘定科目のマスタ、コードを整備して統制を強化できる余地がある。この両方に対応できるシステムであることこそが、「あるべきバックオフィス」の足腰を強くすると考えています。

――特にクラウド会計Plusの統制機能について、具体的に評価されている点を教えてください。

川嶋様:必要な統制機能を状況に合わせて選択できる形になっている点が非常に安心です。

例えば、会計伝票をロックする機能や、自己承認を防ぐは、私たちのような上場準備を進める企業にとって不可欠です。しかし、これがガチガチに設定されすぎると、子会社の柔軟な運用を妨げます。クラウド会計Plusは、必要な統制をユーザーロール等で設定でき、また、他のクラウド製品との連携によって、経費・債務の申請段階で不正をチェックするという、出口である会計伝票だけでなく入口である申請時から統制できる仕組みが構築できました。

――最後に、これから同様にM&Aや会社分割を控えている企業、もしくはバックオフィスの負荷に課題を感じている経理の方々へメッセージをお願いします。

川嶋様: スピードが命の成長企業において、経理・管理部門がボトルネックになってはいけないと感じています。当社は、マネーフォワード クラウドの製品を連携して活用するグループ統一の規格としてシステムを導入したことで、子会社の事業立ち上げ速度を落とすことなく、グループガバナンスを強化することができたと感じています。

マネーフォワード クラウドは、大企業向けのパッケージ製品と比較して、「統制」と「スピード」のバランスが非常に優れています。特に、私たちのように急速に成長し、事業構造が変化していく企業にとっては、その「懐の深さ」が最大のメリットになります。

「とりあえず取引を始めたい」というスピード優先のフェーズと、「上場準備に向けて統制をしっかり効かせたい」という厳格なフェーズ。この両方のニーズに、一つのクラウド基盤で対応できるシステムは多くありません。

もし現在、グループ経営におけるガバナンス強化と、現場の業務負荷軽減の両立に悩んでいる方がいらっしゃるようでしたら、導入を検討されてみてもいいのかなと思います。

公開日:2025年12月4日 公開当時の情報となります

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GO株式会社は、「移動で人を幸せに。」をミッションに、モビリティ領域を軸とする多様な事業・サービスを展開しています。タクシーアプリ『GO』を主軸に、法人向けサービス『GO BUSINESS』や、脱炭素サービス『GX(グリーントランスフォーメーション)』などを提供。時代に合わせた「移動」のアップデートを通じて、日本の社会課題の解決を目指します。
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