株式会社奈良機械製作所

全社DXのきっかけとなった請求書発行業務改善──100年の歴史を持つ粉体処理装置トップメーカーが選んだ「請求書発行・送付システム」

株式会社奈良機械製作所 営業部 営業サポート第2グループ 小林 理絵 様
営業部 営業サポート第1グループ 中原 裕子 様
奈良機械販売株式会社 取締役副社長 南 昭司 様
  • 課題

    ・使い慣れている基幹システムは大きく変えずに、法改正に対応する方法を検討していた
    ・毎月約200通の請求書を「印刷、押印、三つ折り、封入」という手作業で郵送しており、効率化の余地があった
    ・お客様からの請求書に関する問い合わせ対応に時間がかかっていた

  • 結果

    ・基幹システムを大きく変えることなく、スムーズに法改正対応できただけではなく、他領域業務の効率化検討のきっかけとなった
    ・請求書送付業務にかかる時間を大幅に改善。「1通あたりの作業時間が3分の1」に短縮された
    ・システム上で請求書送付履歴が確認でき、お客様の問い合わせに対して即座に回答できるようになった

創業100年を超える粉体処理装置のトップメーカー、株式会社奈良機械製作所様。同社は2023年に始まった「インボイス制度」への対応をきっかけに、長年続けてきた紙中心の請求書発行・送付業務の抜本的な見直しを決断されました。

今回は「マネーフォワード クラウドインボイス」(請求書発行・送付システム)の導入を主導された南様と、実務を担当されている小林様、中原様のお三方にインタビューを実施。

基幹システムの高額な改修費用という課題に直面し、いかにして請求書の電子化に対応されたのか、そしてシステム導入によって得られた変化や、今後のDXへの展望について詳しくお伺いしました。

求めたのは法改正対応と請求書送付工数の圧縮

――御社の概要と事業内容について教えてください。

南様:株式会社奈良機械製作所は、粉体処理装置を手がける会社です。現在は粉砕機だけでなく、粉を乾燥させたり、混ぜ合わせたりといった、さまざまな粉体関連の装置を幅広く扱っており、それらの製造・販売を事業の中心に据えています。1924年に東京の品川・鮫洲で創業し、現在は大田区の城南島に拠点を移して40年ほどになります。ちょうど昨年(2024年)に、創業100周年を迎えました。

――ご担当者様の担当業務について教えてください。

南様:「マネーフォワード クラウドインボイス」を導入した2023年当時は、奈良機械製作所の営業の部長を務めていました。そして2025年4月から関連会社である奈良機械販売株式会社へ出向し、取締役副社長として勤務しています。

小林様:私は本社の営業部にある営業サポート第2グループでリーダーを務めています。主な業務は、最前線で活動する営業担当のサポート業務です。具体的には、お客様からのお問い合わせ対応から、部品や修理の見積もり作成、手配、そして請求までの一連の業務を担当しています。また、営業担当から依頼される業務を私が一旦受け、グループのメンバーに割り振り、メンバーが作成した書類の確認をする役割も担います。

中原様:私は営業サポート第1グループに所属しています。基本的な業務内容は、小林がお話しした内容と同様で、営業担当のサポート業務を行っています。装置販売後の、摩耗・消耗した部品のご注文への対応が主な業務です。そのほか、請求作業やお客様からの入金確認といった、お金の管理に関わる部分も私たちサポートグループが担当しています。

――請求書発行・送付業務に関わる社員の人数構成、それぞれの役割について教えてください。

小林様:請求書関連の業務には、営業サポート第1グループの3名と、私の所属する第2グループの4名、合計で7名が関わっています。営業部には3つのグループがありますが、外出が多い営業担当のデスクワークをサポートするために、私たちサポートグループが2つに分かれて対応している形です。

南様:営業担当はどうしても外に出る時間が多い仕事ですから、お客様から頼まれた資料を探したり、見積もりを作ったりといった事務的な仕事は、できる限りサポートチームに担ってもらっています。サポートチームも人数が多いので、2つのグループに分けて効率的に業務を進めている状況です。

――マネーフォワード クラウドインボイス導入前の課題について詳しく教えてください。

中原様:一番の課題は、インボイス制度への対応でした。制度開始に伴い、請求書に登録番号を入れるなどフォーマットを変更する必要が生じました。それまでは、基幹システムのフォーマットで請求書を印刷し、それに印鑑を押してお客様に郵送していたのですが、そのフォーマットがインボイス制度に対応しておらず、改修に高額な費用がかかることがわかりました。そこで「何か別の方法はないか」と考え始めました。

南様:基幹システムのカスタマイズ費用は、マネーフォワード クラウドインボイスの導入と比較して、10倍以上の開きがあったと記憶しています。

小林様:請求書の発行業務にかかる工数も大きな課題でした。マネーフォワード クラウドインボイス導入以前は、毎月200通ほどの請求書を「印刷し、印鑑を押し、三つ折りにし、封筒に入れて糊付けして郵送する」という一連の作業が発生し、本当に大変でした。請求書発行までの流れは、まず基幹システムに受注内容を入力し、製品を出荷した後に売上を計上します。私たちサポート担当は、出荷報告の書類を受け取ると基幹システムで売上処理を行い、その売上情報をもとに、基幹システムから請求書を印刷していました。

「10分の1のコスト減」で導入。実感した「使いやすさ」とスムーズなシステム連携

――マネーフォワード クラウドインボイスを導入検討し始めたきっかけは何でしたか?

南様:やはり、インボイス制度への対応で、既存の基幹システムのフォーマット改修に非常に高額な費用がかかる、とわかったことが直接のきっかけです。カスタマイズは可能だけれども、コストを考えると現実的ではない。そこで、何か他の方法はないかと、私自身がインターネットで情報を探し始めました。当時はインボイス制度対応という課題だけが頭にありましたが、調べていくうちに、請求書発行ソフトだけでなく、ワークフローや営業管理、名刺管理といった様々なソフトがあることを知り、視野が広がっていきました。こんなサービスがあるのかと、調べていて面白くなってきたのを覚えています。

――マネーフォワード クラウドインボイスと他社サービスは比較されましたか? また、第一印象も教えてください。

南様:当時はコロナ禍で営業活動も制限されていた時期だったので、インターネットで様々なサービスを調べました。そして、最終的にマネーフォワードを含めた3社で比較検討しました。決め手になったのは、まず「基幹システムとの連携がスムーズにできそうだ」と感じた点です。基幹システムから出力できるCSVデータと連携して請求書の自動作成・送付できる点が、我々の運用に合っていると思いました。また、コスト面でも他社よりメリットがあったと記憶しています。

小林様:担当の方の対応がとても良かったのも印象に残っています。そして、実際に触ってみると、画面がシンプルで使いやすいと感じました。

南様:当時の営業担当の方が非常に丁寧に説明してくださり、何度もウェブ会議を重ねた記憶があります。費用がかかることなので、社内調整もそれなりに必要でした。そういった我々の事情も汲んで相談に乗っていただき、本当に一緒にプロジェクトを進めてもらった、という感覚があります。

――歴史のある御社のDX推進において、大変だったことはありますか?

南様:弊社は当時、ちょうど社長が交代したタイミングで、会社全体でDXを積極的に推し進める気運が高まっていました。導入に関する社内調整は必要でしたが、大きな障壁があったわけではありません。やらなければいけないことでしたから、複数の見積もりを取るなど、然るべき手順を踏んで説得しました。導入によって郵送作業の削減など様々なメリットがあったので、社内調整は比較的スムーズにできました。

想像以上にスムーズだった取引先の受け入れ。郵送業務の工数を月間33時間以上削減

――導入後の感想を、管理者目線・現場の社員目線それぞれでお聞かせください。

南様:導入の狙いだった「インボイス制度対応とコスト削減」を達成したことはもちろん、郵送業務が劇的に楽になったインパクトは非常に大きいと感じます。

また、いくら当社で請求書を電子化したくても、お客様に受け入れてもらえるものかが気がかりでした。ところが、案内文を丁寧に作成したこともあり、想像よりもスムーズにペーパーレスへ移行できました。今や郵送しないのが当たり前の時代になりつつあるので、タイミングも良かったのかもしれません。また「マネーフォワード クラウドインボイス」の導入がきっかけで、私自身の視野が広がって、営業管理システム(SFA・CRM・MA)の導入検討にもつながりました。

中原様:現場の視点では、お客様からの請求書に関する問い合わせ対応が、格段に速くなりました。以前は「誰が送った請求書か」を社内で探すところからのスタートでしたが、マネーフォワード クラウドインボイス上では送付履歴データが残っているため、誰がいつ対応したか一目瞭然です。これにより、お客様をお待たせすることなく、速やかに回答できるようになりました。

小林様:クラウド上に請求書の控えが保存できるようになったのも便利です。また「郵送で送ってほしい」というお客様も数社いらっしゃるのですが、システム内で「郵送代行*1」も選択できるため、個別対応でき非常に助かっています。請求書のフォーマット作成は、あまり得意ではなく不安でしたが、マニュアルが非常に充実していたので、それを見ながら問題なく設定できました。

*1 郵送代行をご利用いただくにはオプション料金が必要になります。

――導入をきっかけに、業務フローは変化しましたか?

中原様:業務フローは劇的に変わりました。以前は1通あたり「印刷して、印鑑を押して、封筒に合わせて三つ折りにして、中に入れて、送り状を作って」と、15分くらいはかかっていました。それが今では、CSVをダウンロードして、システムにインポートして、送信設定するだけです。1通あたりの作業時間が10分以上は短縮されたと思います。これが月に200通近くあるので、トータルで33時間以上と、相当な時間の削減になっています。「もう、昔の紙で送っていた頃には絶対に戻れない」と強く感じています。

小林様:請求書用に会社で専用の封筒を発注していましたが、それも不要になりました。郵送料金はもちろん、封筒の発注コストも完全になくなりました。

精神的にも、月末の締め作業の負担が大きく軽減されました。以前は紙の山に埋もれるような感覚でしたが、今はすべてPCの画面上で完結するので、気持ちに余裕が生まれました。

南様:お客様の業種は様々で、比較的大きな会社が多いのですが、メール送付できないケースはごく一部でしたね。郵送という選択肢を残しつつ、ほとんどのお客様に電子化を受け入れていただけたのは予想を超える成果でした。

――マネーフォワード クラウドインボイス以外にも、DXに向けて導入したシステム、導入予定のシステムなどございますか?

南様:基幹システムも、新しいバージョンへの見直しを進めています。経費精算システムについては、すでに「マネーフォワード クラウド経費」を導入済みです。また、今回の検討をきっかけにSFA、CRM、MAを兼ね備えた営業管理システムも導入することになり、現在、導入作業中です。そのほか、書類・図面管理システムの導入なども進めており、外部のコンサルタントとも連携しつつ、様々な分野でDXを進めています。まさに今、全社を挙げてDXを推進していますが、マネーフォワード クラウドインボイスの導入は、インボイス制度対応という目前の課題解決にとどまらず、DX推進の良い刺激になったと思います。

DXの第一歩にも。請求書発行・送付業務のシステム化が業務全体を見直すきっかけに

――請求書発行・送付システムの導入を検討している企業様に、導入メリットやお勧めしたい機能・使い方などがあれば教えてください。

南様:我々は、インボイス制度対応という目前の課題に迫られて導入を決めましたが、結果的に、請求書業務の効率化という副次的なメリットを大きく享受できました。目の前の課題解決だけでなく、業務全体を見直す良いきっかけになるのではないでしょうか。DXの第一歩として、マネーフォワードのサービスは非常に有効な選択肢だと思います。

小林様:「マネーフォワード クラウドインボイス」で特に便利だと感じるのは、予約送信機能です。弊社では製品を出荷したタイミングで請求書が発行できる状態になります。以前は、そのタイミングで請求書を郵送すれば、荷物より後に請求書が届くのが普通でした。しかしメールの場合、出荷後すぐに送信すると「お客様の手元に荷物が届くより先に請求書が届く」可能性があります。それを防ぐために、予約送信機能を使って、数日後に送信する設定にできるのが非常に便利です。自分の仕事のスケジュールに合わせて、空いた時間に請求書作成と送信予約を済ませておけるので、業務の平準化にもつながっています。

中原様:メールで簡単に請求書を送れるようになったのが一番のメリットです。先ほども言いましたが「紙の請求書には、もう二度と戻れない」と心から思っています。手作業による郵送業務に少しでも負担を感じている企業様には、ぜひおすすめしたいです。

公開日:2025年10月30日 公開当時の情報となります

株式会社奈良機械製作所
奈良機械製作所は1924年創業、東京都大田区に本社を置く研究開発型の産業機械メーカーです。 100年以上の歴史を背景に、化学・食品・医薬業界など幅広い分野に粉砕機・乾燥機・混合機・表面改質機などの粉体処理装置をオーダーメイドで提供しています。 品質にこだわったものづくりと開拓精神をもち、あくなき挑戦で、課題解決力と柔軟な対応力を発揮。 常に御客様に最適な装置設計・装置開発を追求しています。