株式会社イングリウッド

M&Aの裏で、担当者一人が数週間で導入。ブラックボックス化した連結決算からの脱却。

株式会社イングリウッド 経理財務部長 森田様
  • 課題

    ・複雑な計算式や多数のシートでの構成により、レビュー時の検証が困難だった
    ・子会社数の増加により、手作業による連結決算業務には限界を感じていた

  • 結果

    ・担当者一人が 他の業務と並行しながらも、数週間でシステム導入することに成功
    ・各子会社の会計システムが違っても、スムーズにデータを合算できるように
    ・単体の決算業務と並行して、連結の決算業務も進行できるように
    ・連結決算のプロセスが可視化され、業務の引き継ぎや分担が可能な体制の基盤が整った

在外子会社2社を含む、グループ企業5社の連結決算
「リテールに革命を」をビジョンに、小売業界が抱えるあらゆる課題を解決するデータソリューションカンパニーである株式会社イングリウッド様。冷凍おかずの定期便「三ツ星ファーム」をはじめ、多様なジャンルにおいて自社ブランドでの商品企画・開発、販売を行うBtoC事業と、データや知見を活かしたコンサルティング、マーケティング支援を行うBtoB事業を展開されています。
現在、アメリカや中国に拠点を置く在外子会社2社を含む子会社4社分の連結決算業務を、マネーフォワード クラウド連結会計を利用して実施されています。今回は導入の経緯や導入後の変化、活用方法などを、同社の森田様に詳しく伺いました。

「作った人にしか分からない…」ブラックボックス化した連結決算業務

マネーフォワード クラウド連結会計を導入する以前は、表計算ソフトを用いて連結決算業務を行っていました。

表計算ソフトは非常に柔軟性が高く、自由に計算式を組んだり、フォーマットを作成したりできる点が魅力です。しかし、その自由度の高さが、結果的に業務の属人化という大きな課題を生んでいました。
連結決算のファイルは複雑な計算式や多数のシートで構成されており、作成した担当者でなければ、どの数字がどこから参照されているのか、その計算ロジックが何を意味しているのかを正確に把握することが困難な状況でした。そのため、レビュー時の検証も難しく、レビューをする側の負担が大きい上、ミスを見逃してしまうリスクを常に抱えている状況でした。

また、事業の成長に伴い子会社の数も増え、表計算ソフトでの管理は限界に近づいていました。ファイルのバージョン管理が非常に煩雑で、どれが最新のファイルなのか分からなくなってしまうこともありました。

上記のような理由から、会社の規模が拡大していく中で、このまま表計算ソフトでの運用を続けることは、もはや不可能だと感じていました。

M&Aと並行したシステム導入。担当者一人、数週間で導入できた手軽さ

連結決算業務の属人化を解消し、より効率的で正確な体制を構築するためには、システムの導入が不可欠だと考えていました。様々なシステムを比較検討する中で、最終的にマネーフォワード クラウド連結会計を選んだのには、いくつか理由があります。

一つ目は、公認会計士がプロダクトマネージャーとしてシステム開発に関わっているという点です。
連結会計特有の複雑な論点や、実務担当者がつまずきやすいポイントを深く理解した上で設計されているのだろうという期待がありました。その点で、導入前からシステムに対する信頼感と安心感は非常に大きかったです。

そして二つ目は、導入の手軽さです。こちらは特に導入の上で大きな決め手となりました。
実は、当社の連結決算業務は、当時ほぼ私一人で担当していました。それに加えて、単体決算全体の承認作業や、M&Aが実施された際のPMI(統合プロセス)など、他にも多くの業務を抱えている状況でした。実際にシステムの導入のタイミングは、グループ会社1社のPMIをまさに進めているときでした。
このような状況で、導入に何ヶ月もかかるような大規模なシステムは現実的ではありませんでした。その点、マネーフォワード クラウド連結会計は、工数面でも費用面でも非常に手軽に導入できる点が魅力的でした。
実際に導入後2〜3週間で、前年度の連結決算の再現をシステム上で行うことができ、その後1〜2ヶ月で運用や細かい設定を詰めることができました。この「導入の手軽さ」が、限られたリソースの中で最大限の成果を出さなければならない私にとって、何よりも重要なポイントだったのです。

単体決算とほぼ同時に連結決算も完了できるように

M&Aの裏で、担当者一人が数週間で導入。ブラックボックス化した連結決算からの脱却。

マネーフォワード クラウド連結会計を導入したことによる効果として、各子会社の会計システムが違っても、スムーズにデータを合算できるようになった点があります。
特に海外子会社からの連結パッケージの収集において、こちらの要望とは異なるフォーマットで共有をされるケースがよくあります。そういった状態でも、多少の調整でスムーズに合算ができるところはありがたいです。

もう一つ感じている嬉しい変化は、決算の早期化です。
表計算ソフトで運用していた頃は、すべての子会社の単体決算が確定するのを待ってからでないと、連結の作業に取りかかることができませんでした。しかし、今では仮締め段階の単体会計の数値を先にもらい、暫定での合算作業や親子間での取引の照合などの作業を進めることができるようになりました。表計算ソフトのときのようなファイルのバージョン管理の煩雑さから解放されたため、後から確定値に差し替えるといった柔軟な対応が可能になったのです。その結果、単体の月次決算が締まるのと、ほぼ同じタイミングで連結決算も完了するという、以前では考えられなかったスピード感を実現できています。

さらに、Googleスプレッドシートとのアドオン機能も、私たちの業務に新たな価値をもたらしてくれています。 経営企画室では、管理会計のためにGoogleスプレッドシートを用いて様々なデータを管理しています。この連携機能を使うことで、連結会計システム上のデータを、ボタン一つでGoogleスプレッドシートに反映させることができるようになりました。これにより、経営企画室でのデータ収集や財務分析が楽になったと聞いています。

「子会社3社になったら」がシステム化の潮時

私自身、以前は監査法人に勤務していました。その経験から、子会社が3社か4社になった時点で、連結決算はシステム化するのが得策ではないかと考えています。
表計算ソフトでの管理は、一見するとコストがかからず手軽なように思えますが、会社の成長とともに必ず限界が訪れます。そして、その運用は作成した本人にしか分からないブラックボックス状態になりがちです。

これは、監査をする立場から見ても同様です。表計算ソフトの複雑な計算式を一つひとつ追いかけ、その正当性を確認する作業は非常に骨が折れます。作業の背景が作った人にしか分からず、監査コストが無駄にかかってしまうのです。その点、システム化されていれば、処理のプロセスが明確で、誰が見ても分かりやすい。これは監査を受ける企業側にとっても、大きなメリットになると考えています。

当社では現在、経理メンバーを中心に20名近くにマネーフォワード クラウド連結会計のアカウントを付与していますが、実際の連結作業はまだ私が一人で担っている状況です。
今後は、システムならではの強みを活かして、この体制を変えていきたいと考えています。例えば、子会社の担当者には自社のデータ入力とチェックまでを担当してもらうなど、複数人で業務を分担するといったイメージです。システムを「一人で使う便利なツール」から、「チームで使う業務基盤」へと進化させ、会社全体の経理体制をさらに強化していくことが、今後の目標です。

※掲載内容は取材当時の情報です。

公開日:2025年9月26日 公開当時の情報となります

株式会社イングリウッド
「リテールに革命を」をビジョンに、小売業界が抱えるあらゆる課題を解決するデータソリューションカンパニー。冷凍おかずの定期便「三ツ星ファーム」をはじめ、食品・ビューティー・ヘルスケア・ヘアケア・アパレル・雑貨など多様なジャンルにおいて自社ブランドでの商品企画・開発、販売を行うBtoC事業と、それらを通じて蓄積してきたデータや知見を活かしたコンサルティング、マーケティング支援を行うBtoB事業を展開。