
統合型クラウド会計ソフトからマネーフォワードクラウドに移行 将来を見据えた経営基盤の確立を実現
課題
・従来利用していた統合型クラウド会計ソフトは管理帳票が出力できない等、単体での運用に限界があった。別システムと併用せざるを得ない状況だった。
・自社は経理経験者が中心の体制であり、専門知識を活かせる仕組みを求めていたため、より実務に即した仕様のシステムを必要としていた。
・分析には表計算ソフトでの煩雑な加工が必要で、時間を十分に割けない状況にあった。結果
・コンポーネント型ERPの特性を活かし、事業の成長に応じて運用やシステム構成を見直しやすい体制になった。
・一般的な会計システムに近い操作性で、新たな人材が加わっても短期間での習得ができる一方、他システムとのデータ連携によって手入力や二重作業を省き、業務効率化できた。
・マスタ管理によってデータが整理され、分析の基盤ができた。また、監査法人から「見やすい」と評価されるなど外部対応や経営への貢献度も高まった。
今回は、同社が進めたマネーフォワードクラウドの導入プロジェクトについて取材しました。導入を検討するに至った背景や選定の基準、さらに導入後に得られた成果について詳しくお話を伺いました。
管理部の負担を減らし、経営に貢献する体制づくりへ
ーー会社の概要と事業内容について教えてください。
牧野さん:本社を福岡に構えるスカイディスクは、2013年の創業から着実に成長を続け、今年で12期目を迎えました。掲げるミッションは「ものづくりをもっとクリエイティブに」。製造業に特化し、AIが生産計画を自動で立案するSaaSを提供しています。社員数は約40名で、エンジニアが10名ほど在籍しており開発を支えています。現場の声を反映した小規模な改善を日々重ねるとともに、数か月に一度は大きなアップデートを実施。
直近では新機能に関するセミナーを開催するなど、ユーザーとのコミュニケーションにも積極的に取り組んでいます。
ーーご担当者様の担当業務と、所属部署の人数構成について教えてください。
牧野さん:管理部は現在4名体制です。私はマネージャーとして法務や企画、承認フローの運用、仕組みづくりなど部門全体を統括しています。システム導入時には運用方針を定め、導入後の定着までを見届ける役割を担いました。
残るメンバーは実務担当が2名で、経理や総務、営業事務のほか、労務や採用といった人事業務を担当しています。ほか1名は役員兼部長で、部門方針の策定や意思決定を担う立場にあります。
ーー既存システムの料金改定がきっかけと伺いました。当時、どのような経緯で『システムを変えよう』と判断されたのでしょうか?
牧野さん:既存システムは私の入社前に導入され、長らく利用を続けてきましたが、料金体系の見直しをきっかけに再検討を始めました。ちょうど事業の方向性を見直すタイミングでもあり、「今なら切り替えてもよい」と判断しました。将来に向けた体制づくりを進める時期でもあったため、システム変更に取り組む余地がありました。
ーー実際に既存システムをご利用されていた際、機能面や使い勝手の部分で課題を感じることはありましたか?
牧野さん:当時は会計処理を担う既存システムをメインに利用していましたが、単体では十分な機能が備わっていませんでした。そのため、経費精算や債権管理については別のシステムを組み合わせ、不足を補う形で運用し、「まあいいか」と思いながら使い続けていました。
ただ、その会計システムは画面操作が重く、画像をアップロードするだけでも待ち時間が発生していました。業務に必要な帳票類、例えば支払調書を作成する際に使うデータを出力できない点も不便に感じていました。さらに、タグ入力などの運用に手間がかかり、簿記の仕訳ベースではなく取引ベースで構築された設計思想も使いづらいと感じていました。懸念点はあったものの、別システムとの併用で業務は回せており、コスト面で大きな負担もありませんでした。
既存システムは「知識がなくても使える」ことを前提とした仕様でしたが、私は経理や会計の実務経験があり、未経験者を採用する予定もなかったため、現場に寄り添った仕様の方が適していると考えていました。
ーーマネーフォワードクラウド以外に比較されたシステムはありますか?もしあれば、それぞれの印象について教えてください。
牧野さん:既存システムの料金改定をきっかけにリプレイスを検討した際、真っ先に候補として浮かんだのがマネーフォワードクラウドでした。将来の成長を見据えた運用を考えると、選択肢は既存システムを使い続けるかマネーフォワードクラウドに切り替えるか、その二択だと感じました。
マネーフォワードクラウドは、一般的な会計システムに近い操作感を持つクラウド会計システムだと考えていました。実際に会計士の上司も「マネーフォワードクラウドなら監査にも十分対応できる」と評価しており、その言葉が後押しになりました。
連携・柔軟性・操作性、三つの視点で比較検討
ーー比較検討の基準、ポイントになったことは何でしたか?
牧野さん:リプレイスを検討する際も、経費精算や債権管理を担っていた別システムは継続して使いたいと考えていました。理由は、そのシステムに申請ワークフローを集約していたためです。そこで、まずは「別システムと連携できるかどうか」を最初の基準に据えて検討を進めました。
一方で、マネーフォワードクラウド単体でも申請業務を完結できると聞いていました。すぐに全ての機能を切り替える必要はありませんでしたが、将来的に別システムだけでは耐えられなくなった場合に、マネーフォワードクラウドに移行できる柔軟性は大きなメリットだと感じました。
ーーその他に、重視された点はありましたか?
牧野さん:現状は別システムの使いやすさを評価し、無理にすべてをリプレイスしない方がよいと判断しました。ただし、将来的な事業や環境の変化によっては、システム構成を柔軟に変えることもあり得ると考えていました。その点で、必要な機能を組み合わせられる「コンポーネント型」のマネーフォワードクラウドを選ぶのが良いと結論づけました。
さらに、マネーフォワードクラウドは会計の標準的な概念に基づいて設計されていたため、直感的な操作ができることも利点でした。従来のシステムは独自の概念を持っていたので、新しい従業員が習熟するまでに時間がかかると感じていました。今後、人事異動や採用で管理部の人員が入れ替わった場合でも、誰もがスムーズに業務を引き継ぐことができるマネーフォワードクラウドなら安心だと思いました。
ーーマネーフォワードクラウドを導入した決め手を教えていただけますか?
牧野さん:従来の会計システムは単体では十分に活用できませんでしたが、マネーフォワードクラウドは、将来的に単独で運用できる点が決め手となりました。今後の企業成長を長期的に見据えたとき、管理部の人員が入れ替わっても、使い続けられるシステムが必要だと考えました。
また、マネーフォワードクラウドは機能が充実しており、状況に応じて利用範囲を広げられる柔軟性も大きな魅力でした。必要に応じてシステムを一本化できる点も安心材料になりました。さらに、従来のシステムではタグ管理が必要でしたが、マスタ管理により情報を整理しやすくなったことも評価できるポイントでした。
ーー導入時はスムーズに進みましたか?
当時は既存システムの料金改定期限が迫っていたため、約2か月という短期間で導入を進める必要がありました。月次決算を毎月初の4営業日までに完了させるという目標もあったため、遅れを防ぐべく「何をどこまで完了させるか」とタスクの優先順位を明確にして取り組みました。
限られた期間での導入となりましたが、マネーフォワードクラウドのCS担当が迅速にサポートしてくれたおかげで、大きな問題は発生せずスピーディーに導入を終えることができました。
管理部の効率化と現場の満足度を同時に実現
ー導入後、マネーフォワードクラウドを利用した感想について、管理者目線、現場の社員目線で教えてください。
牧野さん:管理者としては、補助科目などの推移をデータで確認できるようになり、分析がしやすくなりました。従来のシステムでは分析が難しく、表計算ソフトで加工する必要がありましたが、その負担が大きく減ったと感じています。
一方で、現場の担当者からは「見やすくなった」「わかりやすくなった」といった声が寄せられています。操作性が改善したことで作業のストレスも減ったようです。
ー導入後の定量的な変化について教えてください。
牧野さん:以前は承認プロセスが曖昧で「月初にまとめてやればいい」という運用になりがちでした。しかし今回の導入をきっかけに「入力 → 管理者が確認 → 上司が承認」というフローを確立できたことも嬉しい変化です。フローが整ったことで、入力担当者が月内に処理を前倒しで進められるようになりました。その結果、月初の残業時間も減少しました。以前は21時頃までかかっていましたが、今では19時頃に帰宅できるようになりました。
ー定性的な変化はありましたか?
牧野さん:画面を直感的に見て分析できるようになったことで、心理的な負担が軽くなりました。特に、「表計算ソフトで加工しなくてはならない」というストレスや、余計な手間がなくなったことが大きいです。
月初の業務に対しても気持ちが前向きになり、「よし、また月初がきたぞ」と思って取り組めるようになりました。他にも、マスタ管理によってデータが整理され、分析の基盤が整ったことも成果の1つです。監査法人からも「見やすい」と評価いただくなど、外部対応や経営への貢献度も高まったと感じています。
経営に役立つ管理部を目指して
ーー今後、どのような管理部体制をめざしていきたいですか?
牧野さん:マネーフォワードクラウドの給与や年末調整といったHR製品も導入しているため、現在は勤怠プロダクトにも関心を持っています。当社のようなフルフレックス、フルリモート、時短勤務者にも対応できると聞いており、タイミングを見て検討を進めたいと考えています。
また、マネーフォワードクラウドを導入したことで、分析に取り組める土台が整ってきました。今後はクラウド上のデータを活用して分析を深め、取締役会の資料作りにも注力して、経営に貢献できる管理部をめざしていきたいです。
ーーご導入を検討している企業様に、導入におけるメリットやお勧めしたい機能・使い方等コメントがあれば教えてください。
牧野さん:急ぎのリプレイスではありましたが、私自身がシステム移行に慣れていたこともあり、スムーズに対応することができました。マネーフォワードのCS担当も反応が早く、的確に指摘やフォローをしてくれたおかげで、納期に間に合ってよかったです。
ただし、短期間での導入をうまく進められるかどうかは、社風やチームの余力によるところが大きいと感じました。導入直前はどうしても想定外の事項がでて慌ててしまうものなので、これから導入を検討される企業には、できるだけ余裕を持って進めていただきたいと思います。
公開日:2025年9月11日 公開当時の情報となります

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