
創業140年の駅弁メーカーがバックオフィス業務をデジタル化!紙の書類作業や手入力を全面見直し、業務を再構築
経理部 課長 橋山様
システム管理部 課長 田中様
課題
・経費精算に関わる書類を手入力していたため、経費精算の仕訳に時間がかかり、業務負担が大きかった。
・出社をしないと作業できない体制だったため、柔軟な働き方に対応できていなかった。
・バックオフィスのシステムがバラバラのシステムで、データ連携に手間がかかっていた。結果
・経費申請や支払い業務のクラウド化により、出張先やリモートでも入力・確認が可能に。作業効率が大幅に向上。
・経費、債務支払、勤怠管理などバックオフィス全体のデジタル化が進み、ペーパーレス化を促進。
・異動による人員減でも、システム活用で残業ゼロを維持。業務の属人化も解消された。
今回は、そんな荻野屋が進めたマネーフォワードクラウド会計Plus・経費・債務支払などの導入プロジェクトについて取材。
横川という人材確保が難しいエリアだからこそ、DXによる業務標準化・効率化が不可欠だったと語る同社の皆様に、導入までの苦労やマネーフォワードクラウド選定の決め手、導入後の効果について、詳しくお話を伺いました。
時代に合わせて変革する駅弁の老舗・既存システムの悩みとは?

――創業140年以上と長く歩まれてきた中で、どのような事業展開をされてきたのでしょうか。
佐々木様:
弊社は、今年で創業140年を迎えます。もともとは群馬県・横川で旅館業からスタートした会社で、当時は政治家や文豪の方々にもご利用いただくような、落ち着いた宿を営んでいました。
その旅館で提供していた“おにぎり2個とたくあん”を駅で販売したのが、駅弁事業のはじまりです。それ以来、鉄道の発展とともに駅弁文化を育ててきました。電車の窓を開けて、旅の途中で駅弁を味わうといった、時代ならではの風情もありましたね。
電車の高速化による停車時間の短縮や駅弁を食べる時間の減少により、ホームでの販売が難しくなったことから、私たちも事業の展開方法を見直してきました。
――近年、特に注力していることがあれば教えてください。
現在では、路面店や高速道路のサービスエリアへの出店に加えて、ドライブインの直営店舗や百貨店などへのテナント出店にも取り組んでいます。以前は団体旅行のバス客をメインのターゲットにしていましたが、コロナ禍を経て大型バスが激減したことをきっかけに、事業方針を再考しました。
最近は、若い世代への認知拡大にも力を入れており、アニメやゲーム作品とのコラボ釜めしも積極的に展開しています。加えて、ECサイトでの販売や高級路線の店舗オープンなど、時代に合わせて柔軟に事業を変革させることに注力しています。
――ご担当者の皆様の業務内容や役割について教えてください。
佐々木様:私は統括管理部の執行役員部長として、鉄道会社関連の営業業務をはじめ、総務、社内DXの推進、システム選定など、複数の領域を横断して担当しています。
もともとマネーフォワード クラウドとは別のシステムを利用していましたが、会計・経理・人事といった業務を一元管理する必要性を感じ、導入プロジェクトに参画しました。
橋山様:経理部の課長を務めています。現在、マネーフォワードクラウド会計・クラウド経費を活用しながら、日々の資金管理や決算に向けた会計処理を担当しています。
田中様:システム管理部の課長として、マネーフォワード導入時の初期設定やデータ移行を担当しました。具体的には、それまで別システムで管理していた販売管理データを抽出し、売上・仕入データとしてインポートする対応を行いました。既存のデータを無駄にせず活かせるよう、初期設定から移行作業まで広く携わりました。
――経理部門・システム部門の体制や役割分担について教えてください。
橋山様:経理部門では「月次決算を5営業日以内に完了させること」を目標に、日々の管理業務に取り組んでいます。しかし、既存システムでは入力や集計に時間がかかり、業務効率化しきれていませんでした。
田中様:システム部門のKPIは、「社内システムのクラウド化率を高めること」です。以前は、給与計算や月次決算の時期になると、必ず出社して作業する必要がありました。クラウド化によって対応スピードを早めて、どこからでもアクセスできる環境を作り、柔軟な働き方を実現することも目標でした。
DX推進のプロジェクトの立ち上げで、採用難エリアの業務効率化をクラウドで実現
――マネーフォワード クラウド製品の導入前の課題と導入の背景について教えてください。
佐々木様:群馬県の横川は人口が少なく、採用活動が難しい地域のため、システムを活用した業務効率化や生産性向上が不可欠でした。逆に言えば、地理的に採用が難しいエリアであっても、全社的なDX推進としてクラウド化が進めば、採用面・業務効率の両面で強みになると考えました。
こういったこともあり社内でプロジェクトとしてDX化を進めることになりました。
田中様:既存システムの保守期限が近づいていたことも、リプレイスを検討した大きなきっかけです。また、既存システムはインストール型のためリアルタイム性がなく、出社しないと対応できない点も課題でした。
経費精算についても、ツールとの連携を行わず社員が手入力で対応しており、月に200〜300件の経費精算が月末に集中する状態でした。CSV出力やExcelを経由して手入力することも可能でしたが、実務としては非効率で、銀行データも自動連携できず、通帳を見ながら一件ずつ入力する必要がありました。
橋山様:以前は、紙の帳票を見ながら手入力していたため、業務負担は非常に大きかったです。本社が横川、拠点が東京など複数に分かれており、経費精算書類を本社に集めるのも一苦労でした。
日当の現金精算時には、出張レポートを紙で本社に持参して提出する必要があり、繁忙期は煩雑を極めました。さらに、出張精算には事前申請が必須で、出張後には報告書や日当申請書、レポートなど複数の書類が必要となる点も課題でした。
田中様:以前使用していた経費精算システムと既存システムとのCSV連携を試みたこともありましたが、出力からインポートをする一連の作業に手間がかかるため、結局手作業で対応していました。支払明細と仕訳が連動しておらず、整合性確認がやりづらかったため、いっそ新しい仕組みに切り替えたほうが早いという結論に至りました。
複数サービスを比較し、全社のDX推進に適したクラウドシステムを選定

――システム移行をするにあたって、どのように検討を進められましたか。
橋山様:総務・経理の機能を一元的に管理できるシステムへの移行を目指し、まずは複数社に問い合わせを行いました。そこから、資料や説明内容をもとに候補を絞り込み、比較検討を進めました。
特に重視したポイントは次の4点です。
- 各システムとの連携性
- 操作性(特にITに詳しくない社員でも使いやすいか)
- 給与や雇用契約などを含めた一元管理のしやすさ
- 初期費用とランニングコストのバランス
比較検討の過程では、各社のメリット・デメリットを丁寧に洗い出しました。クラウドシステムの中には総務・給与領域に特化しているものもありましたが、会計機能を備えていないものも多く、当社の要件には合いませんでした。
一方、マネーフォワード クラウドは、会計機能と人事労務領域の両方に対応しており、操作性・連携性・拡張性の観点で、当社にフィットしていると判断しました。
――複数社あった中でマネーフォワード クラウドを導入した決め手を教えてください。
橋山様:会計機能の自動化・汎用性の高さが決め手となりました。インターネット環境があればどこからでもアクセスできて、リアルタイムで口座や経理の他システム 会計と連携できるなど、会計業務の自動化に特化しつつ汎用性が高い点が導入の決め手になりました。
また、シフト作成で利用しているシステムとクラウド勤怠の連携もでき、既存の体制を活かしながら導入できることも魅力でした。
佐々木様:機能とコストのバランスも重視していて、マネーフォワードについてはその要件を満たしていたところも決め手になりました。
合わせて、勤怠や雇用契約や年末調整については、システムに慣れていない現場の従業員の方も使うため、使い勝手のよいものが大事というのもありました。
インターネットがあればどこでも確認でき、機能や画面も見やすく、使いやすい
――マネーフォワード クラウド製品の導入後の効果や利用後の感想について教えてください。
橋山様:以前のシステムであれば、社内でなければ作業ができませんでしたが、インターネットが繋がれば使えます。出張先でも簡単に入力ができ、リアルタイムでデータの確認ができるようになりました。画面についても次の動きや見やすさが使いやすいと感じます。
特に便利だと感じているのは、有人チャットによるサポート機能です。他社のようなAIチャットボットよりも非常に使いやすいと感じています。
また、導入後に経理部で2名が異動しましたが、マネーフォワード クラウドの導入で効率化されたおかげで、残業を増やさずに運営できています。人的リソースが減っても、業務負荷が変わらなかったのは大きな効果だと思います
田中様:以前は、対目標比較などの帳票をExcelで作成していましたが、現在はManageboardを活用することで業務が大幅に効率化されました。
また、給与計算に関連する公休や当番の手入力作業も軽減され、作業の属人化を防げるようになりました。
さらに、外部の取引先データをExcelでまとめて、マネーフォワード クラウドにインポートできるため、手入力の負担も大きく削減されました。
佐々木様:クラウド会計Plus、クラウド経費、クラウド勤怠の3つのサービスを連携させて運用することで、各システム間のデータ整合性が取りやすくなり、全体の業務効率が大きく改善しました。
導入前から期待していた自動仕訳の活用を通してヒューマンエラーが減少し、クラウド環境によるデータ連携やバックアップ体制が整ったことで、業務効率が向上しました。
勤怠に関しては、手書きの出勤簿からスマホ打刻へ、出張者の勤怠管理も紙からデジタルへと移行。給与明細も電子化が進み、ペーパーレス化が一気に加速しました。
また、Manageboardを使って損益や貸借の推移をグラフで可視化できるため、経営判断にも活用できています。導入前は紙の帳票を集めるのに時間がかかっていましたが、クラウド化により報告のスピードが上がり、経営層への判断材料として即時に提示できることも大きな変化です。
引き続き、まだ連携できていないデータまわりの業務整理を進めていきたいです。
運用定着への取り組みと、広がるシステム活用の可能性
――システム入れ替えにあたって、大変だったことはありましたか?また、マネーフォワードの導入支援はいかがでしたか。
田中様:新システムにあわせた統一ルールの策定や社内周知には少し時間がかかりました。操作に不安を抱く社員もいたため、なるべく早い段階での操作説明会やマニュアル整備を進めました。
また、各システムから出力したCSVをExcelで加工し、マネーフォワード クラウドへの取り込みを行う一連の作業も大変でしたが、それでもクラウド化に今取り組んだ方が良いと判断し、根気よく進めました。
今回はマネーフォワードの導入にとどまらず、受発注など他の業務システムも同時並行で移行していたため、全体で約1年に及ぶプロジェクトになりました。
導入支援については、マネーフォワードの担当者の方が伴走型で支援いただき、設定や業務フローの見直しも丁寧にフォローしてくださったため非常に助かりました。
導入支援を通じて気付きも多く、納得感のある支援内容だったと思います。
――マネーフォワード クラウドに今後期待していることなどがあれば教えてください。
橋山様:現在は会計・勤怠・経費を活用しており、今後は固定資産の導入も検討していきたいです。
全社的に見るとDX化は順調に進んでいますが、引き続き導入後の社員フォローにも力を入れていきたいです。操作説明会や勉強会など、マネーフォワードにもサポートしていただけたら嬉しいです。
佐々木様:今後もDXを推進していくため、マネーフォワードには継続的な情報提供や導入支援を期待しています。マネーフォワードから提供いただいた社員向けマニュアルを活用しながら、社内浸透を図っていきたいです。
マネーフォワードクラウド固定資産の導入やeラーニングシステムなどの導入も前向きに検討しています。これらのDX推進を通じて、採用や人材確保の課題を少しでも解消していきたいです。
田中様:今後は、販売管理・受注管理システムのデータと、マネーフォワードクラウドの連携を進めていきたいと考えています。マネーフォワードクラウドには、API連携機能を活用した仕組みづくりを期待しています。
――今後のチーム体制や業務についてお考えになっていることがあれば教えてください。
橋山様:さらに社内DXや業務効率化を推進していきたいです。ただし、PC操作に苦手意識を持つ社員も少なくないため、社内での意識共有も重要だと考えています。
操作説明会や勉強会に積極的に参加し、現場担当者にも丁寧に伝えていくことで、社内全体のITリテラシー向上につなげたいです。
今後もマネーフォワードと一緒に学びながら、柔軟にアップデートしていくチームを目指したいと思っています。
公開日:2025年8月26日 公開当時の情報となります

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