
これまでの人生の中で一度もプレゼンテーションをしたことがない方はそう多くはないでしょう。ビジネスパーソンの誰しもが、一度はプレゼンテーションをする機会があります。また、中には毎週のようにプレゼンテーションをしている方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、スライドシェアで約45万Viewのスライド「見やすいプレゼン資料の作り方 – リニューアル増量版」の作者である森重さんに、どうやったら見やすく、わかりやすいプレゼン資料を作ることができるのかを聞いてみました。
森重さんプロフィール
資料作成のSKETにてチーフデザイナーを担当。スライドシェアにある「見やすいプレゼン資料の作り方 – リニューアル増量版」は約45万viewを越えている。また、初心者向けバージョンは90万viewを越える人気がある。
スライドを作り始める前に…
今回のインタビューでは、森重さんの「見やすいプレゼン資料の作り方 – リニューアル増量版」の中から特に、「スライドを作り始める前に」の部分について、お聞きしました。
まずは大きな項目から考える
-最初に、1Slide=1Messageについてお聞きしたいと思います。
スライドの内容を、適切な大きさのメッセージに分解する時はどういった点に注意していますか?
森重さん:まず、プレゼンテーションを組み立てる時に、伝えたいことを大きな項目に分けます。
例えば新商品の企画についてのプレゼンテーションであれば、
ターゲットについて |
---|
競合商品について |
新商品について |
といった具体に分解します。
そして、それぞれの大項目をより細かく分解してきます。
ターゲットについて | ・年代 ・性別 ・平均年収など… |
---|---|
競合商品について | ・ベンチマークとなる商品 ・過去に販売された類似している商品 ・これまでに発売した商品など… |
新商品について | ・新商品の売りについて ・新たに追加された機能について ・ターゲットへの訴求方法など… |
-どの程度の大きさまでメッセージを分解すればいいか、目安となる考え方などはありますか?
森重さん:例えば、
「ところが」
「一方で」
などのフレーズが登場する場合はまだ分解することができる可能性が高いです。
逆に、
というレベルにまで分解できれば充分だと思います。
スライドの文章は長くても2行まで
-「必要性の考察」についてお聞きしたいと思います。スライドでは「可能な限り必要のないものは削除する」と書かれていますが、具体的にはどういったものがありますか?
森重さん:スライドを作る前にまずは下書きのようなものを作ります。
それは、紙に絵を描いても、文章で書いてもいいのですが、そこで作った下書きをスライドにする時に「可能な限り必要のないものを削除」します。
例えば、文章で下書きをした場合には「ですます」を削ることができます。これは、「ですます」がなくなっても文章の意味は変わらないからです。
他には体言止めにしたり、言葉の言い換えをしたりすることでも必要のないものを削ることができます。
-言葉の言い換えとは具体的にどうすることを指すのでしょうか?
森重さん:例えば、
といった表現があったとします。これは
と言い換えることができます。
スライドで文章を見せる時には、最低でもメイリオの18pt以上の大きさにすべきです。その上で、なるべくなら1行以内、長くても2行までにするようにすると見やすいスライドになります。
-もしも、どうしても3行以上になってしまったらどうすればいいのでしょうか?
森重さん:私でしたら例えば、図や表にすることができないかをまずは検討します。
図を使うべき場面は様々な場合がありますが、少なくとも文章で説明すると長くなってしまう、データの紹介や、前後関係、相関関係があるものは図や表を使うと見やすくなると思います。
箇条書きの使い方について
-「見やすいスライドの作り方」では「STOP箇条書き」と書かれていましたが、なぜSTOP箇条書きなのでしょうか?
森重さん:これは安易に箇条書きを使ってほしくないと思っているからです。
パワーポイントを使用すると、最初の設定で箇条書きのテンプレートが表示されるようになっています。
そのため、多くのプレゼンテーションで箇条書きにしたため、逆にわかりにくくなってしまった例を見てきました。
テンプレートで用意されているからといって安易に箇条書きにしないで欲しい。箇条書きが本当に一番わかりやすい見せ方なのかを考えてほしいと思ってこうした表現をしています。
-箇条書きが向いているのはどういった時なのでしょうか?
森重さん:同じ範囲の中で、項目や要件が複数ある時に箇条書きを使うといいと思います。
例えば、
「自動販売機で売られている飲み物」
を紹介する時には「自動販売機」という同じ範囲の中で、複数の種類の「飲み物」を見せる必要があります。こうした場合は箇条書きが向いています。
一方で、順番があるものは箇条書きにすると逆にわかりにくくなってしまう可能性があります。
例えば、
「自動販売機で飲み物を買う手順」
を紹介する時には、箇条書きではなくチャート図などを用いるといいでしょう。
もしどうしても箇条書きにする必要がある時には、番号をつけることでより見やすいスライドにすることができます。
プレゼントするようにプレゼンテーションを作る

Photo By JD Hancock
-最後に、森重さんがプレゼン資料を作る時に大切にしていることを教えて下さい。
森重さん:プレゼンテーションという言葉には「プレゼント」という言葉が入っています。
だから、プレゼンテーションを作る時には何かを人にあげるというイメージを持つべきだと思っています。
私がプレゼンテーションの資料を作る時にはこのプレゼントを受け取る側の気持ちを第一に考えて作っています。
文字が小さすぎて読みにくくないか、
これは本当に相手がほしい情報なのか、
こうしたことを考えた上で、スライドに自分の個性を出したり、デザインを工夫してみたりすることを考えています。これから資料を作る時には、プレゼンテーションはプレゼントだと思って作っていただけると、見やすいスライドを作ることができるようになると思います。
-ありがとうございました!
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