「2014年グッドデザイン賞」受賞デザイナーが語る、人を惹きつけるデザインに必要な要素

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GOOD DESIGN AWARD

印象的な赤色に傾いた白抜きの「Gマーク」。誰もが一度はこのロゴを目にしたことがあるのではないでしょうか。

2014年10月1日、優れたデザインを有するプロダクトに対して、そのデザイン性を賞する「グッドデザイン賞」が公益社団法人日本デザイン振興会によって発表されました。

今年度のグッドデザイン賞を受賞したデザイナーの2人に、人を惹きつけるデザインを生み出すための秘訣について伺いました。

国内屈指の認知度を誇るグッドデザイン賞

グッドデザイン賞は4月の募集開始から審査、受賞発表、翌年3月の受賞年刊の発刊まで、およそ1年間もの期間に亘って展開される、日本最大のデザインアワードです。

グッドデザイン賞はデザインを通じて国内外の産業・文化の活性化を目的に活動が行われ、1957年に創設して以来、述べ40,000件以上ものプロダクトがグッドデザイン賞に認定されています。

なお、2014年度における応募件数は述べ3,601件となっており、そのうちの1,258件がグッドデザイン賞を受賞、そこからさらに各賞とその年の最も優れたデザイン「グッドデザイン大賞」が選ばれます。

グッドデザイン賞における「審査基準」

デザインが与える影響力がポイント

グッドデザイン賞における審査の基準に関して、その大きな特徴としては、“いわゆるデザインのコンクールではない”という点にあります。

これはつまり、その対象となるプロダクト自体のデザインの良し悪しによって賞が決定されるのではなく、そのデザインがいかに暮らしや社会に対し良い影響を与えるかという視点が評価の基準となり、各賞が選定されるのです。

“優れたデザイン”を決める3つの視点

何が優れたデザインであるか?という定義については、以下の3つの視点に分解されます。

【人間的視点】
ユーザーに対して、使いやすさや分かりやすさといった観点に配慮がなされているか

【産業的視点】
新しい技術や素材を有効に活用し、課題が解決されているか

【社会的視点】
新しい文化やコミュニケーション、ライフスタイルの創出に貢献しているか

人間的視点、産業的視点、社会的視点の3点の視点に基づき、それぞれの応募作品が評価を受けることになります。

優れたデザインが生み出される背景にあるもの

今回、グッドデザイン賞として受賞されたプロダクトの中で、家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」、ビジネス向けクラウドサービス「マネーフォワード クラウド」シリーズの、会計ソフトマネーフォワード クラウド会計・確定申告」、請求書ソフト「マネーフォワード クラウド請求書」のデザインを担当したデザイナー、村里健太、金井恵子両氏に今回の作品が生み出されるまでの過程を伺いました。

「親しみやすさをデザイン」デザイナー:金井恵子氏

MFクラウドシリーズ
グッドデザイン賞ウェブサイトでの紹介ページ

「ERPパッケージ(※)の新しいかたちを提供したということで、受賞にあたっては「サービス自体の設計(デザイン)」が大きな評価ポイントだったと思います。

クリエイティブ面では、サービスを導入してもらうための「とっつきにくそうと感じる敷居をどう下げるか」や、実際に使い続けて頂くうえでの「日々の使いやすさ」というあたりで貢献できたのではないかと思います。

以前は会計サービスが「Money forward for Business」という名称だったのですが、シリーズとして展開していく上で、サービス名やロゴからリニューアルを行いました。

ロゴはわかりやすさと親しみやすさを出すという点に注力して、大量のロゴ案の中から絞り込んで作成しました。」

※ERPパッケージとは「Enterprise Resource Planning package」の略で、一般的には会計や人事などの社内基幹業務を一元管理するためのソフトウェアを指します。

「データの連続性をデザイン」デザイナー:村里健太氏

マネーフォワード

グッドデザイン賞ウェブサイトでの紹介ページ

「2014年1月にマネーフォワードにジョインしました。ジョインした当初からアプリのリニューアルの話がある程度進んでいましたが、自分としてどうしてもやりたいことがありました。それは情報の連続性をしっかり設計することです。

旧デザインのアプリでは、収支内訳、入出金履歴などの機能がバラバラに存在していて、内訳の詳細を直接見ることができませんでした。

関係のある情報なのに、いちいちメニューに戻って別の機能に移動しなけれならず、それがいちユーザーとしてストレスに感じていました。

このデータの連続性をきちんと整理することでより一層家計の把握と分析が簡単にできるようになりました。

家計簿は自分自身のライフログの一部でもあるので、あとからきちんと振り返って、それが現在・将来の行動をより良くできるような助けとなればうれしいです。」

おわりに

通常、「デザイン」と聞くと見た目の華やかさや独自性に目を奪われがちですが、両氏のコメントにもあったように、サービスの全体像の設計やユーザーが得られる体験といった部分も含めた設計こそが、本当の意味でのデザインであるというのがお分かりいただけたのではないでしょうか。

今後の関連イベント予定

グッドデザイン賞の今後の関連イベントとしては、以下のものが予定されています。ぜひ、こちらもチェックみてください。

10月30日(木)グッドデザイン特別賞審査会(非公開)(会場:東京ミッドタウン)
10月31日(金)〜11月4日(火)受賞展「グッドデザインエキシビション2014(G展)」(会場:東京ミッドタウンほか)
11月4日(火)グッドデザイン特別賞発表、グッドデザイン賞表彰式
2015年3月受賞年鑑発刊

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

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