ここが辛いよ入金管理 〈Vol.6〉:イレギュラーな入金処理に疲弊するのを何とか減らしていきたい!

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なぜか想定通り入金してくれない取引先がある……

債権の入金に関して、すべての請求先が請求額と同額を入金してくれれば、そこまで入金管理の大変さが話題になることはないかもしれません。

ただ、実務上は想定外の入金ということもあります。
たとえば、次のような入金です。

  • パターン1:

    法人に請求したのに、個人の方から入金がされる

  • パターン2:

    A法人に請求したのに、グループ会社のB法人から入金がされる

  • パターン3:

    グループ会社の複数社に請求したのに、グループ会社の1社からまとめて入金がされるケースや、1件の請求に関して、複数社から別々に入金してくるので、「1:多」として入金消し込みをする必要がある

  • パターン4:

    振込手数料相当を勝手に控除してくるうえに、控除してくる金額が月によって異なる

  • パターン5:

    入金サイトが1ヶ月以外のものとして、2ヶ月サイト等異なったものもあり、まとめて入金されるとサイトも確認しながら入金消込をする必要がある

頭の中でルールがあると他のメンバーへの引継ぎは大変

上記のような入金があった際に、目視で入金消込をしている場合は、過去の経験等に基づいて作業をしているケースが多いと思います。

ケースごとに文書化ができれば良いのですが、イレギュラーなものをすべて文書化することは難しく、そもそもルール化や文書化できないものもあります。

実際は担当者の頭の中にルールに近いものがある、またはルールそのものではなく、その場の状況で適宜判断せざるを得ないということも多いように感じます。

休みや退職などにより担当者が変わると入金消込の精度が落ちてしまう、あるいは作業により多くの時間がかかってしまうということに陥りがちです。

引き継ぎ担当者がミスなく業務を進められるようになるまでには、多くの時間を費やさなければならないでしょう。

このような想定外の入金があるので「入金管理は辛いよ!」ってことになってしまうのかなと思います。

システムがすべてを解決するわけではないが……

想定外の入金への対応としてシステム導入ですべてが解決できるのであれば良いのですが、イレギュラーであるがゆえに残念ながら現時点ではすべて解決できるとはいえないと思います。

ただ、すべてが解決できないとしても部分的には解決できたり、作業が効率的になったりする面もあります。現状の作業のやり方を思い起こしていただいて、効率化が図れるのかどうかを考えてみてください。

学習機能を活用して次回以降は自動消込

たとえばパターン1やパターン2のように請求先と入金元が異なるケースの場合、初回の入金の際は問い合わせをしなければ、どの請求に対応するのかはわからないと思います。

ただし、毎回同じように入金がされるのであれば、システムに入金元の情報と請求先との関係の紐づきを学習させておけば、次回も同じ先から入金がされればシステムが推測をしてくれることになります。

今まで担当者の頭に入っていた過去の経験則を、システムに覚えておいてもらうことで一次対応の速度は確実に上がるでしょう。

担当者としても頭の中に残すのではなく、システムにルールを残すという癖がつくと思いますので、将来の担当者変更への備えにもなりますね。

入金消込の画面で複数分の消込ができればスムーズになる

パターン3のような「1:多」の消込を行うケースも悩ましいですね。学習機能を使って消込の推察はしてもらいたいですが、他にも消込の際にシステムを使って効率的にできる可能性はあります。

ひとつの請求に対して複数の入金があるような場合に、消込の画面で「1:多」の請求や入金の関係を個別消込ができると作業はし易いです。

たとえば、画面の左側に請求情報があり、画面の右側に入金情報が表示されるようなシステムであれば、左右の金額の組み合わせで消込作業ができ、作業効率は上がるでしょう。仮にExcel等で個別消込のあたりをつけているようであれば、その作業がなくなりますので、スピードアップも図れるでしょう。

シミュレーション機能も使うことでスピードアップを図れる

パターン4のような手数料の負担については、消込のシミュレーションがあるシステムであれば、手数料相当が控除された場合のシミュレーションを行うことが可能となります。手数料相当を控除したとしたら、そもそもいくらの請求額に対応する入金があったのかが試算されます。

できれば毎月同じ額を控除してくればもう少し効率は上がりますが、毎月違ってもシミュレーションができることで手作業に比べると効率的といえるでしょう。

また、パターン5のような同じ取引先でも入金サイトが違うケースについては、取引先にサイトの考え方のルールを教えてもらって、それを事前にマスタに登録することができれば、請求単位で入金予定日を区別できます。実際の入金が予定通りであれば、消し込みもスムーズにできるようになります。

イレギュラーな入金消込業務のすべての問題を一気に解決はできないかもしれませんが、システムを活用してできるところから解決を進めていきましょう!

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