ここが辛いよ入金管理 〈Vol.5〉:滞留債権が溜まっているようですけど、毎月の滞留債権リスト作成も結構手間です。

読了まで約 5

販売したら全額回収までが仕事です

入金管理の重要業務の一つは、未回収となっている得意先に督促をして入金完了まですることです。せっかく売上があがっても、入金がされなければ、会社としてはその取引によって損が発生してしまいます。

例えば、3万円で仕入れた商品を5万円で掛け販売したとします。5万円が回収できれば、売上の5万円から仕入の3万円を差し引いた2万円の粗利が会社の儲けになりますし、実際にその分のキャッシュが増えることになります。

もしも、得意先から5万円が回収できなかった場合は、3万円の仕入代金だけがキャッシュアウトし、入金額がゼロなので、キャッシュとしては3万円のマイナスとなり、まさに会社に損害が発生してしまいます。

そのため、入金管理の業務に関しては、販売代金の全額回収まで行って完了といえます。

個別に入金消込をしているか

入金の督促をする場合に、督促する側がどこまで正確な情報を持っているかということも重要です。

具体的には、「いつ発生した」もので、「何の商品やサービス」に該当して、「いくらのもの」かということを、正確に情報として持ったうえで督促をする必要があります。

単純に「いくら入金が不足しています」と言っても、相手が支払いをしている認識がある場合は、「いつの取引の分ですか?」と聞いてくるでしょう。

そのような正確な情報を把握するために必要なことは、回収時に個別消込をすることです。

個別消込とは、得意先から債権を回収した際に、個別の取引単位で消込を行うことです。

個別消込しないとどんぶり勘定になってしまう

個別消込をしない入金消込というのは次のような方法で入金消込を行うことを言います。

X社に対して、ある月に次のような販売をしたとします。

サービスAの提供:200,000円
サービスBの提供:200,000円
サービスCの提供:200,000円
→サービス提供の合計金額が600,000円

 
これに対してX社から400,000円の入金があったとします。入金消込後、X社からの未入金は600,000円から400,000円を差し引いた200,000円となります。

確かに、600,000円の請求に対して400,000円の入金で、あと200,000円の入金をしてもらわないといけないので、金額は合っています。

ただし、どの取引の分が未収なのかが把握できていないですよね。サービスA,B,Cのどの分かがわかっていない状態となっています。

得意先に督促する場合に、いつの、何のサービスで、いくらということをキチンと伝えないと話がかみ合わないことにもなりかねない。

個別に消し込んだ後に滞留債権リストが欲しいです

そこで、正しい入金管理をする場合は、上記の例であれば400,000円の入金がどのサービスに対応した分なのかを確認して、入金があったサービスの分について個別に消込をするのです。

こうすることで、いつ発生した、何の取引で、いくらのものが現在未入金であるということがわかります。

会計システムだけの場合は、個別消込には対応していないことが多いですが、入金管理システムを導入すると通常は個別消込をすることができます。

個別の得意先別、取引内容別の債権残高の管理ができたとしたら、次に必要になるのは、現時点での未入金のリストでしょう。

とりわけ滞留している債権の滞留債権リストは重要な資料となります。このリストに基づいて得意先に電話、メール、チャットなどで督促をすることになるからです。

滞留債権リストに関しては、入金予定日から速やかに作成がされるかどうかも実務上は重要です。

速い会社は着金予定日に着金がないと、その翌日には滞留債権リストを見て督促の連絡をしています。翌日に連絡があるのですから、督促された方も「参った、すぐに払います」って感じになりますよね。

滞留債権リストを作るのに1か月近くかかっているようでしたら、督促するころには次回の入金タイミングになっていたり、あるいはそのタイミングが過ぎていたりして、回収のタイミングを逸することになってしまいます。

滞留債権リストを表計算ソフトで作成している会社もありますが、作業時間にそれなりの工数を要していて、完了までに時間がかかっている印象があります。また、表計算ソフトの作業中に作業ミスが生じて誤った滞留債権リストになっているケースもあります。

誤った滞留債権リストで督促をして、実際は入金済みだったなんていうことになったら得意先からの信頼はなくなるでしょうし、場合によっては相手からクレームを受けることになるかもしれません。そのため、作成完了までのスピードも重要ですが、間違いのない品質も重要です。

入金管理システムによっては、滞留債権リストの作成まで一気通貫で行ってくれる優れものもありますので、滞留債権管理に課題を感じている会社の方は導入を検討するのも一法かと思います。

売掛金年齢表

滞留債権リストが自動作成できる場合は、売掛金年齢表も通常作成されます。

売掛金年齢表とは、得意先別の売掛金残高を入金期日から、月などの期間で区分して回収状況を明らかにするリストです。入金期日後1ヶ月経過、2ヶ月経過、3ヶ月経過、3ヶ月超6ヶ月以内、6ヶ月超といった期間別に得意先の残高の状況が可視化されます。

監査等を受けている会社であればこのような資料を監査法人から提出を求められると思いますが、サッと資料が出ると業務がスムーズになりますよね。

今回は入金管理のなかでも個別消込や滞留債権リストの作成について話をしました。業務を効率化する視点で、それらの作業を実装したシステムを導入することを検討してみてはいかがでしょうか。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。