前回の「ここが辛いよ入金消込<Vol.1>」では、請求額と入金額が同額だけれども、件数が多いケースの辛さとその対策についてお話をしました。
今回は、まとめて入金があるのでキャッシュフローとしては良いのですが、その後の対応に負担がある業界についてお話をしたいと思います。
目次
サブスク契約、会費収入って結構浸透してきていますね
ここ数年、サブスクリプションという言葉がビジネスの契約のなかで浸透してきましたね。
今までであれば、年間購読料や年会費といった言葉で請求がされていたものも、「サブスク」という表現に変更されているケースも多いように感じます。
システムの利用料であれば、月額利用料というものがサブスクリプション利用契約という表記になったり、雑誌の購読も読み放題のサブスクリプション契約というのもごく普通に目にしますね。流行りのリスキリングという流れに乗って、セミナー動画見放題というサービスもあります。
少し変わったところですが、ラーメンのサブスク契約というもので、サブスクリプション契約をしたら契約期間はラーメンを毎日食べることができたり、一部のメニューが割引で楽しめるなんていうものもありました。
サブスクリプション契約という名称で請求をしなくとも、会費という名目で、契約期間で会費を徴収し、その間は利用ができるようなサービスもあります。スポーツクラブの利用料や共通のオフィススペースを提供するコワーキングスペースも、会費名目で請求しているものもあります。
お金の流れと入金消込はどうなっているの?
サブスクリプション契約や会費契約のサービスは、請求、入金、経理処理はどうなっているのでしょうか。
サブスクリプション契約の契約は、月契約のものであれば、請求はひと月分、入金もそれに対応する1か月分となっています。経理処理は、契約対象月分の収益に計上するというのが一般的です。
入金が契約対象月と異なる場合には、収益計上するタイミングを調整する必要はあります。
最近多いのは、1年分の利用料金を契約時にまとめて請求して、入金してもらうサブスクリプション契約です。この場合には、処理が複雑になります。
請求は1年分行って、入金も1年分がまとめて入金されます。入金消込は請求金額と同額なので一見簡単なように見えますが、経理処理との関係でやや複雑さが生じます。
前受処理をしたい場合はどうしたらよいのか
1年分の収益がまとまって入金されるので、キャッシュフローとして非常に恵まれています。入金が先なのでビジネス的には大変助かりますよね。
経理処理として、入金時に全額収益計上をしてしまって終わりであれば簡単ですが、1年分の売上を月々の経過に伴って収益計上している会社は多いです。
その場合に、入金消込においていったん全額請求額を回収したとして消込をしたとしても、1年のうち期間が経過するまでは前受として処理しておく必要があります。
例えば、年間12,000円の利用料の請求をして全額がサービス開始前に入金をされたとしても、会計処理としては12,000円を前受金として計上し、毎月経過する都度1,000円を収益に振り替えていくのです。
仕訳で表示すると、次のようなイメージになります。
毎月 :(借方)前受金 1,000円 (貸方)売上 1,000円
その後毎月(借方)前受金 1,000円 (貸方)売上 1,000円の仕訳を計上します。12か月経過したら前受金残高がゼロとなって、1年間を通じて全額収益に振り替えられます。
このように前受処理をする場合に、前受金の管理をエクセルなどの表計算ソフトで行っている会社もあります。
件数が数件であれば、表計算ソフトで実施しても負担はないかもしれませんが、件数が非常に多くなってくると作業負担が増えるのみならず、計算過程でミスが生じる可能性もあります。
収益計上漏れがあると決算数値が違ったものとなってしまいますので、手作業による集計はあまりお勧めできません。
システムで前受処理ができるものがあれば助かる
負担のかかる前受金の管理や前受金の収益への振替処理ですが、入金管理システム上で集計してくれるものもあります。
入金管理システムを導入すれば、請求後に入金された金額の消込自体も自動消込をすることで効率化を図ることも可能です。
前受処理についても一定程度自動的に振替額が集計されると、手作業で振替処理をするのと比較して、作業時間は大幅に削減することができるでしょう。
前受処理がある会社は、現在の前受処理の業務フローを確認して、システムに置き換えることができるのかどうかを検討してはいかがでしょうか。
解約時の処理も検討が必要で、多少の手作業は残っても効率化を進めましょう
また、サブスクリプションをしている場合に、途中解約があった場合は、更に追加の作業が必要になります。
解約時点で返金をする契約のものであれば、前受金の返金対応が必要になります。そのうえで解約時の前受金は返金されて残高がゼロになります。
契約によっては、途中解約があっても返金不要の契約となっているものもあります。このケースでは、解約時に返金をするのではなく、残っている前受金を収益に振り替える必要があります。
解約時に収益振替が自動的にできるシステムであれば効率的でしょうが、なかにはイレギュラー処理に対応していないシステムもあるかと思います。
また、契約内容や経理処理によっては、返金不要の契約に関して、会計と税務の処理が異なる扱いとなっている会社もあるかもしれません。
ただし、このような処理をカスタマイズなしで入金消込システムで実施してもらわないまでも、少なくとも通常の前受処理はシステムで実施させて、解約時や会計と税務の扱いで不一致が生じる場合の処理については人間が手作業で実施する、というすみ分けにしても十分業務効率は上がると思います。
前受けや解約など複雑な業務フローをすべてを一気にできなくとも、手作業とシステムでできる部分を整理し、ミスのない業務効率化をはじめてみてはいかがでしょうか。
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