請求書発行システム選定のポイントとは?主要機能から選び方までを解説

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システム導入を検討されている方のなかには、「具体的にどのような機能があるのか全体像を知りたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、システム選びの第一歩として、一般的な請求書発行システムに搭載されている主要な機能と選び方のポイントについて解説します。

システム選定のために機能理解が必要な理由

満足のいくシステム選定にはシステムの機能理解が必要です。これは、自社の要件を明確にするために、必要な機能と不要な機能を見極めることが重要だからです。

例えば、「あったらとてもうれしい機能」の存在を知らずに別のサービスを導入してしまうと、後悔することになるかもしれません。また、「あまり考えていなかった機能」を知ることで、大幅な業務効率化を実現することもあります。

一般的にどのような機能があり、どのようなことを実現できるのか全体像を把握することで、各ベンダーとの対話もスムーズに進むでしょう。

皆さまの請求書発行システムの導入検討の第一歩として、本記事をご活用いただければ幸いです。

3種類のシステム提供方法

請求書発行システムには3種類の提供方法があります。

購入したソフトウェアをPCにインストールして利用するタイプが「パッケージ型」、自社サーバー内に専用システムを構築・運用するタイプが「オンプレミス型」、インストール不要でインターネット経由で利用できるタイプが「クラウド型」です。

近年はクラウド型システムが主流となっています。

理由の1つは、初期投資を抑えて導入できる点が挙げられます。システムの更新やメンテナンスはサービス提供者が行うため、保守管理にかかる費用や人員の負担も軽減されます。また、もう一つの理由として、多様な働き方を促進できる点があります。

インターネットに繋がっていれば時間や場所を問わずシステムにアクセスできるため、経理部門のリモートワークなどの働き方改革が可能になります。

法改正に合わせて、必要な機能をアップデートしてくれる点もクラウド型の良い点です。

クラウド型の請求書発行システムは、請求書発行業務をインターネット経由で実行するということから、「クラウド請求書発行システム」「Web請求書発行システム」「電子請求書発行システム」とも呼ばれています。

今回は「クラウド型」の請求書発行システムについて解説します。

請求書発行システムの基本機能

請求書発行システムは大きく以下の4つの機能があります。

  • 1. 請求書作成機能

    販売管理システムと連携し、請求データから請求書を発行できます。販売管理システムとの連携なく、直接請求書を作成できるものもあります。

  • 2. 請求書送付機能

    システム上から請求書を一括でメール送付できます。中には紙の請求書の郵送代行を依頼できるものもあります。

  • 3. 請求書の保管機能

    システム上で発行した請求書を電子帳簿保存法に対応した形で保存します。

  • 4. 入金管理機能

    銀行口座と連携し入金データを取り込み、入金消込が行えます。請求書発行システムとは別に、入金消込に特化した「債権管理システム」として提供される場合もあります。

  • ただし、同じ請求書発行システムでも、個々の製品によってできることが少しずつ異なります。機能の細部について見ていきましょう。

    1.請求書作成機能

    1-1.販売管理システムと連携した請求書作成機能
    販売管理システムの取引データと連携し、請求書を自動で生成する機能です。手作業によるミスを減らし、迅速な発行が可能になります。連携方法はCSV、PDF、APIの3種類あります。

    • ・CSV連携

      販売管理システムから吐き出されたCSVデータを、請求書発行システムにアップロードすることで請求書を生成します。

      ここで気にすべきポイントは、導入しようとする請求書発行システムがどういった形式のデータを受け入れているかです。請求書発行システムの種類によっては、指定するフォーマットにCSVデータを整形してアップロードする必要があるものもあります。

      フォーマットの指定がなく取り込めるシステムであることが、作業のスムーズさ、また安心感、間違いのなさの面でベストといえます。

    • ・PDF連携

      販売管理システムから発行済みの請求書をPDFで取り込みます。

      PDFをそのままアップロードできるものと、Zip圧縮してアップロードするものがあります。またデータ保存は、電子帳簿保存法に則った方式で対応する必要があります。その際、CSVファイルを一緒にアップする必要があるサービスもあれば、PDFファイルから自動的に電子帳簿保存法に必要なデータを読み込めるサービスもあります。手間を減らすという観点では、PDFファイルからデータを読み込めるサービスが良いといえます。

      販売管理システムで、複数社分の請求書が1つのPDFにまとまって出力される場合でも、文字認識技術「OCR」により個社ごとに請求書を分割する機能を持つサービスもあります。

    • ・API連携

      APIという連携技術を使用して、自動的に販売管理システムから請求書データを連携します。理想的な形ですが、連携できる販売管理システムが限定されているなど条件がありますのでサービス提供会社に確認が必要です。

    • 1-2.手入力による請求書作成機能
      直接手入力を行うことで請求書を作成できる機能です。販売管理システムとは連携できないイレギュラーな請求書も含めて、すべての請求書をシステム上で管理できます。

      1-3.請求書のレイアウト設定機能
      挿入するロゴや請求書フォーマットをカスタマイズできるテンプレート機能です。

      サービスによっては項目の場所は変えられないなど、制限があるものもあります。あるいは、今までのレイアウトを維持しようとすると、オプション費用がかかる場合もあります。

      1-4.システム上でのプレビュー機能
      作成した請求書を1件1件ダウンロードして確認するのは、件数が多くなるほど大変手間がかかります。システム上で簡単にプレビューができるかどうかも確認ポイントの1つです。

      2.請求書送付機能

      2-1.送付方法選択機能
      以下の5通りの方法があります。

      • ・Web送付

        取引先様が専用管理画面から請求書をダウンロードできます。メリットとしては、取引先様の請求書ダウンロード状況を確認できること、過去分を一覧で確認できること、IPアドレスでアクセス制限ができることが挙げられます。まだダウンロードできていない方向けに、自動でダウンロードを促す機能があるものもあります。

      • ・メール送付

        請求書PDFをメールで送れます。メールアドレスがわかっていれば送れることがメリットです。

      • ・郵送代行

        郵送が必要な取引先様向けにご活用いただけます。

      • ・FAX送付

        FAXでの送付が必要な取引先様向けにご活用いただけます。

      • ・デジタルインボイス

        Peppol(ペポル)と呼ばれる標準規格に準拠して請求データを作成できます。規格が統一されることで、企業間での請求・支払い・入金消込といった経理業務の自動化を実現できます。取引先もPeppolに対応したシステムを導入している必要があります。

      • どの送付方法が必要か、社内の現状の運用と今後の運用を考慮して決定いただけたらと思います。

        2-2.ファイル同封機能
        送付先ごとに、納品書や支払明細書等の付随する帳票も請求書と一緒に添付できる機能です。すべての請求書に対して、チラシやお知らせ等を一括同封することが可能なサービスもあります。

        2-3.請求データのCSVファイル添付機能
        取引先様によっては、請求データを会計システムと連携させるために、請求書PDFだけではなく請求データのCSVも添付してほしいという要望もあります。そのような場合に対応するために、CSVデータを自動で添付する機能を持つサービスもあります。

        2-4.宛先まとめ機能
        複数の送付先への書類を、ひとつの送付先にまとめる機能があるサービスもあります。

        例)同じ会社の各支社宛の請求書を、本社にまとめて送付したい場合

        2-5.送信予約機能
        即時送付ではなく、月末に一斉に送付したいといった場合に活用できます。

        2-6.誤った請求書差し替え機能
        誤りのある請求書を送付してしまった場合、差し替え対応ができる機能です。履歴管理機能があり、どの請求書に差し替えがあったのかがわかりやすく、管理がしやすくなります。

        2-7.開封確認機能
        送付した請求書を取引先が確認したかどうかを把握することができます。

        3.請求書の保管機能

        システム上で発行した請求書を電子帳簿保存法に対応した形で保存します。

        この機能はサービスによってオプション扱いになっていたり、保存容量によって従量課金が発生したりと、各社で差があるためサービスの担当者へ確認しておきましょう。

        4.入金管理機能

        4-1.口座連携・自動消込機能
        銀行口座と連携し入金データを取り込み、入金消込が行えます。

        銀行口座から入金データを自動取得し、AIにより消込を自動照合してくれるものもあります。自社の取引銀行と連携しているか確認してみましょう。

        4-2.債権管理帳票出力機能
        前受金や請求の残高年齢表、未入金一覧表などをデジタル化し、債権情報を一元管理することができます。

        4-3.未払い請求督促機能
        未払いの請求書を特定、システム上から督促メールを送る機能です。取引先ごとに個別にメールを送る必要がなくなり、管理の手間を削減できます。

        4-4.会計システムとの連携機能
        連携方法は、APIによる自動連携とCSVファイルのアップロードによる手動連携があります。

        APIによる自動連携では、生成した仕訳データが会計システムと連携され、計上処理まで自動化できます。どの会計システムと連携できるのか確認してみましょう。

        その他機能


        その他にもサービスによって様々なサービスがあります。自社に必要な機能がないか確認してみましょう。

        メールアドレス収集機能
        サービス導入時に請求書を電子化に切り替えるにあたり、取引先のメールアドレスを収集するのも手間がかかります。取引先のメールアドレスの収集を助ける機能を持つサービスもあります。

        申請・承認ワークフロー機能
        ミスを防ぐ観点で、承認ワークフローはあると良い機能です。上場予定がある場合など、ガバナンスを重視する際には必ず必要になるでしょう。

        権限設定機能
        ユーザーごと、部署ごとなど、操作権限や閲覧制限が設定できるものもあります。

        外貨・多言語対応機能
        国際取引を行う企業様向けに、複数の言語・通貨で請求書を発行できる機能が備わっているものもあります。

        セキュリティ機能

        • ・IPアドレス制限機能
          接続元のIPアドレスを判断し、登録されたIPアドレスのみアクセスを許可することができます。
        • ・二段階認証機能
          IDとパスワードの入力に加え、追加で別の認証を行うことでセキュリティを向上できます。
          • 機能以外で気にするポイント

            目に見える機能以外にも気にするポイントがあります。機能以外で気にしたいポイントも紹介します。

            管理画面のUIデザイン
            素晴らしい機能があっても、わかりにくい管理画面では、操作方法がわからないと問い合わせがあったり、間違って使われたりと、期待した業務改善に繋がりません。

            直感的に操作できるシステムか、デモやトライアルで確認してみてください。
従業員がマニュアルなしでも利用できることが理想です。

            導入・運用のサポート
            システムはうまく活用できなければ本来の効果を発揮できません。運用が軌道に乗るまでのサポートがあるかどうかは確認が必要です。

            モバイル対応
            スマホアプリやスマホのブラウザから操作ができるサービスもあります。自社の運用状況からモバイル対応の必要性を確認いただけたらと思います。

            動作性能
            システムの動作が遅いことは日々利用するうえでストレスとなります。また、データの取込みに数時間かかるようだとその間手が止まることになります。システムの動作性能はデモ環境で確認しておくことをおすすめします。

            障害時の対応
            万が一システムに障害が発生しても、業務が止まらないためのシステム構成や管理体制になっているかは確認したいところです。過去に業務が停止するような重大な障害が発生していないか、重大な障害発生時の復旧スピードは問題ないか確認することをおすすめします。

            事業継続性
            請求書発行システムのような日々利用されるものはサービスの切り替えが難しいものです。「サービスが終了し急遽別サービスに移行が必要になる」といった事態を防ぐために、そのプロダクトが継続性のあるものか確認しておく必要があります。
            以下の3つのポイントで確認すると良いでしょう。

            • ・運用実績
              サービス開始から何年継続しているサービスか
            • ・アップデート実績
              日々、機能追加や動作性能の改善などアップデートに投資されているか
            • ・会社の安定性
              売上、利益、上場の有無などから会社の安定性に問題がないか

            導入後の価格変動要因
            導入した時点から、運用を続けていく中で価格が上がる要因がないかも気にしておきたい要素です。
            以下の点を確認してみてください。

            • ・年々増えるデータ保存容量によって価格が上がらないか
            • ・他社サービスに比べて極端に安い無理な価格設定になっていないか
            • ・外国の会社がサービスを提供していて、為替レートの変動による影響を受けやすくないか

            プロダクトのビジョン
            そのプロダクトの運営企業がどういったビジョンを持っているかも気にしたいポイントです。クラウドサービスは時代にあわせて進化(アップデート)していくものです。その進化の方向性を決めるのがプロダクトを運営する企業のビジョンです。
            皆さまのビジョンとプロダクトのビジョンが合致していると、時代に合わせて自分の理想に近い形にプロダクトが進化していくことを期待できます。一方、ビジョンが異なると将来的にプロダクトがフィットしなくなり、システム変更が必要になる可能性もあります。
            そのプロダクトを運営する企業のコーポレートサイトを見て、ビジョンを確認してみましょう。

            さいごに

            これまで一般的な請求書発行システムに備わっている機能と、機能以外で気にするポイントをご紹介しました。
            必要な機能や気になる機能はメモしておいて、具体的な選定の段階で各サービスの担当者に確認することをおすすめします。

            また、デモやトライアルが可能でしたら、必要な機能があるか、操作感は使いやすいものになっているか、確認すると良いでしょう。
            弊社マネーフォワードでも、請求書発行・送付・消込を行うシステムを提供しています。他社との比較もご案内できますので、是非お気軽にご相談ください。

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