止めちゃ行けない業務だから経理のリモートワークを推進する

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新型コロナウィルスの感染は2年半以上経過した今も衰えを知らず、いつも感染の爆発に気を遣わなければならない日々が続いていますよね。

それでも、社会活動を止めてしまっては経済が低迷することになってしまうので、何とか仕事を回していかなければなりません。バックオフィスの業務も止めるわけにはいかないですよね。

今回は事業継続という観点でBPOの活用を含めて話をしたいと思います。

BCPは震災等のたびに考えられては来たけれど・・・

BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)の頭文字を取った言葉で、災害やシステム障害等が発生した状況下で、いかに業務を継続していくのかについての対策をまとめた計画のことです。

東日本大震災が発生した際に、多くの企業がBCPについて検討をしていなかった、あるいは準備をしていても想定通りに業務が回らなかったという反省から、改めて検討をした企業も多かったと思います。

ただ、2020年に新型コロナウィルスが発生した段階で、BCPが十分に機能しなかったと痛感した会社も多かったのではないでしょうか。

出社が前提で業務が構築されている

バックオフィス業務に関しては、出社して業務をすることが大前提になっていた会社が多かったため、緊急事態宣言が発令されて出社ができない、あるいは感染者や濃厚接触者が発生して出社ができないという状況下で、仕事をうまく回すことができずに困ったケースもあったのではないでしょうか。

バックオフィス業務が止まるとどのようなことが起きてしまうでしょうか。

  • 業者に支払いができないと支払遅延が生じて信頼を失うことになります
  • 給与の支払期日までに給与の支払いが出来なければ、従業員からの信頼はガタ落ちでしょう
  • 決算の開示期限までに決算報告ができないとしたら、市場関係者からの信頼は失墜することになってしまいます

等々、業務が止まってしまうと多くの利害関係者からの信頼を失うことになってしまいます。

今回の新型コロナウィルスへの対応で考えると、出社を前提としない仕事の組み立てをしていた会社は、緊急事態宣言下でも業務をスムーズに回していました。

リモートワークを前提とした業務構築

具体的には、リモートワークで業務を回す仕組みをとることで、仕事を切れ目なく実施することができたのです。

そのためにも、会計や支払のシステムはクラウド型を活用しているケースは多いですし、今回のパンデミックを機会にクラウド型のシステムに入れ替えた会社も多数ありました。

ただ、リモートワークを導入した場合も課題はあります。

それは、セキュリティへの対応です。外部で業務をするという場合に、すべて強固な外部のクラウド提供サービス内だけで業務が完結することは少なく、社内のサーバ等にアクセスすることになると思います。

この場合、社外から社内のネットワークにアクセスすることになり、セキュリティが脆弱な状態でアクセスをしていると、情報漏洩等の危険にいつでもさらされていながら業務をしている状態になっているともいえます。

また、情報漏洩に関していえば、自宅において会社の情報を印刷できたり、各種ファイルをダウンロードできる状態になっていたらどうでしょうか。

企業情報が容易に外部に持ち出せる状態ということですよね。

企業の機密情報を外部に持ち出す犯罪行為がニュースでたびたび報道されていますが、リモートワークができる状態にさせることによって、リスクが大きくならないようにもしなければなりません。

外部委託することでリスクヘッジをはかる

BCPの観点から、最近検討されていることの一つが業務の一部をBPOするということです。

平時であれば社内で十分にこなせる、今の人員がいれば仕事が逼迫することはないという会社であっても、退職者が出たり、今回の新型コロナウィルスによるパンデミックのように一時的に人員が不足し、業務が回らなくなる可能性もあります。

そのため、有事のための備えとして、平時から業務の一部のBPOをはかっておくのです。
有事が起きてから外部委託をしようとしても、すぐにBPOベンダーが見つからなかったり、条件的に自社に満足のいく水準で見つからないということも想定されます。

そのため、BCPの一環で業務の一部を平時のうちに外部に出しておくことで、リスクヘッジをはかろうとしている会社が増えてきているのです。

人材の活用という手段で乗り切る会社も

もちろんBPOをしないでリスクヘッジをはかる会社もあります。

様々な労働力を常に確保しておくことで、一部の欠員が出たとしても対応できるように仕組んでおくという方法です。

具体的には、子育て中や介護中の社員が在宅で仕事ができるようにする環境を整えて、少ない労働時間でも結集すると多くの時間になるので、多様な人材を抱えて多くの労働力を確保しておく方法です。

さらには、本社がある場所で人を集めると単価が高い、あるいは人を集めにくいという面もあるので、本社以外の地方などに住んでいる人材を活用することで活路を見出すという方法をとる企業もあります。

この場合も、リモートワークが可能な環境を整備することで、本社近郊以外に住んでいながらにして本社の業務に関与してもらうことが可能なのです。

こうしておくと、震災等が一部のエリアで発生したとしても、震災等が発生していない場所に社員がいれば業務を止めずに回し続けることが可能となるのです。

今回の新型コロナウィルスの発生によってBCPに対する意識が高まった会社も数多くあると思います。リモートワークやBPOを活用するという事例も増えてきているので、今後の業務遂行の参考になればと思います。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:中尾 篤史(公認会計士/税理士)

CSアカウンティング株式会社 /代表取締役社長。 日本公認会計士協会 租税調査会 租税政策検討専門部会・専門委員。 著書に『DX時代の経理部門の働き方改革のススメ』、『瞬殺!法人税申告書の見方』(税務研究会出版局)、 『正確な決算を早くラクに実現する経理の技30』、 『BPOの導入で会社の経理は軽くて強くなる』(共著)、 『対話式で気がついたら決算書が作れるようになる本』(共著)、 『経理・財務お仕事マニュアル入門編』(以上、税務経理協会)、 『たった3つの公式で「決算書」がスッキリわかる』(宝島社)、 『経理・財務スキル検定[FASS]テキスト&問題集』(日本能率協会マネジメントセンター)、 『明快図解 節約法人税のしくみ』(共著、千舷社)など多数。